今こそ!内部被ばくを学ぼう。 ~放射能でがんが増えないって本当ですか?子どもたちの未来を守れますか?~ 2020年1月23日(木)10時 京都市

電力福島第1原子力発電所の事故から、8年半が経ちました。放射能汚染についての報道はほとんどなされなくなりました。すっかり安全になったのでしょうか?2018年度、国から学校に3冊目の放射線副読本が配布されました。国は、未来を担う子どもたちに放射線についてどのように伝えようとしているのでしょうか?

こどもたちを被ばくから守りたい!と、理科教師から、転身、放射線の専門家をめざし、サナトリウム建設の実現に向けた活動の日々を送る川根さんを講師にお迎えします。私たちも子どもを守り未来への責任を果たすため、放射能汚染、内部被ばくなどについて、自分に引き寄せ、まずは知ることから始めましょう。

今こそ!内部被ばくを学ぼう。
~放射能でがんが増えないって本当ですか?子どもたちの未来を守れますか?~

【日時】2020年1月23日(木) 10時~12時

【場所】 こどもみらい館 4階  第一研修室A ( 京都市営地下鉄丸太町駅 ⑤番出口 から  徒歩 3分 )

【参加費】 組合員 300円、一般 450円 お茶お菓子付き

【講師】◆川根眞也(かわね・しんや)さん◆1962年東京都小平市生まれ。 東京理科大学理学部1部物理学科卒業(物理学専攻)。埼玉県内公立中学理科の教師として、長年教育に携わる。2011年3月11日理科室の備品としてあった放射線量計の 異常な上昇を計測して以来、空間放射線量率を測定し、発信。2011年8月に「内部被ばくを考える市民研究会」を発足させ、以来代表として、研究と測定と防御と啓蒙の活動を継続する。2013年ベラルーシを訪問し、報告書を作成。2018年3月、サナトリウム建設 と、ストロンチウム測定を目指して、中学教員を退職。2018年4月から岐阜県に移住し、第一種放射線取扱主任者資格試験に挑戦中。

【定員】 30名 定員に達した場合 抽選・先着順

【申し込み】 コープ自然派京都
<24時間受付> FAX : 0774-74-8402
           mail : shizenha_kyoto@shizenha.co.jp
<月〜金8:30〜20:00> フリーダイアル:0120-408-300
               (携帯・IPフォン:088-603-0080)
お申込み時①〜⑥をお伝えください。
①イベントID 06191423
②参加者氏名
③組合員コード
④参加人数
⑤連絡先
⑥託児(名前・年齢・性別)
※託児がある場合

下記アドレスをご案内くださっても結構です。
http://www.shizenha.ne.jp/kyoto/detail/5/index.html?articleId=25755

【保育】 あります。定員5名  託児申込〆切日: 2019年1月16日17時

【保育以外】 託児対象外(1才半未満)の同伴可です。

【主催】 コープ自然派京都

東京第一原発事故と内部被ばくをめぐって 年間20ミリシーベルトまで福島住民帰還 第9回内部被ばくを考える市民研究会総会議案より (1) 2019年11月23日

東京第一原発事故と内部被ばくをめぐって

第9回総会 内部被ばくを考える市民研究会 2019年11月23日

<はじめに>

 東京電力福島第一原発事故から早8年半。政府、福島県、各自治体は、次々と原発20km圏内の避難指示解除を行い、今年2019年4月10日にはついに、福島第一原発の立地自治体である大熊町の38%の避難指示解除を行いました。

 大熊町の避難指示解除にあたって、「大熊町除染検証委員会」がおざなりに3回開かれましたが、ストロンチウム90とプルトニウム239+240の濃度がたった5箇所だけ公表されただけ。それで「安全」のお墨付きを与えた上で避難指示解除が行われました。しかし、避難指示解除から5ヵ月たった2019年9月1日に帰還した町民は、1万323人のうち84世帯94人だけです。これでどのように生活しろというのでしょうか?町がスラム化していくのが目に見えるようです。

