福島第一原発の汚染水についてのパブリックコメント 川根眞也 その1

本日2020年7月31日、「多核種除去設備等処理水の取扱い」に関するパブリックコメントを提出しました。その1です。

意⾒1 川根眞也


東京電⼒福島第⼀原発の核燃料デブリを冷やすための汚染⽔は、たとえ処理されたものであって も、ウラン、プルトニウム、ストロンチウム90やセシウム137などの様々な核種を含んでいる。

法令基準を守れば、海洋に放出してよい、ものではない。

原発や再処理⼯場などの放射能の廃棄の基準は、濃度規制だけであり、放射能の総量規制が⾏わ れていない。従って、放射能を薄めて流せば、理論上はどれだけでも海洋放出できることになる。

原発や再処理⼯場などの放射能の廃棄の基準も総量規制を⾏うべきである。

また、メルトダウンを起こした福島第⼀原発の汚染⽔にはさまざまな超ウラン核種が含まれており、微量たりとも、⼈間や様々な⽣物が住む環境に放出するべきではない。
現⾏の原⼦⼒規制委員会が定めた法令では、それぞれの核種ごとに濃度限度が定めされており、様々な核種を廃棄する場合は、それぞれの濃度限度に対するそれぞれの核種の濃度の⽐を⾜し合わせて1以下になれば海洋放出も可能である。つまり、超ウラン核種でも微量であれば、⽐が1以下であれば、海洋放出が可能である。

こうした法令の⽋陥をすり抜けて、超ウラン核種を海洋放出することがあってはならない。

「多核種除去設備等処理⽔の取扱いに関する⼩委員会報告書」には、様々問題がある。
(1)福島第⼀原発の核燃料デブリを冷やした後の汚染⽔がすべて処理されているかのような議論が前提となっており、残るはトリチウムだけであるかのような宣伝をしている。

しかし、2020年7⽉30⽇NHKが報じたように「東京電⼒は福島第⼀原⼦⼒発電所の汚染⽔ を処理したあとの⽔に残る、基準を超えた放射性物質を除去する試験を2020年9⽉以降に⾏う」のであり、トリチウム以外の62核種が実際に除去できるのかは、これから取り組みである。

この海のものとも⼭のものとも分からない段階で、「トリチウム⽔を海洋放出するのが良いか、 ⽔蒸気放出するのが良いか」という問題の建て⽅は詭弁と呼ぶべきである。
パブリックコメントの提出期限本⽇2020年7⽉31⽇は東京電⼒の汚染⽔の再処理が成功するまで延期するべきだ。

(2)トリチウム⽔だけの問題で議論することが間違っている。根本的な問題は、核燃料デブリが今、どこにあるのか︖核燃料デブリはどのような状態にあるのか︖⼀体、いつまで冷却⽔をかけ続ける必要があるのか︖これらが現時点で分かっていない。
福島第⼀原発では今年2020年に⼊ってから、1〜4号機タービン建屋東側の地下⽔観測孔であいつぐ最⾼値更新を更新している。

もし、福島第⼀原発原⼦炉建屋の地下に核燃料デブリが潜り込み、地下⽔脈に⼊り込んでいると したら、天然の原⼦炉オクロのように⼩規模とは⾔え、地下で再臨界を起こす可能性すらある。福島第⼀原発をたびたび襲う⽩い霧、毎晩のように夜中の観測される放射能ダストの上昇は核燃料デブリの状態と関係があるのではないだろうか。地下⽔観測孔での放射能濃度の上昇は核燃料デブリの⼩規模再臨界を裏付けているのではないか︖
 この段階で、タンクに現存するトリチウム⽔のことだけを議論するのは、場当たり的な対応である、批判されても仕⽅がない。

  多核種除去設備で取り除いたスラッジやスラリーは今後どのように保管するのか︖⽔素が溜まり爆発する危険すらある。トリチウムだけの問題に汚染⽔問題を矮⼩化していないだろうか。そもそ も核燃料デブリを取り出すことは不可能なのではないだろうか︖

 福島第⼀原発を⻑期に渡って管理 する以外にはない。

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