電磁波問題Zoom読書会のご案内 8/29(土)より各回毎月30分、全6回 内部被ばくを考える市民研究会 川根眞也

 28年来、電磁波問題に取り組んだ荻野晃也氏が2020年6月29日亡くなりました。荻野晃也さんの遺作となった『身の回りの電磁波被曝 その危険性と対策』の読書会を今月8月29日(土)から毎月1回全6回行います。毎回30分、川根がこの本を5つに分け解説し、簡単な質問に答える機会としたいと思っています。深い解説が必要な質問については、次の回で答える予定です。5回で読み終え、6回目は質問に対する答えだけの時間に予定しています。この本を読む道案内になれば、と考えています。

 この本は5G導入やイージスアショア問題を考えるヒントがふんだんに盛り込まれています。しかし、一方で理解するためには基本的な電磁気学の知識が必要です。中学生の理科くらいの解説を織り込みながら、分かり易く解説したいと思います。

荻野晃也『身の回りの電磁波被曝 その危険性と対策』緑風出版 2019年4月

 また、興味のある方は、更に、荻野晃也監訳、ポール・ブローダー著の『死の電流』緑風出版をお勧めします。これはもう古書でしか手に入りません。生活圏に日常にある、60Hz、50Hzの電流でさえ、生物の体内環境をかく乱する恐れや、植物、動物の成長や生殖に影響を与えることが生々しく書かれています。

 放射能問題にも共通する、非常に大事な視点がたくさん含まれている本です。

 参加者対象者は内部被ばくを考える市民研究会の会員で参加希望する方、および一般参加希望者です。

[電磁波問題Zoom読書会]

(1)日時 基本的には最終日曜日16:00〜16:30

初回だけ、8/29が土曜日なので、16:00〜と19:30〜からの2回Zoom中継。

以降は基本的に最終日曜日、16:00〜16:30

8/29(土)  16:00〜16:30 第1章〜第7章 PP.1〜69

       19:30〜20:00 同じ内容

9/27(日)  16:00〜16:30 第8章〜第12章 PP.70〜121

10/25(日) 16:00〜16:30 第13章〜第18章 PP.122〜184

11/29(日) 16:00〜16:30 第19章〜第26章 PP.185〜243

1/31(日)  16:00〜16:30 第27章〜第34章 PP.244〜308

2/28(日)  16:00〜16:30 最終回 質疑応答

基本的に、上記の回、例会を同日13:30〜15:30行う予定です。

(2)各回とも録画します。参加希望者には録画動画の案内をします。

したがって、会員の方または参加希望者はZoom参加の場合は、参加者名はペンネームでお願いします。

(3)参加資格。

(会員)

・荻野晃也『身の回りの電磁波被曝 その危険性と対策』緑風出版

を各自購入して読むことを決意された方。購入は各自でお願いします。

・内部被ばくを考える市民研究会の会員の方は参加費無料。

・ただし、会員も参加申し込みが必要です。本名、住所、メールアドレス、

電話番号、Zoomのペンネームが必要。配信トラブル等があった場合に

電話でやり取りします。

・当日のその時間帯に参加できなくとも、録画を視聴することができます。

・録画は一般公開しません。また、無断転載禁止とします。

(一般参加者)

・川根のfacebook,twitter等で案内します。

・荻野晃也『身の回りの電磁波被曝 その危険性と対策』緑風出版

を各自購入して読むことを決意された方。購入は各自でお願いします。

・一般参加者の方は参加費2000円。(1回あたりの単価は333円)

・当日のその時間帯に参加できなくとも、録画を視聴することができます。

・録画は一般公開しません。また、無断転載禁止とします。

(4)荻野晃也『身の回りの電磁波被曝 その危険性と対策』緑風出版の書籍が書店やネットで手に入りにくい場合、8月15日までに内部被ばくを考える市民研究会事務局(メール)で別途購入希望をお申し込み下さい。川根が緑風出版から一括購入し、8月20日前後に発送いたします。2750円+送料がかかります。

メール entry.naibu@gmail.com

(5)資料、A4 4枚くらいの資料を毎回、川根が作り、基本的に一週間前

にpdfで送ります。紙媒体での資料郵送を希望される方には、事前に、別料

金1200円(全6回分)を別途振り込みの上、郵送します。これは会員の方も

1200円とします。

(6)参加申し込みは初回の1週間前8月23日(日)までとします。会員の方

は上記本名、住所、メールアドレス、電話番号、Zoomのペンネームを明記

の上、メール entry.naibu@gmail.com

まで申し込みをした方に限ります。

一般参加の方は、初回の1週間前8月23日(日)までに

・本名、住所、メールアドレス、電話番号、Zoomのペンネームを明記の上、

メール entry.naibu@gmail.com まで申し込みをして下さい。

・8月23日(日)までに内部被ばくを考える市民研究会 口座

に2,000円を振り込んで下さい。

内部被ばくを考える市民研究会

ゆうちょ銀行からの場合

ゆうちょ銀行 記号 10370 番号73181351

ゆうちょ銀行以外の金融機関からの場合

ゆうちょ銀行 店名 〇三八(読み方 ゼロサンハチ) 普)7318135

※上記口座にてカンパ金も受け付けています。

 カンパ金をお振込いただく際は、メールにてお名前・振込日・振込金額をお知らせください。

・資料の郵送を希望の方は上記口座に1,200円を別途振り込んで下さい。

期日は8月23日(日)までです。

※ 定員は設けませんが、30人を超える申し込みがあった場合には、質
疑応答の時間を確保するために、定員を設ける場合があります。

※ 会員の方も事前の参加申し込み(参加費は無料)が必要です。途中参加は基本的に受けつけません。一般参加の方は、メールでの申し込みがあっても参加費の振り込みがない場合は参加資格が取り消されます。

※ Zoomの案内は基本的にそれぞれの回の開催日3日前にメールでお送り

します。録画の案内は録画状態を確認次第、視聴urlをメールでお送りします。こちらも無断転載禁止とします。

訃報

荻野晃也さん 80歳=元京都大講師、原子核工学、電磁波環境研究所主宰

2020年7月3日 毎日新聞 富山版

 荻野晃也さん 80歳(おぎの・こうや=元京都大講師、原子核工学、電磁波

環境研究所主宰)6月29日、胸腺がんのため死去。葬儀は2日、近親者のみで

営んだ。喪主は長男晃一(こういち)さん。富山市生まれ。1973年提訴の伊

方原発訴訟で活断層の危険性を指摘。電磁波の人体への影響などについても警鐘

を鳴らした。

福島第一原発の汚染水についてのパブリックコメント 川根眞也 その2

本日2020年7月31日、「多核種除去設備等処理水の取扱い」に関するパブリックコメントを提出しました。その2です。

意⾒2 川根眞也

(3)トリチウムの⼈間への健康被害について、⼩委員会報告は、⼗分な検討を⾏っていない。

 トチリウムが⾃然界でも作られることや、世界各国もトリチウムを海洋放出したり、または、⽔ 蒸気放出したりしていることを強調して、さも、トリチウムが⼈間への健康影響がないかのように議論を組み⽴てている。

 まず、第⼀に、トリチウムが地球上で⽣成される量は年間70PBq(ペタベクレル)に過ぎない。⽶ソの核兵器開発競争で地球の⼤気圏にばら撒かれたトリチウムの量は
180000PBq〜240000PBqであり、地球上で⽣成される量の2751倍〜3428倍である。

 トリチウムの半減期が12.3年であるので、1963年部分的核実験禁⽌条約によって、⼤気圏内核実験が禁⽌され、早57年。⽶ソのまき散らしたトリチウムは約4.5半減期を迎え、その量はやっと22分の1になった。

そこに原発の使⽤済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理⼯場が稼働し、フランスのラ・アーグではたった1年で10PBq、イギリスのセラフィールドではだった1年で1.4PBqものトリチウムを放出している。

さらに、⽇本では⼀気に4基もの爆発を起こし、0.1〜0.5PBqものトリチウムを放出した。

 この上に、⽇本から海または⼤気にトリチウムを放出してよいものだろうか︖

 地球上の⽣命は地球で誕⽣してから30憶年近く、⾃然放射能との共存は図ってきた。しかし、それは⾶び交う放射線からDNAを守る闘いの歴史であったとも⾔える。ウラン238の半減期は45億年。地球の年齢48億年とほぼ同じである。やっと⾶び交うアルファ線が半分になり、また、ウラン鉱⽯が地下深く閉じ込められることにより、⽣命はDNAを安定的に保存できるようになったと考えられる。

 その閉じ込められたウランをアメリカは核兵器開発のために掘り起し、ウランからプルトニウムを⽣産するために、原発を開発した。ソ連が核実験に成功すると、⾃らの陣営に核技術を広めるべき、「平和のための原⼦⼒」をキャッチフレーズに、世界中に原発と核技術を輸出した。⽇本は原発開発のその最先頭に⽴った。その結果は1979年アメリカ、スリーマイル島原発事故であり、1986年ソ連、チェルノブイリ原発事故であり、2011年⽇本、東京電⼒福島第⼀原発事故である。