<資料> あの頃のように暮らしたい 大熊町、避難指示の一部解除半年2019年10月7日 朝日新聞 夕刊 6面

 原発から放出されたのは、ヨウ素131、セシウム134,137だけでなく、ガンマ線を出さないためにその存在がすぐには分かりにくいストロンチウム90やプルトニウム239が放出され、大地に森林の木々に付着しています。除染は不可能です。チェルノブイリでは33年たった現在でも原発30km圏内には、住民の居住を認めていないのに、日本政府と福島県と各自治体は、原発の建っている町に住民を帰還させたのです。その帰還の基準は、ガンマ線だけで測った空間線量で、「年間20ミリシーベルト以下になることが確実になること」です。その空間線量率は3.8マイクロシーベルト/時以下、という内容。ここに人間を住まわせるということは、緩慢な殺人です。

<資料>避難指示解除の要件について 原子力災害対策本部 2011年12月26日

<資料>参考2 避難区域等の外の地域の学校等の校舎・校庭等の利用判断に係る暫定的考え方 文部科学省・厚生労働省 2011年4月19日

左資料を読むと、空間線量3.8マイクロシーベルト/時が年間20ミリシーベルトに被ばくに相当する、と政府が判断していることが分かります。

 そもそも政府が基準と定めている、年間20ミリシーベルトは空間線量率からから求めています。この政府の基準は正しいのか?年間20ミリシーベルトは健康を害する被ばく線量ではないのか?という基本的な批判が新聞、マスコミでは行われていません。ただただ、政府は国連科学委員会(UNSCEAR)などと一体となって、国際放射線防護委員会(ICRP)が「計画被ばく状況」「現存被ばく状況」「緊急被ばく状況」と決めた「現存被ばく状況」

<資料>被ばく状況と防護対策 環境省 環境省 放射線による健康影響 に基づいている「考え方」等に関する統一的な基礎資料 2015年10月          

を私たちに強制しています。

環境省は前ページの資料の解説にこう書いています。

国際放射線防護委員会(ICRP)は人の被ばく状況を、計画的に管理できる平常時(計画被ばく状況)、事故や核テロなどの非常事態(緊急時被ばく状況)、事故後の回復や復旧の時期など(現存被ばく状況)の3 つの状況に分けて、防護の基準を定めています。  平常時には、身体的障害を起こす可能性のある被ばくがないようにした上で、将来起こるかもしれないがんのリスクの増加もできるだけ低く抑えるように防護の対策を行うこととされています。そのため、放射線や放射性物質を扱う場所を管理をすることで、一般公衆の線量限度が年間1ミリシーベルト以下になるように定めています。また、放射線を扱う職業人には、5年間に100ミリシーベルトという線量限度が定められています。

 これを放射能による被ばくを拒否する私たちが読み替えるとこうなります。

国際放射線防護委員会(ICRP)は原発事故で放射能汚染されてしまった土地では、年間1ミリシーベルトは到底達成できないので、『現存被ばく状況』として、被ばくすることを市民に受け入れてもらうよう防護基準として年間1~20ミリシーベルトのうちの低い方を提案する。一般公衆の線量限度は年間1ミリシーベルト、職業人は5年間で100ミリシーベルトを線量限度とする。

 この国際放射線防護委員会(ICRP)の「ICRP Publication111 原子力事故または放射線緊急事態後の長期汚染地域に居住する人々の防護に対する委員会勧告の適用」は2008年10月に勧告されましたが、チェルノブイリ原発事故により、人々が年間1ミリシーベルトを超えて被ばくする状況が生まれたため考え出されたもので、事故(1986年4月26日)から実に22年もかけて勧告されたものです。遅すぎる勧告、そして、年間1ミリシーベルトを超える被ばくを強要する勧告である、と言えます。

 まず、この国際放射線防護委員会(ICRP)は、一般人の年間1ミリシーベルトが線量限度、と言いますが、年間1ミリシーベルトが安全な数値であるという証明はできていません。チェルノブイリ原発事故の際の乳児白血病では、ストロンチウム90による被ばくが0.067ミリシーベルトで白血病にかかる乳児が増えた事例があります。

<資料>チェルノブイリ原発事故 イギリス、ドイツ、ギリシャで0.067ミリシーベルトで乳児白血病が増えた 長山淳哉『胎児と乳児の内部被ばく』(緑風出版 2013年7月10日)