 地下の鉱床に埋めておけば、これほどの⼈間や⽣物のDNAを傷つけることがなかったのに違いない。

「⼩員会報告」ではトリチウムの出すベータ線のエネルギーが⼩さいから、⽣物への影響が⼩さいかのように説明している。放射線⽣物学上、これは間違いである。

 エネルギーの⼩さいベータ線ほど、LETが⼩さく、従ってスプールの間隔が⼩さくなる。つまり、同じDNAにベータ線作ったフリーラジカルの爆弾をたくさん落とすのは、ベータ線のエネルギーの強い、イットリウム90やストロンチウム90ではなく、トリチウムなのである。

 また、DNAの⼆重らせんは⽔素結合によって、結ばれている。トリチウム(T)は近くに分⼦の中に⽔素(H)があると、同位体交換をすることが知られており、DNAの⽔素結合のHがトリチウムのTと交換してしまう。トリチウムの半減期は12.3年であり、⼈間が⽣きている間に崩壊する可能性が⾼い。トチリウムが体内に取り込まれ、脳や⼼臓などの様々な器官のDNAの⼀部になった場合、ある意味、ガンの時限爆弾となりうる。DNAの⽔素結合の⼀部にトリチウム(T)が置き換わった場合、トリチウムは崩壊してヘリウム(He)になる。つまり、DNAはずたずたに破壊される。

 放射線⽣物学ではバイスタンダー効果が知られており、細胞が異常死すると、その情報が近くの細胞に伝えられ、周囲の細胞の遺伝的不安定性が引き起こされることが知られている

 また、切断されてもDNAは修復されるから⼤丈夫などという放射線の専門家がいるが、これも間 違いである。DNAが⾒かけ上修復されて、異常がないように⾒えるが、DNAの⼀部分が⽋損したままDNAが修復されることがある。これを「⽋失」という。

 「⽋失」は放射線被ばくに特有なDNA損傷である。失われたDNAの部分に、細胞分裂を制御する因⼦が含まれていた場合、「⽋失」して修復されたDNAは、細胞分裂を制御することができない。

 つまり、無限に細胞分裂を繰り返すことになる。つまり、ガン細胞になる。

 DNAが切断されても、少ない数ならば修復される。だからトリチウムの被ばくは安全、は間違いである。
 トリチウムも含めて、福島第⼀原発で作ってしまった放射能は陸上で⻑期に渡って保管するべきである。
 これ以上、地球を⼈⼯放射能、死の灰で汚染してはならない。

福島第一原発の汚染水についてのパブリックコメント 川根眞也 その1

本日2020年7月31日、「多核種除去設備等処理水の取扱い」に関するパブリックコメントを提出しました。その1です。

意⾒1 川根眞也


東京電⼒福島第⼀原発の核燃料デブリを冷やすための汚染⽔は、たとえ処理されたものであって も、ウラン、プルトニウム、ストロンチウム90やセシウム137などの様々な核種を含んでいる。

法令基準を守れば、海洋に放出してよい、ものではない。

原発や再処理⼯場などの放射能の廃棄の基準は、濃度規制だけであり、放射能の総量規制が⾏わ れていない。従って、放射能を薄めて流せば、理論上はどれだけでも海洋放出できることになる。

原発や再処理⼯場などの放射能の廃棄の基準も総量規制を⾏うべきである。

また、メルトダウンを起こした福島第⼀原発の汚染⽔にはさまざまな超ウラン核種が含まれており、微量たりとも、⼈間や様々な⽣物が住む環境に放出するべきではない。
現⾏の原⼦⼒規制委員会が定めた法令では、それぞれの核種ごとに濃度限度が定めされており、様々な核種を廃棄する場合は、それぞれの濃度限度に対するそれぞれの核種の濃度の⽐を⾜し合わせて1以下になれば海洋放出も可能である。つまり、超ウラン核種でも微量であれば、⽐が1以下であれば、海洋放出が可能である。

こうした法令の⽋陥をすり抜けて、超ウラン核種を海洋放出することがあってはならない。

「多核種除去設備等処理⽔の取扱いに関する⼩委員会報告書」には、様々問題がある。
(1)福島第⼀原発の核燃料デブリを冷やした後の汚染⽔がすべて処理されているかのような議論が前提となっており、残るはトリチウムだけであるかのような宣伝をしている。

しかし、2020年7⽉30⽇NHKが報じたように「東京電⼒は福島第⼀原⼦⼒発電所の汚染⽔ を処理したあとの⽔に残る、基準を超えた放射性物質を除去する試験を2020年9⽉以降に⾏う」のであり、トリチウム以外の62核種が実際に除去できるのかは、これから取り組みである。

この海のものとも⼭のものとも分からない段階で、「トリチウム⽔を海洋放出するのが良いか、 ⽔蒸気放出するのが良いか」という問題の建て⽅は詭弁と呼ぶべきである。
パブリックコメントの提出期限本⽇2020年7⽉31⽇は東京電⼒の汚染⽔の再処理が成功するまで延期するべきだ。

(2)トリチウム⽔だけの問題で議論することが間違っている。根本的な問題は、核燃料デブリが今、どこにあるのか︖核燃料デブリはどのような状態にあるのか︖⼀体、いつまで冷却⽔をかけ続ける必要があるのか︖これらが現時点で分かっていない。
福島第⼀原発では今年2020年に⼊ってから、1〜4号機タービン建屋東側の地下⽔観測孔であいつぐ最⾼値更新を更新している。

もし、福島第⼀原発原⼦炉建屋の地下に核燃料デブリが潜り込み、地下⽔脈に⼊り込んでいると したら、天然の原⼦炉オクロのように⼩規模とは⾔え、地下で再臨界を起こす可能性すらある。福島第⼀原発をたびたび襲う⽩い霧、毎晩のように夜中の観測される放射能ダストの上昇は核燃料デブリの状態と関係があるのではないだろうか。地下⽔観測孔での放射能濃度の上昇は核燃料デブリの⼩規模再臨界を裏付けているのではないか︖
 この段階で、タンクに現存するトリチウム⽔のことだけを議論するのは、場当たり的な対応である、批判されても仕⽅がない。

  多核種除去設備で取り除いたスラッジやスラリーは今後どのように保管するのか︖⽔素が溜まり爆発する危険すらある。トリチウムだけの問題に汚染⽔問題を矮⼩化していないだろうか。そもそ も核燃料デブリを取り出すことは不可能なのではないだろうか︖

 福島第⼀原発を⻑期に渡って管理 する以外にはない。

1〜4号機タービン建屋東側および港湾のモニタリング 2020年あいつぐ 最高値更新。 福島第一原発の地下で一体何が起きているのか?

1〜4号機タービン建屋東側および港湾のモニタリング 2020年 あいつぐ最高値更新。福島第一原発の地下で一体何が起きているのか?

【出典】東京電力 福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果 1~4号機タービン建屋東側および港湾のモニタリング

https://www.tepco.co.jp/decommission/data/analysis/

【資料収集・データ分析】内部被ばくを考える市民研究会 川根 眞也

(1) 2019年に比べて、2020年は地下水観測孔の放射能汚染が急上昇している。最高値を更新した日の数。

2019年        2020年

1月 4回       1月 なし

2月 なし       2月 1回

3月 1回       3月 6回

4月 なし       4月 9回

5月 なし       5月 9回

6月 4回       6月 6回

7月 12回       7月 6回

8月 5回       

9月 2回       

10月 3回       

11月 2回       

12月 2回       

(2)最高値を更新した日。東京電力発表および地下水観測孔、その放射能の最高値。

2020年

1月 なし

2月

2020年2月5日 2月4日採取地下水観測孔No.1―8 Cs137最高値 2500Bq/L

3月

2020年3月11日 3月10日採取地下水観測孔No.1―8 Cs137最高値 2500Bq/L

2020年3月13日 3月12日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 16000Bq/L

2020年3月18日 3月17日採取地下水観測孔No.1―8 Cs137最高値 2500Bq/L

2020年3月24日 3月23日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 16000Bq/L

2020年3月25日 3月24日採取地下水観測孔No.1―8 Cs137最高値 2800Bq/L

2020年3月27日 3月23日採取地下水観測孔No.2―3 H3 7300Bq/L

4月

2020年4月1日 3月31日採取地下水観測孔No.1―8 Cs137最高値 3100Bq/L

2020年4月7日 4月6日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 16000Bq/L

2020年4月8日 4月7日採取地下水観測孔No.1―8 Cs137最高値 3200Bq/L

2020年4月11日 4月7日採取地下水観測孔No.1―14 H3最高値 28000Bq/L

2020年4月14日 4月13日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 16000Bq/L

2020年4月17日 4月16日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 18000Bq/L

2020年4月22日 4月21日採取地下水観測孔No.1―8 Cs137最高値 3900Bq/L

2020年4月24日 4月23日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 18000Bq/L

2020年4月28日 4月27日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 19000Bq/L

5月

2020年5月1日 4月30日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 19000Bq/L

2020年5月2日 5月1日採取地下水観測孔No.1―11 Cs134最高値 20 Cs137最高値 330 全ベータ最高値 7900Bq/L

2020年5月5日 5月4日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 22000Bq/L

2020年5月15日 5月14日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 22000Bq/L

2020年5月19日 5月18日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 23000Bq/L

2020年5月22日 5月21日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 24000Bq/L

2020年5月26日 5月25日採取地下水観測孔No.0ー1―2 Cs137最高値 4.3 全ベータ最高値 250 Bq/L 地下水観測孔No.0ー3―1 Cs137最高値 3.9 全ベータ最高値 230 Bq/L