 「ミリシーベルト」という単純な概念で、人々の健康被害を語ることはできません。

 また、ロシア科学アカデミー客員で放射線生物学のアレクセイ・ヤブロコフ氏は、セシウム137で1キュリー/km2(3.7万ベクレル/m2,日本の放射線管理区域の4万ベクレル/m2に相当)の地域だけでなく、その10分の1のセシウム137で0.1キュリー/km2(3700ベクレル/m2の地域でも健康被害が出たと語りました。これは土壌に換算すると59.6ベクレル/kgの汚染にしかなりません。2012年12月14日 東京講演。

<参考>【追悼】アレクセイ・ヤブロコフ博士 日本の人々へのメッセージ「皆さんは真実のためにたたかわなくてはならない」 ブログ「風の谷」  再エネは原発体制を補完する新利権構造 2017年1月12日

 アレクセイ・ヤブロコフ氏が書いた『調査報告チェルノブイリ被害の全貌』(岩波書店,2013年4月26日)には、チェルノブイリ原発事故による人間の健康被害について、①総罹患率 ②老化 ③各種疾患 ④腫瘍性疾患 ⑤死亡率 で出典を示しながら研究成果の概略が書かれています。しかし、それはすべて、ミリシーベルトとの関係で書かれてはいません。土地のセシウム137の汚染度との関係で書かれています。土地が「高い」汚染、または「強度に」汚染されている、とはそれぞれセシウム137で18万5000ベクレル/m2以上、55万5000ベクレル/m2超えの汚染を指します。土地の汚染度が人間の外部被ばくの大きさを決め、また、汚染された土地の食べ物を食べることによる内部被ばくの大きさに関係するからです。しかし、国際放射線防護委員会(ICRP)はこの『調査報告チェルノブイリ被害の全貌』に収録されている、ロシア語、ウクライナ語、ベラルーシ語などのスラブ語で書かれた1000冊の文献および5000以上の印刷物およびインターネット上の出版物の1つたりとも採用していません。理由は簡単。彼ら国際放射線防護委員会(ICRP)が主張する、ミリシーベルトと健康被害との関係を記述した研究論文ではないからです。

土地の放射能(セシウム137,ストロンチウム90,プルトニウム239+240など)が、人々の健康を破壊しているのに、国際放射線防護委員会(ICRP)が決めたルールでミリシーベルトを計算し、健康被害とそのミリシーベルトとの関係で研究したものでないと、科学的でない、と学術論文として放射線防護の学会誌だけではなく、科学一般の学術誌からも却下されています。三田茂医師が「『新ヒバクシャ』に『能力減退症』が始まっている」を学術誌に掲載申請しても、リジェクトされています。健康被害とミリシーベルトとの関係についての言及がないからが理由です。

 アレクセイ・ヤブロコフ氏は先の講演で、「ミリシーベルトは測ることができない」とも語っています。例えば目の前に放射線を出す放射線物質があったとして、正面を向いている場合(内臓がよく被ばくする)とからだの側面を向けている場合(肋骨で内臓は守られているが肋骨がよく被ばくする)、背中を向けている場合(背骨と肋骨がよく被ばくし、内臓は守られている)と。内部被ばくについて、体内に入った放射性物質が代謝で排泄されるまでには個人差があり、ストロンチウム89の場合、生物学的半減期は

国際放射線防護委員会(ICRP)は70日間と主張していますが、個人によっては124日間である場合もある、と語っています。生物学的半減期は1000ベクレル体内に入ったとすると500ベクレルに半減するまでの時間ですから、70日間で1000ベクレル→500ベクレルに減少するのと、140日間かけてゆっくりと1000ベクレル→500ベクレルまで減少するのとでは、例えば骨髄に蓄積したストロンチウム89の場合は、骨髄の被ばく量がまったく異なってきます。

 外部被ばくも測れない、内部被ばくは個人差が大きく、どのくらい被ばくしたのか、評価できない、というのが正しいのです。

 しかし、土地の汚染がひどい所ほど症状が重く、また心筋梗塞や脳梗塞など様々な疾患やがん、白血病の発症率が高くなります。

ミリシーベルトは、放射能の出す放射縁の影響をまず、ガンマ線やX線、ベータ線は1倍、アルファ線は20倍、中性子はそのエネルギーによって2.5倍~20倍の範囲と、放射線の種類とエネルギーによって変える係数をかけて「等価線量」を出します。その放射能を「吸入(呼吸で吸い込む)」「経口摂取(食べ物として取り込む)」「経皮摂取(皮膚から吸収される)」ごとに、国際放射線防護委員会(ICRP)が決めた実効線量係数をかけて「預託実効線量」を計算します。