2020年5月29日 5月28日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 24000Bq/L

2020年5月30日 5月27日採取地下水観測孔No.2―6 H3 12000Bq/L

6月

2020年6月2日 6月1日採取地下水観測孔No.0ー1―2 Cs137最高値 4.3 地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 26000Bq/L

2020年6月5日 6月4日採取地下水観測孔No.3―4 全ベータ最高値 410Bq/L

2020年6月12日 6月11日採取地下水観測孔No.1―11 H3 6100 地下水観測孔No.3―4 全ベータ最高値 630Bq/L

2020年6月23日 6月22日採取地下水観測孔No.0ー3―1 Cs137最高値 3.9Bq/L

2020年6月26日 6月25日採取地下水観測孔No.3 Cs137最高値 25Bq/L

2020年6月30日 6月29日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 28000Bq/L

7月

2020年7月1日 6月30日採取地下水観測孔No.1 Cs137最高値 38Bq/L

2020年7月10日 7月9日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 33000Bq/L

2020年7月15日 7月10日採取地下水観測孔No.1―14 H3最高値 44000Bq/L

2020年7月21日 7月20日採取地下水観測孔No.0ー1―2 Cs137最高値 5.7 地下水観測孔No.0ー3―1 Cs137最高値 5.5 Bq/L

2020年7月29日 7月28日採取地下水観測孔No.0―3-2 全ベータ最高値 260Bq/L

2020年7月31日 7月30日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 50000Bq/L

(3)どの地下水観測孔が最高値を更新しているのか?

・地下水観測孔No.2―3

全ベータ

3月12日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 16000Bq/L

3月23日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 16000Bq/L 最高値タイ

4月6日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 16000Bq/L 最高値タイ

4月13日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 16000Bq/L 最高値タイ

4月16日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 18000Bq/L

4月23日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 18000Bq/L 最高値タイ

4月27日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 19000Bq/L

4月30日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 19000Bq/L 最高値タイ

5月4日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 22000Bq/L

5月14日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 22000Bq/L 最高値タイ

5月18日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 23000Bq/L

5月21日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 24000Bq/L

5月28日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 24000Bq/L 最高値タイ

6月1日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 26000Bq/L

6月29日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 28000Bq/L

7月9日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 33000Bq/L

7月30日採取地下水観測孔No.2―3 全ベータ最高値 50000Bq/L

H3

3月23日採取地下水観測孔No.2―3 H3 最高値7300Bq/L

・地下水観測孔No.1

Cs137

6月30日採取地下水観測孔No.1 Cs137最高値 38Bq/L

・地下水観測孔No.1―14

H3

4月7日採取地下水観測孔No.1―14 H3最高値 28000Bq/L

7月10日採取地下水観測孔No.1―14 H3最高値 44000Bq/L

・地下水観測孔No.2―6

H3

5月27日採取地下水観測孔No.2―6 H3 最高値12000Bq/L

・地下水観測孔No.1―11

H3

6月11日採取地下水観測孔No.1―11 H3 最高値6100q/L

Cs134

5月1日採取地下水観測孔No.1―11 Cs134最高値 20Bq/L

Cs137

5月1日採取地下水観測孔No.1―11  Cs137最高値 330Bq/L

全ベータ

5月1日採取地下水観測孔No.1―11 全ベータ最高値 7900Bq/L

・地下水観測孔No.1―8

Cs137

2月4日採取地下水観測孔No.1―8 Cs137最高値 2500Bq/L

3月10日採取地下水観測孔No.1―8 Cs137最高値 2500Bq/L 最高値タイ

3月17日採取地下水観測孔No.1―8 Cs137最高値 2500Bq/L 最高値タイ

3月24日採取地下水観測孔No.1―8 Cs137最高値 2800Bq/L

3月31日採取地下水観測孔No.1―8 Cs137最高値 3100Bq/L

4月7日採取地下水観測孔No.1―8 Cs137最高値 3200Bq/L

4月21日採取地下水観測孔No.1―8 Cs137最高値 3900Bq/L

・地下水観測孔No.3

Cs137

6月25日採取地下水観測孔No.3 Cs137最高値 25Bq/L

・地下水観測孔No.3―4

全ベータ

6月4日採取地下水観測孔No.3―4 全ベータ最高値 410Bq/L

6月11日採取地下水観測孔No.3―4 全ベータ最高値 630Bq/L

・地下水観測孔No.0ー1―2

Cs137

5月25日採取地下水観測孔No.0ー1―2 Cs137最高値 4.3 Bq/L 

6月1日採取地下水観測孔No.0ー1―2 Cs137最高値 4.3Bq/L 最高値タイ

7月20日採取地下水観測孔No.0ー1―2 Cs137最高値 5.7Bq/L

全ベータ

6月1日採取地下水観測孔No.0ー1―2 全ベータ最高値 250 Bq/L

・地下水観測孔No.0―3-2

全ベータ

7月28日採取地下水観測孔No.0―3-2 全ベータ最高値 260Bq/L

・地下水観測孔No.0―3-1

Cs137

5月25日採取地下水観測孔No.0ー3―1 Cs137最高値 3.9 Bq/L 

6月22日採取地下水観測孔No.0ー3―1 Cs137最高値 3.9Bq/L 最高値タイ

7月20日採取地下水観測孔No.0ー3―1 Cs137最高値 5.5 Bq/L

全ベータ

5月25日採取地下水観測孔No.0ー3―1 全ベータ最高値 230 Bq/L

(4)一体、何が起きているのか?東京電力が凍土遮水壁を完成させたのは、2016年2月9日。海側をすべて凍結させたのが、2016年10月13日である。つまり、2016年1月までは、地下水がボロボロになった福島第一原発の地下1階にしみ込み放題であったのであり、また、そこのヒビわれた地下1階からは放射能汚染水が地下水を通じて、福島第一原発港湾に流れ出ていた。

 完全ではないにしても、東急電力の完成させた凍土遮水壁は一定程度、福島第一原発への地下水の流入を押さえ、また、放射能汚染水が海へと流れていくことを防いできた、と言える。

 上記、毎月全ベータ最高値を更新している地下水観測孔No.2―3では、3月16日全ベータ16000Bq/Lが7月30日には50000Bq/Lと3.1倍の濃度にもなっている。

 この地下水観測孔No.2―3は凍土遮水壁の完成前の2016年1月は、そして、完成運用開始後の2016年11月は全ベータの数値の最高値を調べてみた。

地下水観測孔No.2―3

凍土遮水壁完成前

2016年1月 全ベータ最高値600Bq/L(2015年12月31日採取)

凍土遮水壁運用開始後

2016年11月 全ベータ最高値920Bq/L(2016年11月21日採取)

 この地下水観測孔No.2―3では、今年2020年3月16日全ベータ16000Bq/Lが7月30日には50000Bq/Lにまでなっているのである。何かが起きているとしか考えるしかない。単純に雨水が流入したからである、とは考えることができない。

 特にトチリウム(H3)の最高値がこの地下水観測孔No.2―3で2020年3月23日に最高値7300Bq/Lになっている。他にも

地下水観測孔No.2―3で2020年3月23日にH3最高値7300Bq/L

地下水観測孔No.1―14で2020年4月7日にH3最高値28000Bq/L、7月10日にH3最高値44000Bq/L

地下水観測孔No.1―11で2020年6月11日にH3最高値6100Bq/L

2016年1月 2016年11月の上記の各地下水観測孔でのトリチウム(H3)の最高値は

            2016年1月凍土遮水壁完成前 2016年11月凍土遮水壁運用開始後

地下水観測孔No.2― 3  4000Bq/L(1/14採取)      920Bq/L(11/21採取)

地下水観測孔No.1―14  7800Bq/L(1/19採取)      6900Bq/L(11/15採取) 

地下水観測孔No.1―11  2200Bq/L(1/ 8採取)       1500Bq/L(11/25採取)

 明らかに、今年、2020年に福島第一原発の地下で何かが起きていると考えることができる。

 地下水観測孔No.1―8で2020年2月から4月にかけてじわじわとセシウム137の濃度が上がっていったこと。そして、2020年5月からは地下水観測孔No.0―1―2と地下水観測孔No.0―3―1でセシウム137濃度が上昇している。同地下水観測孔では、全ベータの濃度も上昇傾向にある。

 これらの注目すべき地下水観測孔はみな1号機、2号機の原子炉建屋の海側にある。1号機、2号機の核燃料デブリが地下に潜り込み、天然の原子炉と呼ばれるオクロ原子炉のように、地下でウランまたはプルトニウムが1箇所に溜まり、小規模な再臨界を起こしているのではないか?

東京電力 福島第一原子力発電所 護岸地下水サンプリング箇所 編集 川根眞也
東京電力 福島第一原子力発電所 護岸地下水サンプリング箇所 と1~4号機原子炉建屋の位置関係 編集 川根眞也

6月例会のお知らせ 2020年7月12日(日) 13:30 ツイャスのみ配信

※ 偶数月に埼玉県さいたま市で開催していました。新型コロナウィルス感染が全国で爆発的に拡大しています。今年度は基本的にインターネット中継でのみ行います。以下、ツイキャスをご覧下さい。

日 時 7月12日(日) 13:30〜15:30
場 所 内部被ばくを考える市民研究会ツイキャス
http://twitcasting.tv/naibuhibakushim/show/
参加費 無料

本日のテーマ

1. 東京電力福島第一原発の現状について 2号機核燃料デブリの試験的

  取出しと放出される放射能 13:30~ 報告:川根眞也

2. ロシアの原発事故2020年6月初旬の事実報道は? 13:50~

  報告:川根 眞也

3. トチリウム汚染水を日本の海に流してはいけない3つの理由 14:10~

  報告:川根 眞也

4. 放射能汚染土壌のばらまき問題 14:30~ 報告:川根眞也

5. 電磁波、5G問題について 14:50~ 報告:川根眞也

6. 新型コロナ感染症と首都圏の内部被ばく 「能力減退症」

 15:10~ 報告:川根眞也

※ 諸事情によりプログラムが変更になる場合があります。

※ 当日はツイキャス中継のみを行います。

※ 6月例会終了後、ネット懇親会を20:00~22:00行います。会員限定です。会員の方で希望させるかたはZoomのアカウントを作ってお待ちください。ネット懇親会のご案内を差し上げます。

http://twitcasting.tv/naibuhibakushim/show/ こちらでは、生中継の他、過去の動画を見ることも出来ます。 聞き逃した情報などもチェックしてみてください。 それでは、沢山のご参加をお待ちしています。  

【お問い合わせ】entry.naibu@gmail.com 内部被ばくを考える市民研究会事務局

内部被ばくを考える市民研究会



福島県の甲状腺ガンの検査3回目でいわき市など浜通りの発症率が高いー第13回甲状腺評価部会2020年6月15日

 福島県「県民健康調査検討委員会」の甲状腺評価部会が2020年6月15日開かれました。以下が福島民友、福島民報、読売新聞の福島版の記事です。朝日新聞、毎日新聞は翌日6月16日の朝刊では、全国版でも福島版でも記事を書きませんでした。
 読売新聞は翌日6月16日の朝刊では、全国版では記事を書きませんでしたが、福島版では、『 がんリスク大半はない 甲状腺被曝線量 平均1.2~15ミリシーベルト 7市町村1歳児 』(同25面)に記事を書きました。

 読売新聞や福島民報の記事は、甲状腺評価部会の見解を垂れ流しするだけでの「大本営発表」記事です。しかし、朝日新聞、毎日新聞は甲状腺評価部会が開かれたことする記事にしないという立場を取っています。

 こうして、福島県の子どもたちに多発している甲状腺ガンの問題が、福島県地域限定の問題へと矮小化されて、原発事故が起きたことすら忘れさられていくのです。これは人々の責任だけではなく、新聞・テレビ局の報道姿勢にも原因があると思います。

福島民友 がんや疑い 浜通り最多 甲状腺3巡目検査 年齢、性別は考慮せず 
2020年6月15日 福島民友 2面

本格検査(検査3回目)の地域別に見たBC判定者、悪性または悪性疑い者の割合 福島民友 2020年6月16日 2面

がんや疑い 浜通り最多 甲状腺3巡目検査 年齢、性別は考慮せず 2020年6月15日 福島民友 2面

福島民報 本格検査(検査3回目)の地域別に見たBC判定者、悪性または悪性疑い者の割合
福島民友 2020年6月16日 2面  

国連被ばく推計活用へ 県民健康調査検討委 甲状腺評価部会 2020年6年16日 福島民報 2面

がんリスク大半はない 甲状腺被曝線量 平均1.2~15ミリシーベルト 7市町村1歳児 
2020年6月16日 読売新聞 福島版 25面

がんリスク大半はない 甲状腺被曝線量 平均1.2~15ミリシーベルト 7市町村1歳児 2020年6月16日 読売新聞 福島版 25面

福島第一原発事故後の甲状腺がん 原発事故当時高校の世代で甲状腺がんが多発しているのではないか?25歳時の節目検査をやめ、20歳以上は毎年の甲状腺検査をやるべき(その4)                 2020年6月13日          内部被ばくを考える市民研究会 川根 眞也

福島第一原発事故後の甲状腺がん 原発事故当時高校の世代で甲状腺がんが多発しているのではないか?25歳時の節目検査をやめ、20歳以上は毎年の甲状腺検査をやるべき(その4)
                       2020年6月13日
                       内部被ばくを考える市民研究会 川根 眞也

(5)各年齢ごとの甲状腺ガン発症率を隠ぺいする工作と20歳以上の子どもたちを検査しないことで甲状腺ガンの発症数を少なくする手口

 非常に分かりにくいですが、以下が先行検査(2011、2012、2013年度)、本格検査2回目(2014、2015年度)、本格検査3回目(2015、2016年度)、25歳時の節目検査の年齢区分です。

福島県民健康調査検討委員会 甲状腺検査 年齢階層別分け方の経過

 スクリーニング検査を行いながら、小甲状腺ガンの発症傾向を分析するから、当然、原発事故当時の同じ年齢区分で、次々と調査をするものと筆者は思っていました。しかし、事実は違います。先行検査→本格検査2回目→本格検査3回目+節目検査と年齢区分がずれていくのです。これでは、同じ年齢層がどれくらい甲状腺ガンを発症しているのか、その発症率があいまいになります。

 これは意図的に、被ばくした年齢層と発症率との関係をあいまいにして、被ばく影響を誤魔化すために計画されたプランだと思います。

 また、先行検査から、避難指示の出た13市町村、中通り12市町村、いわき市・会津32市町村の3つの地域区分で集計されていました。ところが会津といわき市とではヨウ素131のプルームの濃さがまったく違います。時間帯によっては数十倍ヨウ素131がいわき市の方が濃いときがありました。このいわき市と会津を同じ地域区分にして集計することで、原発事故の放射能と健康被害との関係を平均化する効果があります。

 会津といわき市が別々のグループで評価されていれば、甲状腺がんの発症率の差は明らかになります。ところが甲状腺ガンの発症率が高いいわき市と低い会津を同じグループにすることで、差が分からなくなります。また、いわき市の次に濃いヨウ素131のプルームが通った福島市や伊達市、二本松市などの中通りと比べたときには、本来は、甲状腺ガンの発症率は

① いわき市

② 中通り

③ 会津

となるはずですが、いわき市と会津と同じグループにすることで

〇 いわき市・会津 ⇔ 〇 中通り

と双方が同じ甲状腺ガンの発症率に近づいていくことになります。

甲状腺ガンの発症率に地域差がないから、福島の甲状腺ガンの多発は原発事故による放射線の影響とは考えられない、という中間まとめの結論は誤っています。「原発事故による放射線の影響とは考えられない」という結論を出すために、福島県県民健康調査検討委員会の甲状腺検査の地域の枠組みはいじられたきた、と言うべきです。

 さらに、悪質なのは、先行検査が終わった後、本格検査2回目からは、避難指示の出た13市町村と福島市などの中通りを一緒のくくりにして検査結果を発表するようにしたことです。年齢区分もずれてくる、避難指示が出たところと避難指示が出ていないところとを同じ統計グループとして公表する。統計の基本中の基本、統計をとっている途中で対象集団を変更しない、を守っていません。これもまた、上記と同じように甲状腺ガンの発症率の差がでないようにする悪質な工夫です。