 欧州放射線リスク委員会は、ベータ線の影響を1倍とする係数は低すぎるので、5倍の係数をかける必要があることを主張しています。

 国際放射線防護委員会(ICRP)は1977年勧告でそれまでの「線量当量」という概念から、この「等価線量」や「実効線量」という概念を導入しています。しかし、この時に原発労働者の内部被ばくおよび白血病の発症で問題となる、ストロンチウム90の影響を著しく低く評価する係数に変えました。

<資料>中川保雄「<増補>放射線被曝の歴史ーアメリカ原爆開発から福島原発事故までー」明石書店,2011年

 ミリシーベルトは科学の上に成り立っている概念ではなく、国際放射線防護委員会(ICRP)によって核兵器開発と原発推進派のいいように数字をいじくられている政治的な産物です。

 年間20ミリシーベルトは健康に影響はない、という政府、福島県、各自治体の説明を批判的に検討するためには、そもそも、ミリシーベルトとはどんな概念なのか?私たちの放射能防護に役立っている理論なのか、を検討する必要はあります。 

チェルノブイリ原発事故の汚染水が流れるプリピャチ川のストロンチウム90、セシウム137汚染

 国際原子力機関(IAEA)がチェルノブイリ原発事故10周年にチェルノブイリ・フォーラムを開いています。

 そこで報告されたチェルノブイリ原発事故の汚染水が流れるプリピャチ川のストロンチウム90、セシウム137の汚染の推移です。報告では、10年経っても、汚染の度合いが下がっていかない、とされました。

放射線障害評価のための線量推定 -医療被曝と職業被曝を中心に- 丸山隆司 日本放射線物理学会 1978年

放射線障害評価のための線量推定 -医療被曝と職業被曝を中心に- 丸山隆司 日本保健物理学会 1978年

[解説]

 日本では、国際放射線防護委員会(ICRP)の「100ミリシーベルトの被ばくまで安全」論が流布しています。果たして100ミリシーベルトまで安全は本当でしょうか?

 放射線被曝の歴史を調べていて、貴重な資料に出会いました。1978年の資料です。国際放射線防護委員会(ICRP)が1977年勧告を出す頃。まだ、 国際放射線防護委員会(ICRP) の「実効線量当量」が日本保健物理学会を支配する以前の資料だと思われます。

 はっきりと放射線が白血病を引き起こすものであることが書かれています。

 医療放射線被ばくが危険であり、放射線科医の寿命を縮めていることが書かれています。

 是非、 国際放射線防護委員会(ICRP) が1999年に委員会採択した「妊娠と医療放射線」(ICRP Publication 84)と読み比べて下さい。驚くほど、放射線に対する危機認識が違う、と感じられることでしょう。

<資料> ICRP Publication 84 妊娠と医療放射線 1999年11月

 国際放射線防護委員会(ICRP)は何度とも変質をとげていますが、1977年の変質は決定的だったようです。中川保雄氏は著書『放射線被曝の歴史』(明石書店,1991年)の中でこう書いています。

「 国際放射線防護委員会(ICRP)は 以上のような作業を進めながら、1965年勧告の全面改訂に着手することを1974年に決定した。その際、ICRPは、つぎのことを申し合わせた。許容線量という概念を放棄して『線量当量』を使用すること、最も敏感な臓器への線量で被曝を制限しようとする『決定臓器』という従来の概念を放棄すること、3カ月3レム(=30ミリシーベルト:編集者)の制限量および5レム( =50ミリシーベルト :編集者 )×(年齢-18歳)の年齢公式を放棄して全身 5レム( =50ミリシーベルト :編集者 ) とすること、公衆の被曝に関してはALALA原則(合理的に達成できる限り低く=お金がかからない程度の被曝管理、という意味 :編集者 )を基礎にして大幅に改訂することー新勧告をこのような線でまとめることを確認したうえで、検討に入った。」(同書増補版,明石書店,pp.152~153)

「許容線量に代えて実効線量当量という新しい概念が導入された。これは新しい科学的モデルを導入して、人間への計算上の被曝線量を設定するもので、『科学的操作』が複雑に行われるだけ実際の被曝量との差が入り込みやすい。それだけごまかしやすいのである。たとえば、原発の建屋内等の空気中を漂う放射能の濃度基準は、実効線量当量であれば従来よりも大幅に緩和される。」