 福島県県民健康調査検討委員会の甲状腺検査の致命的な誤りは本格検査3回目からは、「節目検査」と称して、それまで2年置きに全員が検査を受ける機会を用意したのを、20歳を超えた21歳からは5年に一度にしたことです。このため20歳で検査を受けた青年は25歳まで検査を受けないことになりました。原発事故当時に中学3年生で高校の合格発表で一日屋外にいてもっとも被ばくした世代は本格検査3回目が始まった2016年には、ちょうど19歳か20歳。本格検査4回目は2年後ですから、この原発事故当時に中学3年生だった世代は次に甲状腺検査を受けるは、2021年以降になります。つまり、東京パラリンピック、オリンピックが終わってから。新型コロナの影響でオリンピックは中止になるでしょうが。

 この「節目検査」は東京オリンピック前に何十人もの甲状腺ガンの患者を見つけないための作戦だったとしか考えようがありません。

 この「節目検査」は2018年から開始され、すでに2018、2019年度で25歳時の節目検査が終わっているはずです。対象者44,542人のうち一次検査を受診したのはわずか4,277人、実に9.6%しか受けていません。10人に9人は甲状腺検査を受けていないことになります。しかし、この4,277人から4人の甲状腺ガンの患者が出ています。もし、25歳になった方々が全員甲状腺検査を受ければ、この10倍、つまり、40人の甲状腺ガンの患者が見つかる可能性があるのです。

 ここで髙野徹氏の言論に戻ります。「若者には微小な甲状腺ガンが見つかることがある。」「20歳未満の甲状腺がんの予後は、他の臓器のがんに比較してきわめて良好な予後を示す成人の甲状腺がんと比較してもさらに良好であり、長期経過を観察したデータでもである がん死する症例は1-2%とまれ 」「子どもたちが“がん患者”であるというレッテルを貼られることで、進学、就職、結婚、出産においてハンディを負うことになる」と主張しています。

福島県民健康調査検討委員会 小児甲状腺がん 25歳時の節目検査 悪性および悪性疑いの人数と一次・二次検査受診率、二次検査確定による調整

「がん死する症例は1-2%とまれ」自分の子どもが100人中の1人か2人になるかもしれない、ということを髙野徹氏は考えられないのでしょうか?

「20歳未満の甲状腺がんの予後は、他の臓器のがんに比較してきわめて良好な予後を示す成人の甲状腺がんと比較してもさらに良好」とは、通常の甲状腺ガンのことを指しているのであり、ウクライナやベラルーシ、ロシアの症例で、「成人の甲状腺がんと比較してもさらに良好」という疫学データと臨床研究はあるのでしょうか?西側の患者を診たこともない、実際の患者統計や臨床研究をやったこともない学者の論文だけで議論を組み立てていないでしょうか?

 「若者には微小な甲状腺ガンが見つかることがある。」「潜在性の甲状腺がんが若年者に高頻度で存在する」ならば、先行検査でも、本格検査2回目でも、年齢別の患者数のグラフは右上がりになるはずです。

なぜ、高校3年生や高校2年生の世代でピークがあるグラフができるのでしょうか?(先行検査)なぜ、高校1年生の世代でピークがあるグラフができるのでしょうか?(本格検査2回目)

 被ばく線量と甲状腺ガンの発症率とに相関関係は見らなかったと強弁していますが、いわき市を会津と分けて解析したどうなりますか?各市町村の水道水で出たヨウ素131の濃度と甲状腺ガンの発症率との相関を取られたらどうですか?

 髙野徹氏の青年から微細な甲状腺ガンがあるので、福島県の甲状腺ガンは原発事故の放射線の影響ではない。あえてスクリーニング検査で甲状腺ガンを見つけて、手術することは本人に“がん患者”であるというレッテルを貼ることになり、進学、就職、結婚、出産においてハンディを負うことになるからデメリットの方が大きい、と言う主張は、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの住民の健康被害を調査してから、言って欲しいです。現在でも高放射能汚染地帯で地元野菜や牛乳、きのこを食べている住民は甲状腺ガンを発症しています。40代で多臓器ガンにかかって亡くなる人がいます。女性は妊娠できず、やっと生まれても白血病で亡くなるケースがあります。高放射能汚染地域で起きているのは、原発事故から10数年間の小児甲状腺ガンだけではありません。さまざまなガンや白血病、不妊、そして先天的奇形です。甲状腺ガンは原発事故から34年たった現在でも多発しています。原因はヨウ素131ではなく、食べ物からまたは塵・ほこりを吸い込んだ時に入るセシウム137やストロンチウム90でしょう。かの地の住民の健康被害を見ないことをするのは簡単です。International Dose Response Society などの論文だけを読んでいればいいのですから。

 しかし、目の前の子どもたちとその子どもたちの未来に、福島県県民健康調査検討委員会、甲状腺評価部会のメンバーは責任があります。かの地の住民の健康被害も調べずに無責任なまとめを出さない欲しい。スクリーニング検査をやったならやったで、きちんと統計データが整理できる枠組みを用意してほしい。そして、現在、甲状腺ガンが多く発症している20歳の検診と治療をきちんとやってほしい。

 「節目検査」はただちにやめ、20歳以上はハイリスクグループとして、毎年検診を行うべきです。

 ベラルーシは現在事故から34年経った現在でも、チェルノブイリ原発事故事故当時0~18歳だった世代には、年1回の甲状腺検査を行う体制を取っています。6歳の男の子を連れて検診に来たお父さんに医師があなたは何歳だと聞き、そのお父さんが32歳だというと、医師は「あなたは原発事故当時5歳だったからあなたもベッドに横になり、超音波検診を受けなさい」と言いました。(チェルノブイリ原発事故から27年目のベラルーシ、ブレスト州にて)

 日本は何をやっているのでしょう?ウクライナ、ベラルーシ、ロシアに学ぶべきだと思います。

福島第一原発事故後の甲状腺がん原発事故当時高校の世代で甲状腺がんが多発しているのではないか?25歳時の節目検査をやめ、20歳以上は毎年の甲状腺検査をやるべき(その3)                  2020年6月13日          内部被ばくを考える市民研究会 川根 眞也

福島第一原発事故後の甲状腺がん 原発事故当時高校の世代で甲状腺がんが多発しているのではないか?25歳時の節目検査をやめ、20歳以上は毎年の甲状腺検査をやるべき(その3)

                          2020年6月13日

                          内部被ばくを考える市民研究会 川根 眞也

(4)福島県民健康調査検討委員会が調べた甲状腺ガンを一次検査受診率、二次検査受診率で調整すると、高校生にピークがある。年齢が高くと甲状腺ガンを発症する割合が高くなることはない。

 福島県民健康調査検討委員会や新聞テレビはさかんに、チェルノブイリ原発事故では、原発事故当時1~6歳の子どもたちが一番小児甲状腺ガンにかかった、と宣伝してきました。このため、あたかも、中学生、高校生、大学生になっても甲状腺ガンを発症していなければ、原発事故の放射能を吸っていても、甲状腺ガンを発症しないかのような幻想を与えてきました。その結果、18歳を超えると、甲状腺検査の受診率が極端に低くなりました。先行検査(2011、2012、2013年度)では、原発事故当時年齢で0~5歳、6~10歳、11~15歳、16~18歳の一次検査受診率は、3つの地域を合わせて、それぞれ85.7%、95.8%、83.19%、52.7%と高校卒業後の一次検査受診率が極端に低いです。また、二次検査の受診率がなぜが92.8%と100%ではありません。甲状腺に異常があるかもしれないのに、二次検査を受けていないのです。

 つまり、県民健康調査検討委員会が発表している、甲状腺ガンの性別と年齢による分布図は実態とかけ離れたものです。特にそれは16~18歳の年齢層で大きな差があります。また、髙野徹氏が主張するように、年齢が上がるほど、甲状腺ガンの発症率があがるのではありません。

福島県民健康調査検討委員会 小児甲状腺がん 先行検査(2011年、2012年、2013年) 悪性および悪性疑いの人数と受診率による調整 川根眞也

表 福島県民健康調査検討委員会 小児甲状腺がん 先行検査(2011、2012、2013年度)悪性および悪性疑いの人数と受診率による調整

 この一次検査受診率、二次検査受診率により、小甲状腺ガンの人数を調整すると、次ページのようなグラフになります。明らかに、高校生3年生、高校2年生の発症率が高いことが分かります。木村真三氏は政府の「第8回東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」で、長時間部活動を続けてきた高校生の内部被ばくについて調査するべきだ、と主張しています。

意見 福島県内の旧警戒区域等以外は、避難指示が出ておらず、指示系統の混乱から、小中学校以下の子ども達と異なり、長時間外活動(部活動)を続けてた高校生や18歳未満の建設作業員などへの状況調査を進める必要がある。   ―木村真三 第8回東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議 2013年7月16日 木村真三提出資料
福島県民健康調査検討委員会 先行検査(2011年、2012年、2013年)における小児甲状腺がんの患者と性別と年齢(原発事故当時)
福島県民健康調査検討委員会 先行検査(2011年、2012年、2013年)における小児甲状腺がん 悪性および悪性疑いの人数を一次検査受診率および二次検査受診率で調整した人数

 更に、ウクライナの放射線医学総合研究所のセルゲイ・クリメンコ教授は、高線量の被ばくをした0~4歳の子どもたちは15~18歳で甲状腺ガンを発症するが、低線量の被ばくをした0~4歳の子どもたちは20~24歳で甲状腺ガンを発症すると述べています。

<資料提供>食品と暮らしの安全 小若順一 2015年12月1日 キエフ 

チェルノブイリ原発事故当時0ー4歳の子どもたち 高線量被ばくと低線量被ばくの子どもたちが甲状腺がんと診断された症例数 10万人あたり セルゲイ・クリメンコ教授 20151201キエフ

セルゲイ・クリメンコ教授作成資料 ウクライナ放射線医学研究所

<日本語訳>川根 眞也

 それがまさに、この先行検査(2011、2012、2013年度)では、高校3年生や高校2年生がもっとも多く甲状腺ガンを発症していることと、そして、本格検査2回目(2014、2015年度)で高校1年生がもっとも多く甲状腺ガンを発症していることと一致するのではないでしょうか?