「マンガン54の場合、1000ベクレル吸入すると被曝量は従来なら1.95ミリレム( =19.5ミリシーベルト )とされていたが、実効線量当量ではわずか ら0.147ミリレム( =1.47ミリシーベルト )とされ、じつに13倍も過小に評価されることになった。

「ストロンチウム90の場合、1000ベクレル体内にとり入れたときの被曝量は、それまでなら44.4 ミリレム( =444ミリシーベルト )とされていたのが、実効線量当量ではたった 0.147ミリレム( =1.47ミリシーベルト )となり、これまた11.5倍も緩和された。

(同書増補版,明石書店,pp.156~157) 」

 この悪質な変質をとげた国際放射線防護委員会(ICRP)1977年勧告の支配を受けていない、最後の日本保健物理学会の報告から、「体外被曝」および「体内被曝」を全文引用します。かつてはこういう、放射線管理者も日本にいたのです。なお、読み手の便宜を考え、編集者が英語表記の人名等についてカタカナを加え、旧単位系の表記を一部ミリシーベルト等の注釈を付けました。

[論文より全文引用]

放射線障害評価のための線量推定 -医療被曝と職業被曝を中心に- 丸山隆司 日本保健物理学会 1978年 11月 保健物理 1978年 第13号 pp.259~277

[体外被曝]

 1896年1月4日, レントゲン(ROENTGEN)によるX線の発見が報道され, 同じ年の11月にはベクレル(BECQUEREL)によるウランからの放射能の発見が報告された。人類が電離放射線の 線源としてX線やウランの利用を開始したのはこの頃からである。
 その後, 20世紀の前半にかけて, もつと高エネルギーのX線を得るために加速器の開発が進められ, 1920年代 末には200kV程度のX線による深部の癌治療が行なわれた。1930年代は加速器ブームで, ファン・デ・グラーフ(Van de GRAAFF)やコッククロフトとウォルトン(COCKCROFTとWALTON)により, MV級の加速器が開発されると共に, サイクロトロン, 直線加速器, ベータトロソなど種々の加速器が出現した。この間に中性子や中間子など新粒子が発見され, 人類はX線やラジウム以外の放射線からも被曝を経験することになつた。
 そして戦後には, 原子炉や人工放射性物質の利用が可能となり, 現在では原子力, 医学のみならず考古学などでも放射線 が利用されており, その利用は食品照射や空港の手荷物 検査など多様化している。現代社会において, 我々は放射線から数えきれないほど沢山の利益を受けている。その反面, 人類は放射線から数々の障害を受けることがこれまでの経験によつてわかつている。
 X線の発見とほぼ同時に, X線の医学利用が行なわれたが, X線を受けた人にかなり重篤な皮膚障害がみとめられた。第1表にX線の体外被曝による当初の障害例を示したが, 透過力の弱いX線であつたため, 幸い皮膚障害ですんだ。X線の発見後1カ月を経て, すでに線治療が行なわれた事実がある。X線の人体への影響について何らかの根拠があったわけではなく, 淡い期待を治療に寄せていたためであろう。1904年にベルゴニー(BERGONIE)とトリボンドー(TRIBONDEAU)がラットの睾丸にX線を照射し, 組織学的変化を研究している。その結果, ベルゴニ・トリボンドーの法則として知られている『未熟な細胞や分裂の盛んな細胞は, 形態学的, 生理学的に成熟した細胞に比べて放射線感受性が高い』という法則を確立した。この頃になつて, X線の生物効果が研究され, 1903年にハイネケ(HEINEKE)がX線照射によリマウスに白血病を発生させることに成功した。1911年にヘッセ(HESSE)はX線被曝者に誘発された93例の腫瘍を調べたが, そのうち50例は放射線科医であっつた
 放射線被曝による悪性腫瘍の発生は, 被曝後長い年月の潜伏期をもつことがわかってきた。皮膚癌のような障害は, 被曝開始後10~30年を経過しても徴候を表わさなかった。しかし, ある場合には, 透視診断で手の被曝を中断させてから25年後に悪性の皮膚障害が発生している。1922年にルドーールボー(LEDOUX-LEBARD)は100人以上の放射線科医が, 職業上の被曝による癌が原因で死亡していると推定した。多くの放射線科医は放射線による白血病であった。その後, マーチ(MARCH)は1949年以前の20年間に,放射線科医の白血病死は内科医に比べて9倍も高い頻度で起こることを報告した。
 放射線による寿命の短縮についても調査が行なわれている。セルツァー(SELTZER)によれば, 北米放射線学会員の平均死亡年齢は, 1935~44年では71.4歳, 1945年~1954年で72.0歳および1955年~58年で73.5歳であつた。一方, 放射線とはあまり縁のない眼科・耳鼻科学会員では, それぞれ76.2, 76.0および76.4歳であつた。放射線科医は4.8歳から2.9歳だけ寿命が延長した。寿命延長の減少は各自が放射線被曝の低減に努力した結果と思われる。


  北米放射線学会員の平均死亡率 眼科・耳鼻科学会員の平均死亡率 差

1935~44年  71.4歳  76.2歳  4.8歳
1945~54年  72.0歳  76.0歳  4.0歳
1955~58年  73.5歳  76.4歳  2.9歳 

[体内被曝]

 サクソニーのシュネバーグ(Schneeberg)コバルト鉱山やボヘミアのジョキミストル(Joachimstahl)の瀝青(れきせい)ウラン鉱山で, 鉱夫の間に奇妙な肺疾患が多発していることは1500年代に知られていた。1879年に,ハートリング( HERTING)とヘッセ(HESSE)は, この肺疾患が肺の悪性腫瘍であると指摘した。1911年にアーンスタイン(ARNSTEIN)は, これが肺癌であることを確認した。鉱夫の肺癌による死亡率は, 正常人の約30倍であつた。肺癌の原因が鉱山の空気中のラドンと関連があることは, 1924年にルドウィッグ(LUDEWIG)が明らかにしている。
 第一次世界大戦から1930年にかけて, ラジウムによる被曝が続いた。大部分は治療のためラジウム投与, ラジウムおよび放射性トリウムの飲用, さらに化学者の職業上の被曝であつた。この時期には, ラジウムは治療に有効と考えられており, 米国でも数100人の患者に投与された。ラジウムによる体内被曝で有名なのはダイヤルペインタの被曝である。ラジウムからのα線で硫化亜鉛などの蛍光体を刺激したとき発光を起す現象が,クルックス(CROOKES)らによつて1903年に発見された。1908年ごろから, この現象を利用して時計の文字板を作る作業が工業化され, 米国ではかなりの工場に多くの女性がラジウムペインタとして勤務していた。しかし, その大部分の女性は比較的短期間しか勤めなかつた。1925年にマートランド(MARTLAND)はそのような女性の死亡例を報告している。
 1917年に35歳でダイヤルペインタとして作業を始めた女性が白血球減少症を伴つた放射線による貧血で死亡する2, 3ヵ月前まで, その作業を続けていたという。
 ダイヤルペインタがラジウムを体内に取り込む直接の原因は, 文字板に夜光塗料をぬるのに小さな筆を用い, 筆先をそろえるのに唇でしめしていたためと考えられる。米国では50例を越えるダイヤルペイ ン タの死が記録されているが, 初期の死は, 再生不良性貧血, 副鼻腔の腫瘍そして顎骨や他の骨組織の骨髄炎が原因であり, 後期の死は骨肉腫が原因であつた。いずれの場合にも 226(226Ra) の 身体負荷量ははつきりしていない。エバンス(EVANS)らは死亡時のラジウム226(226Ra)の負荷量が4810ベクレル(0.13μCi)であつた女性のダイヤルペインタの死亡例を報告している。この婦人は16歳のときに時計会社に勤めはじめ, 1924年から1930年まで勤続したが, 1955年に骨肉腫で死亡した。1926年に,彼女の歯の中のラジウム 228/ラジウム226(228Ra/226Ra) の比は2.5と推定されたが, このことは全線量の80%が ラジウム226(226Ra) によつて与えられたことを意味する。死亡時の ラジウム226(226Ra) 負荷量は 4,810 ベクレル( 0.13μCi)であつた。初期の職業上の被曝における骨の負荷量は1回摂取で第一日目で約 555万 ベクレル( 150μCi)であつたと結論した。 ラジウム226(226Ra) の身体負荷量についての最大許容量はこのようなデータから決められたものである。
 人類の体内被曝として重要なのはトロトラストを注射 された患者のグループである。トロトラストは20%(重量比)のコロイド状二酸化トリウムとほぼ等量のデキストラン(保護コロイド)およびメチル-p-ヒドロキシ安息香酸0.15%(防腐剤)からなる造影剤である。これは1928年から1945年まで, すぐれた造影剤として, 肝,脾, 脳血管などのX線撮影に用いられていた。通常, 静脈注射により3~159のトリウム232(232Th,ラジウム226の14,800~74,000ベクレルに相当)を患者に投与していたが, 多くの人々には, 投与後10~25年に骨の一部に密度の大きい部分が生じたり, 17~23年に肝の腫瘍が発生したり, 中には6~35年に静注部位に悪性腫瘍が生じたことが報告されている。特に注目されるのは, 投与後3~23年で, 肝癌を誘発していることである。日本でも癌研の森らによる調査で約150名のトロトラスト注射を発見している。現在, トロトラストは利用されていないが, トロトラスト患者は何人か生存しているであろう。
 ところで, X線が主として医療の目的に利用されるにつれて, 前述のごとく数々の放射線障害が発生した。これに伴い, X線を主体とした放射線を有効かつ無害に利用するため放射線防護の必要性が認識された。しかし,当時は放射線の生物効果はもちろん, 線量といつた量的観念さえなかつた。  1902年にロリンズ(ROLLINS)は, 当時の写真乾板に7分間照射しても黒化しない程度のX線量を無害とした。これは現在の10~20R/dayに相当するという。
 R単位での線量は, 1928年の第2回国際放射線医学会議で国際単位として採用された。なお, ICRU(国際放射線単位・測定委員会)は1925年に設立され, ICRP(国際放射線防護委員会)の前身であるIXRPC(国際X線・ラジウム防護委員会)は1928年に誕生した。英, 米, 仏では1915年から22年にかけて, 各国防護委員会が設立されていた。
 1934年にIXRPCは1.8ミリシーベルト/日(0.2R/day)を耐容線量として採択した。1950年にIXRPCはICRP(国際放射線防護委員会)と改められた。このとき勧告を出し, (1)取り扱う放射線をすべての電離放射線にまで拡大し, (2)耐容線量の代わりに最大許容線量で表わすこととし, 2.6ミリシーベルト/週( 0.3R/weekと定めた。第2表に, 最大許容線量の変遷を示す。
  1958年に「集団に対する遺伝線量」の制限を勧告した。
 定義によれば, 遺伝線量とは,「その集団の各人が受胎から子供をもつ年齢(ここでは30歳とする)までにこの線量を受けたと仮定したとき, 各個人が受けた実際の線量によつて生ずるのと同じ遺伝的負荷を全集団に生ずる線量」である。
 その後, ICRPは種々の勧告を出しているが, 最新の 勧告は1977年のPublication26である。これについては専門家の解説17)に委ねる。