先行検査の追補版は2016年3月31日現在です。原発事故から4年経ち、高校3年生(当時17歳)は21歳に、高校2年生(当時16歳)は20歳になっています。まさに高い被ばくをした子どもたちが20歳になってから多く発症しているのではないでしょうか?

福島県民健康調査検討委員会 小児甲状腺がん 本格検査2回目先行検査(2014年、2015年) 悪性および悪性疑いの人数と受診率による調整 川根眞也

 本格検査2回目の追補版は2018年3月31日現在です。原発事故から6年経ち、高校1年生(当時15歳)が21歳になっています。これもまた、高い被ばくをした子どもたちが20歳になってから多く発症しているのではないでしょうか?

 チェルノブイリ原発事故では、原発事故から1週間以上も市民に原発事故が起きたことは伝えられず、知らずに市民は子どもたちにヨウ素131で汚染された牛乳を飲ませていました。1986年5月1日のメーデーではデモにも出かけ、つりをしたり、日光浴をしたりしていました。

 日本の福島第一原発事故では、1号機の爆発からおよそ1時間40分後には福島中央テレビは爆発のようすを報道していました。原発事故は小さな子どもを持つ親たちにはその日のうちに伝わっていたのです。問題は原発事故が起きたにもかかわらず、避難指示区域以外の高校では2011年3月16日高校の合格発表が行われたことです。当時の中学3年生は1日中屋外にいました。福島市などでは雨にも浴びたと言います。そして、中学、高校で部活動を屋外でやっていたこと。同じ町に住んでいたとしても、小学校入学前の幼児と、中学生、高校生の子どもでは、本来は幼児の甲状腺吸収線量が大きくなるにもかかわらず、中学生、高校生で部活動を屋外でやっていた子どもの甲状腺吸収線量が大きくなることがありえます。

福島県民健康調査検討委員会 小児甲状腺がん 本格検査2回目先行検査(2014年、2015年) 悪性および悪性疑いの人数と受診率による調整 川根眞也
福島県民健康調査検討委員会 本格検査2回目(2014年、2015年)における小児甲状腺がん 悪性および悪性疑いの人数を一次検査受診率および二次検査受診率で調整した人数

 木村真三氏が2013年7月16日に、避難指示の出なかった地域における高校生の部活動による内部被ばくを指摘しているにも、かからず、福島県県民健康調査検討委員会は第12回2013年8月20日から第38回5月25日に至るまで、一度も、高校生の内部被ばくについて検討していません。

 未だに「一次検査の結果での精密検査が必要となるB判定の割合や悪性ないし悪性疑いの発見率は、事故当時の年齢、二次検査時点の年齢が高い年齢層ほど高かった。これは、チェルノブイリ事故後に低い年齢層により甲状腺がんが多く発見されたものと異なっている。年齢の上昇に伴いがんが見つかることは、一般的ながんの発症と同様である。」(本格検査2回目結果に対する甲状腺評価部会まとめ)と述べています。チェルノブイリ原発事故後の小児甲状腺ガンの発症が多かった年齢と違うから、福島の子どもたちの甲状腺ガンは原発事故の放射能の影響ではない、と主張しています。

 そもそも、チェルノブイリ原発事故と日本の原発事故では、もっとも被ばくした子どもたちの年齢層が違う、ということをあえて見ていない、としか考えられません。

福島第一原発事故後の甲状腺がん原発事故当時高校の世代で甲状腺がんが多発しているのではないか?25歳時の節目検査をやめ、20歳以上は毎年の甲状腺検査をやるべき(その2)                 2020年6月13日          内部被ばくを考える市民研究会 川根 眞也

福島第一原発事故後の甲状腺がん 原発事故当時高校の世代で甲状腺がんが多発しているのではないか?25歳時の節目検査をやめ、20歳以上は毎年の甲状腺検査をやるべき(その2)

                          2020年6月13日

                       内部被ばくを考える市民研究会 川根 眞也

(2)髙野徹氏ら、福島県県民健康調査検討委員会の甲状腺評価部会は、2019年7月甲状腺検査本格検査(検査2回目)結果に対する部会まとめ(案)を公表しました。本来であれば、甲状腺評価部会において討議・合意の上、公表されるべきですが、2019年7月8日第35回県民健康調査検討委員会で異論があいつぎ、座長預かりとなりました。

その異論のもっとも大きなものは、UNSCEAR(国連科学委員会)が推計した住民の被ばく線量(甲状腺吸収線量)を基に、福島県を3つの地域に分け、被ばく線量が違うのに3つの地域での甲状腺ガンの発症率がほとんど変わらない、としたことです。従って、甲状腺ガンは福島第一原発事故による放射線の影響ではない、という点でした。

臨床心理士の成井香苗氏は、1巡目の報告書で採用していた4区分で解析したところ、線量の高いとみられる避難区域、中通り、浜通り、会津の順に甲状腺がんが多かったとしたことを指摘しました。部会で研究デザインが大幅に変更されたのは理解できないと強く反発しました。福島県内を回って心理職をしている立場として地域4区分は妥当な区分だと実感しているとして、線量が不確かなのは、UNSCEARの推計も変わらないと反論。「なぜ4地区で解析できないのか」と迫りました。(甲状腺がん報告書を一部修正へ〜「被曝と関係認められない」見直し our planet tv 2019年7月5日)

 結局、十分な議論がされないまま、福島県のホームページ上で、2019年7月甲状腺検査本格検査(検査2回目)結果に対する部会まとめが公表されました。その結論は、本格検査2回目では、甲状腺ガンの発症率に地域差が見られず、原発事故との因果関係は考えにくい、というものでした。

甲状腺検査本格検査(検査2回目)結果に対する 部会まとめ 一部抜粋                            2019年6月(7月に公表された)  所見 一次検査の結果での精密検査が必要となるB判定の割合や悪性ないし悪性疑いの発見率は、事故当時の年齢、二次検査時点の年齢が高い年齢層ほど高かった。これは、チェルノブイリ事故後に低い年齢層により甲状腺がんが多く発見されたものと異なっている。年齢の上昇に伴いがんが見つかることは、一般的ながんの発症と同様である。 男女比がほぼ1対1となっており、臨床的に発見される傾向(1対 6程度)と異なる。潜在癌で見つかる場合や、年齢が低いほど男女比が小さくなる傾向などの報告もあるが、男女比と被ばくとの関係についての評価は今後の課題として残されている。 悪性ないし悪性疑いの発見率を単純に4地域で比較した場合にした場合においては、差があるようにみえるが、それには検査実施年度、先行検査からの検査間隔など多くの要因が影響しており、それらの要因を考慮した解析を行う必要がある。 発見率に影響を与える要因を可能な限り調整し、暫定的に年齢別・市町村別UNSCEAR推計甲状腺吸収線量を用いて行った線量と甲状腺がん発見率との関連との解析においては、線量の増加に応じて発見率が上昇するといった一貫した関係(線量・効果関係)は認められない。 よって、現時点において、甲状腺検査本格検査(検査2回目)に発見された甲状腺がん回目)に発見された甲状腺がんと放射線被ばくの間と放射線被ばくの間の関連は認められない。

(3)国連科学委員会(UNSCEAR)の甲状腺吸収線量は内部被ばくを過小評価している

 海野信也氏(北里大学医学部)らは、2012年福島第一原発から100km、200km離れて生活していた母親23人の母乳から2.2~最大8ベクレル/kgのヨウ素131が検出されていたことを報告しています。

2011年4月25日 茨城県水戸市(原発から南130km)の母親の母乳ヨウ素131 8ベクレル/kg。

当時の茨城県水戸市の水道水3月26日ヨウ素131 1.4(4月22日),1.2(4月25日), ND(5月9日)ベクレル/kg。

<参考>海野信也ほか Effect of the Fukushima nuclear power plant accident on radioiodine (131I) content in human breast milk The Journal of Obstetrics Gynaecol Research 2012 May;38(5):772-9.