公害教育の今を考える講演会 ―川根眞也さんをお招きして- 放射線被ばくの歴史 ~放置された広島・長崎・ビキニの被ばく者と福島~ 2019年12月11日(水)龍谷大学大宮学舎10時45分

公害教育の今を考える講演会

―川根眞也さんをお招きして-

 2019年度「教育学特殊講義A(b)」では、後半から環境教育をテーマに扱います。スーパーでの買い物にはマイ・バックを持参するなど、それぞれが環境を守るために実践していることはあるでしょう。しかし、日本の環境教育のはじまりといわれる公害教育では公害を出す加害者を明確にすることによって地域の環境を守る取組みが行われてきました。その中心には目の前の子どもたちや地域の中から問題の本質を見出し、地域やそこに住む人々の暮らしを取り戻そうと奔走した教師たちがいました。本講義では土呂久、静岡、四日市などでの教師たちの公害教育実践を取り上げると共に、現在進行形の問題である原発問題についても考えていく予定です。そこで今回、中学校の理科教師の立場から放射能汚染の問題を研究しその危険性を発信してこられた川根眞也先生をお招きし、放射線被ばくに対する行政の対策の問題点についてお話を伺う機会を設定しました。現在進行形の公害であり、日本に住む人全員が当事者にならざるを得ない放射能汚染問題を通じて、公害教育について考えたいと思います。