 この論文に基づき、放射線医学総合研究所は海野氏の論文のデータと急性摂取モデルによりによる母親と幼児の等価線量を推定しました。

<参考>福島事故後の母乳測定データの解析 放射線医学総合研究所 第6回東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議 2014年5月20日

福島第一原発より45km南のいわき市を含む福島県や220km南西の茨城県や千葉県の母親の推定線量は119ミリシーベルトから432ミリシーベルトと評価されました。その母親の乳児の推定線量は330ミリシーベルトから1199ミリシーベルトと評価されます。

授乳婦23の母乳のヨウ素131の濃度と水道水のヨウ素131の濃度 海野信也 2012年

母乳のヨウ素131

10-1 水戸市(130km,南) 

8.0Bq/Kg (4/25)

   水道水 1.4(4/22)

       1.2(4/25)

       ND(5/9)

 表 2011年4月の茨城県や千葉県23人の母親の母乳から検出されたヨウ素131 海野,2012年

乳児の線量(急性摂取) 放射線医学総合研究所 2014年5月20日

表 乳児の線量(急性摂取) 放射線医学総合研究所 2014年5月20日

授乳婦が1000,000ベクレルのヨウ素131を急性摂取していた場合、その乳児の甲状腺等価線量は1199ミリシーベルト、その授乳婦の甲状腺等価線量は432ミリシーベルトと評価できることを示している。

授乳婦の線量(急性摂取) 放射線医学総合研究所 2014年5月20日

表 授乳婦の線量(急性摂取) 放射線医学総合研究所 2014年5月20日

授乳婦の母乳から8ベクレル/kgのヨウ素131が測定された場合、その授乳婦のからだは1000,000ベクレルのヨウ素131を急性摂取していたと評価できることを表している。

 一方、福島県県民健康調査検討委員会の甲状腺評価部会が採用した、国連科学委員会(USCEAR)2013年報告書では、プルームを吸入摂取したことによる甲状腺吸収線量はいわき市の8.49ミリシーベルトが最大であり、1歳児についてのプルームを吸入摂取したことによる甲状腺吸収線量はいわき市の17.76ミリシーベルトが最大です。さきの母乳から8ベクレル/kgもヨウ素131が出た母親が生活していた、茨城県水戸市で大人、1歳児がプルームを吸入摂取したことによる甲状腺吸収線量はそれぞれ0.30ミリシーベルト、0.50ミリシーベルトと著しく過小評価していることになります。

 しかも、国連科学委員会(USCEAR)は2011年3月11日からの1年間の甲状腺吸収線量を評価している、としています。

<参考>国連科学委員会(USCEAR)2013年報告書

Annex A、 ATTACHMENT C―16、 Table C―16.2 の推定甲状腺総吸収線量(Total)

Annex A、ATTACHMENT C-18, Table C-18.5 の推定甲状腺総吸収線量(Total dose)

 海野信也氏の母乳のヨウ素131は実測値です。放射線医学総合研究所の甲状腺等価線量の評価は、この実測値に基づき、乳児は330~1199ミリシーベルト、母親は119~432ミリシーベルトと評価したのです。国連科学委員会(USCEAR)の被ばく線量の推計は、実測値に基づかないモデルによるものであり、まったく信用できないことは明白です。

 福島第一原発から放出された、ヨウ素131のプルームの風向きは2011年3月15日も刻一刻と変化していました。ですから、推計ではなく、住民の甲状腺モニタ等の内部被ばくデータのみが、被ばく線量の評価にとって、決定的に重要でした。そのデータを取らなかったのは、放射線医学総合研究所です。本来は原発事故など緊急被ばく医療を行うべき機関として設置され、莫大な予算をもらっているにもかかわらず。また、福島県民の被ばくは100ミリシーベルトを超えないと、福島県民に安定ヨウ素剤の配布・投与は必要ない、とアドバイスしたのも、放射線医学総合研究所です。

 その放射線医学総合研究所の職員は自分たちについては、きちんと甲状腺モニタで内部被ばくを測っていました。

 放射線医学総合研究所の栗原理氏は、2011年3月15日夜~3月18日に福島市に入りました。彼はもし3月15日に一度だけヨウ素131を急性摂取したとすると、彼はその1回に3,400ベクレル摂取しただろうと評価しています。先の茨城県水戸市の母親の推定1000,000ベクレルと比べてと桁違いに少ないことが分かります。

この資料には、栗原理氏が安定ヨウ素剤を服用していたか、は書かれていません。しかし、福島県立医科大学の医師、看護師は病院から逃げ出しそうになったため、医師、看護師とその家族には安定ヨウ素剤が配布され、全員飲んでいます。福島第一原発に投入された自衛隊員も現場に行く直前に安定ヨウ素剤を服用しています。緊急被ばく医療の専門家である、放射線医学総合研究所の職員が安定ヨウ素剤を服用することの抜きに、福島市に入るでしょうか?

 この栗原理氏の1回3,400ベクレルのヨウ素131の急性摂取は、安定ヨウ素剤を服用していた場合の事例であり、安定ヨウ素剤を服用させてもらえなかった福島県民の急性摂取量ははるかに大きかったことが推測されます。

 国連科学委員会(UNSCEAR)2013年報告書の内部被ばくの推計はまったくあてになりません。

私自身(放射線医学総合研究所 栗原理)の甲状腺測定結果は… 
栗原理 Dose assessment of internal exposure Reconstruction of early internal dose to Fukushima residents 第2回放射線医学総合研究所シンポジウム 2013年1月27日

<参考>栗原理 Dose assessment of internal exposure Reconstruction of early internal dose to Fukushima residents 第2回放射線医学総合研究所シンポジウム 2013年1月27日

福島第一原発事故後の甲状腺がん 原発事故当時高校の世代で甲状腺がんが多発しているのではないか?25歳時の節目検査をやめ、20歳以上は毎年の甲状腺検査をやるべき(その1)           2020年6月13日  内部被ばくを考える市民研究会 川根 眞也

福島第一原発事故後の甲状腺がん 原発事故当時高校の世代で甲状腺がんが多発しているのではないか?25歳時の節目検査をやめ、20歳以上は毎年の甲状腺検査をやるべき
(その1)

                          2020年6月13日

                          内部被ばくを考える市民研究会 川根 眞也

(1)はじめに

 福島県で先行検査116人、本格検査2回目71人、本格検査3回目30人、25歳時の節目検査4人、計221人もの小児甲状腺がんの患者が出ています。しかし、日本政府も福島県も特定の年代の子どもたち全員をスクリーニング検査したことによるものであって、原発事故の放射能の影響ではない、と強弁しています。

小児においても甲状腺超音波検査による早期診断が甲状腺がんのその後の臨床経過を改善するとするデータは存在しないが、成人に比較して 症例数が少ないため十分な検討がなされているとは言えない。しかし、20歳未満の甲状腺がんの予後は、他の臓器のがんに比較してきわめて良好な予後を示す成人の甲状腺がんと比較してもさらに良好であり、長期経過を観察したデータでもがん死する症例は1-2%とまれである(Ito Y Y. Endcr J 59: 539 -45, 2012 他)。したがって、小児においても超音波検査による早期診断が 甲状腺がんの死亡率低下に寄与する可能性は低い 。   -第10回甲状腺評価部会 資料4-1 【髙野部会員・祖父江部会員資料】県民健康調査における甲状腺超音波検査の倫理的問題点と改善案 2018年7月8日

 朝日新聞・論座やSYNODOSなどで行われている、「甲状腺がんのスクリーニング検査はメリットよりデメリットの方が大きい」という議論の一端がこの文章にも現れています。まず、原発事故後の小児甲状腺がんの多発を(1)成人における甲状腺がんと同様に扱う (2)子どもの甲状腺がんは良性のものが多く、将来に渡っても遠隔転移などしない (3)福島の子どもたちの被ばく線量はチェルノブイリの子どもたちと比べても非常に低く、がんを発症するほどではない などです。

 2017年11月30日から福島県民健康調査甲状腺評価部会の委員をつとめている髙野徹氏(大阪大学大学院 医学系研究科 内分泌代謝内科学 講師)は、さかんに甲状腺がんのスクリーニング検査が過剰診断であり、子どもたちが“がん患者”であるというレッテルを貼られることで、進学、就職、結婚、出産においてハンディを負うことになると主張しています。髙野徹氏が2019年に日本リスク研究学会誌に発表した「福島の甲状腺がんの過剰診断―なぜ発生し、なぜ拡大したか―」には、彼の認識の不十分さが明確にあらわされています。

甲状腺がんは予後が良く,かつ甲状腺超音波検査は高精度であるがゆえに無害ながんの検出率が高 く,その弊害も大きい。   それが最初にわかったのは韓国で甲状腺がん検診の普及によって発生した成人の大規模な過剰診断である。「転移していても治療してはいけないがんが存在する」「無症状な対象者に対する甲状腺超音波スクリーニングは有害である」これらは現在では科学的に証明された事実である。   多くの専門家は潜在性の甲状腺がんが若年者に高頻度で存在するという認識を持っていなかった。 事実,「甲状腺癌は幼少期に既に発生している」との記載は最近まで我々以外の研究グループの論文 では見られていない。→髙野徹氏らが「甲状腺癌は幼少期に既に発生している」を発見したと主張。   UNSCEAR(国連科学委員会)をはじめとした多くの国内外の専門機関が福島で発見されている甲状腺がんは放射線由来のものである可能性は低いとの結論を出しており,県民健康調査における中間取りまとめでもこれらの見解を踏襲している。この前提に立てば,福島で検出されている甲状腺がんの過去の罹患率との差は甲状腺超音波検査を施行したことによって過剰に検出されたものである。   ―髙野徹「福島の甲状腺がんの過剰診断―なぜ発生し、なぜ拡大したか―」日本リスク研究学会誌,2019年,28(2): 67–76

 さらに驚くべきことに、チェルノブイリ原発事故で多発した小児甲状腺がんについても、過剰診断の症例が含まれていたと主張しています。

チェルノブイリ原子力発電所事故後,周辺地域では若年者を対象とした甲状腺超音波検査によるスクリーニングが行われ,数千人に及ぶ甲状腺がんの患者が見つかりその多くが手術を受けている(Demidchik et al., 2007)。しかし,現在ではチェルノブイリにおいては確かに放射線が原因のがんの 増加はあったものの過剰診断の症例もまた含んでいたと考えられている(Jargin, 2011)。   ―髙野徹「福島の甲状腺がんの過剰診断―なぜ発生し、なぜ拡大したか―」日本リスク研究学会誌,2019年,28(2): 67–76

しかし、髙野徹氏が、チェルノブイリでも過剰診断が起きていたとして引用した論文Sergei V. Jargin , 2011年を読むと、たった4ページ、それも2003年に放射線のホルミシス効果を研究する雑誌として創設された、International Dose Response Societyという雑誌に掲載された論文でした。参考文献もほとんどが西側の科学者によって書かれたものです。または国連科学委員会UNSCEARのものです。なおかつ、Sergei V. Jargin は、同論文の中で、アレクセイ・V・ヤブロコフ氏らの労作『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』の一部分、第6章 チェルノブイリ大惨事以降の腫瘍性疾患だけを取り出し、原発事故による健康被害を過大評価していると名指して批判しています。ヤブロコフ氏がソ連の科学者にテーマを割り当て、「期待される結果」を導き出したと批判しています。しかし、Sergei V. Jargin は、その批判の根拠を何一つ示していません。もはや誹謗中傷のレベルです。興味深いことに、Sergei V. Jarginはこの論文(論文の体裁をなしていない)で、チェルノブイリ原発事故の被害を強調することが世界の原子力発電の発達を阻害した、とも書いていることです。チェルノブイリ原発事故の小児甲状腺ガンのスクリーニングとその後の手術が正しかったのか、どうかよりも、世界の原子力発電の運転や増設に興味がある人物のようです。この論文を読んでも、どこに「チェルノブイリにおいては確かに放射線が原因のがんの増加はあったものの過剰診断の症例もまた含んでいたと考えられている」と考えられるデータや分析が分かりませんでした。

<参考>THYROID CANCER AFTER CHERNOBYL: OBFUSCATED TRUTH Sergei V. Jargin International Dose Response Society 2011年

 一方、ベラルーシで子どもたちの甲状腺疾患の診断と治療に勢力的に働かれたエフゲニー・P・デミチック博士、ユーリ・E・デミチック博士は、こう論文に書いています。Thyroid cancer in Belarus  Evgueni P. Demidchik  Yuri E.Demidchik  ほか 2002

1986年4月および5月にかけて起きたチェルノブイリ事故は、放射線に被ばくした18未満の年齢で1500人に甲状腺がんの発症を促しました。悪性腫瘍は、主に乳頭ガン(93.5%)でした。 1990年から2000年までの期間の間、甲状腺がんは、子どもたち(15歳未満の年齢層)674人、青年(15~19歳の年齢層)262人、そして、若者(19~33歳の年齢層)564人から見つかりました。   小児および青年の甲状腺がんは、チェルノブイリ原子力発電所のより近くにあるゴメルとブレスト州でもっとも多く見つかりました1986~2000年の15年間で、放射線由来ではない自然の甲状腺がんは、17人の子どもたちだけでした。   子供たちの放射線によって誘発される甲状腺ガンは、甲状腺周囲に転移している場合が73%、遠隔転移している場合が16.6%でした。遠隔転移したのはは主に肺でした。18未満の年齢層で被ばくした集団のリスク解析の結果、以下のリスク係数が算定されました:絶対リスク係数10,000人年グレイあたりは1.93(1.79–2.06)と過剰な相対リスク係数はグレイあたり37.66(35.06–40.26)です。   The Chernobyl accident in April and May of 1986 promoted thyroid carcinomas in 1500 patients who were exposed to radiation at the age group under 18. The common type of malignancy was papillary cancer (93.5%). For the period from 1990 to 2000, thyroid carcinomas were diagnosed in 674 children (age group under 15), in 262 adolescents (age group between 15 and 19) and in 564 young adults (age group from 19 to 33).   The highest number of thyroid malignancies in children and adolescents was diagnosed in Gomel and Brest oblasts located closer to the Chernobyl Nuclear Power Plant. For 15 years (1986–2000), spontaneous (non-radiogenic) thyroid carcinomas appeared only in 17 children.   Thyroid cancer promoted by radiation in children possesses the behavior to form the regional (73%) and distant (16.6%) metastases, mainly in lung. As a result of performed risk analysis for the cohort exposed at the age group under 18, the following values were obtained: 1.93 (1.79–2.06) per 104 PYGy for the absolute risk coefficient, and 37.66 (35.06–40.26) per Gy for the excess relative risk coefficient. ―Thyroid cancer in Belarus  Evgueni P. Demidchik  Yuri E.Demidchik  ほか 2002

きちんと、放射線由来の甲状腺ガンと原発事故由来の甲状腺ガンとを区別して、その発症人数を求めています。一方、髙野徹氏が引用した、ロシアの科学者(?)のSergei V. Jarginは、数多くのウクライナ、ベラルーシ、ロシアの子どもたちの患者の生のデータに向き合うことなく、甲状腺被ばく線量がいくつであるとか、LNT仮説(健康被害が被ばく線量に正比例するという仮説)がどうとか議論をしています。

 チェルノブイリ原発事故では、原発事故の放射線と人々の健康被害について、国連科学委員会(UNSCEAR)や国際原子力機関(IAEA)、世界保健機関(WHO)が認めたのは、ヨウ素131を摂取したことによる小児甲状腺ガンだけです。チェルノブイリ原発事故で、他のガンや健康被害が原発事故の放射能によって引き起こされたことは、科学的に認められていない、という立場をこれらの機関は取っています。

 今、そのヨウ素131を摂取したことによる、小児甲状腺ガンでさえ、原発事故の影響ではないという「科学」が作られようとしています。その中心人物の一人がSergei V. Jarginであり、髙野徹氏です。学術誌としてはInternational Dose Response Societyです。

 大事なのは、被ばく線量の推定や、健康被害がその被ばく線量に比例するかどうか、ではありません。本来、甲状腺ガンにかからなかったはずの子どもたちがガンにかかっている事実そのものです。被ばくしたか、被ばくしなかったかが、甲状腺ガンを発症したか、発症しなかったかに関係していることが事実として明らかになった以上、子どもたちを被ばくさせ甲状腺ガンを発症させる、原子力発電所の存在そのものも問われてしかるべきです。

また、甲状腺ガンは予後が良く、死なないガンであるという主張もチェルノブイリの経験に学んでいないうそです。これは、放射線以外の大人の甲状腺ガンについてのみ、言えることです。

ベラルーシでは初期に、放射線誘発ガンである小児甲状腺ガンを大人の甲状腺ガンと同じに捉えて、甲状腺の右葉にだけガンがあれば右葉を、左葉にあれば左葉だけを摘出していました。しかし、放射線誘発ガンである小児甲状腺ガンは極めて悪性で、周囲の臓器に転移するだけでなく、肺転移を起こし、ベラルーシでは初期に15人の子どもが手術後に亡くなっています。自殺した子どももいたようですが、肺転移した子どもは肺がんになり、血を吐いて亡くなったとエフゲニー・P・デミチック博士は講義で語っています。また、福島県民健康調査検討委員会の山下俊一氏らも、エフゲニー・P・デミチック博士を招き、ベラルーシにおける甲状腺ガンと題する講演を福島市で何度も行っています。しかし、山下俊一氏らは、ベラルーシの貴重な経験に学ぶことなく、無視してきました。