 今回は受講生以外にこうした問題に関心を持つ人々にも門戸を開き、議論の輪を広げていきたいと考えます。また、本科目は教師を目指す学生も多数受講しています。教師とは教科書に書かれていることだけを子どもたちに教える職業ではないはずです。この講演を通じて教師が市民に対して果たすべき役割とは何かについても真剣に議論するきっかけになると確信しています。学科・専攻、学部、社会的な立場に関係なく、多くの人々の参加をお待ちしています。

日時:2019年12月11日(水) 10時45分~12時15分 (2講時)

場所:龍谷大学大宮学舎 南黌(なんこう)204教室

https://www.ryukoku.ac.jp/about/campus_traffic/traffic/t_omiya.html

講師:川根眞也さん(元さいたま市立中学校教員[理科])

テーマ

放射線被ばくの歴史

~放置された広島・長崎・ビキニの被ばく者と福島~

〇川根眞也さんの紹介

・「内部被ばくを考える市民研究会」代表

・元・さいたま市立中学校教員(現在は退職)

・2018年4月より岐阜県に移住。

・2011年3月14日より、身の回りの放射線量率を計測。3月15日の異常な空間線量率から、関東での汚染を確信。同日から「放射線測定メール」を配信。同年8月に「内部被ばくを考える市民研究会」を設立。以来、低線量被ばくの危険性を訴え、内部被ばくを避ける講演会活動を行っている。2013年野呂美加さん、医師らとともにベラルーシを訪問、小児甲状腺がんの診断と治療の実際を学ぶ。冊子「ベラルーシプロジェクト報告」。ツィッター shinchann2008。facebook 川根眞也。

本行事は大学の授業として開催されます。従いまして、大学事務室では本件に関する外部からの問い合わせは受け付けていません。学外の方で参加を希望される方は出羽(pohyun109アットmail.ryukoku.ac.jp アットを@にして下さい)まで事前にお申し込みください。その際、メールのタイトルは「比較教育学講義参加希望」とし、本文には氏名、携帯電話番号、メールアドレス等をご記載ください。メールをくださった方には会場の詳しい情報をお知らせします。

大学には駐車場はありません。公共交通機関をご利用ください。

授業担当:龍谷大学文学部教育学専攻 出羽孝行

(〒600-8268 京都下京区七条大宮 龍谷大学 出羽研究室)

内部被ばくのメカニズム 放射性物質はどこから体内に入るのか?

内部被ばくのメカニズム 放射性物質はどこから体内に入るのか?

[初掲載]2011年12月24日

[解説]

 日本で原発事故が起きた際、「チェルノブイリ原発事故の際は放射能汚染された食品の管理は行われなかった。ヨウ素131で汚染された牛乳を子どもたちが飲んで内部被ばくし、小児甲状腺がんを発症した。しかし、日本では、放射能汚染された食品の流通規制が行われた。だから、日本では小児甲状腺がんは起きない。」などと放射線の専門家は言いました。

 小さな子どもを持つ保護者は、子どもたちの牛乳の放射能汚染に関心を持ちました。

 2011年5月、福島、茨城、千葉在住の5人の母乳からヨウ素が、また、福島、茨城、東京在住の4人からセシウムが検出されたことが明らかになっています。(市民団体「母乳調査・母子支援ネットワーク」の調査)最高は千葉県の女性の母乳からヨウ素131が36.3ベクレル/Lも検出されています。(千葉県柏市の女性の母乳。採取日2011年3月29日)この母親は政府の規制を無視して、ヨウ素131で高濃度に汚染された牛乳を飲んだり、ほうれん草を食べたりしたのでしょうか?

<資料>母乳の放射能汚染に関する調査結果 ⺟乳調査・⺟⼦⽀援ネットワーク 2011年5⽉18⽇

 国立がん研究センター東病院が千葉県柏市にあり、ここでは敷地の屋外で空間線量をマイクロシーベルト/時およびcpmの単位で2011年3月15日から測定していました。最高値は2011年3月23日0.74マイクロシーベルト/時でした。同じ3月23日千葉県ちば野菊の里浄水場では水道水からヨウ素131が220ベクレル/kg検出されています。つまり、この日、大量のヨウ素131のプルームが千葉県柏市を襲ったのです。

<資料>水道水 ヨウ素131 食品別検出状況 平成23年(2011年)福島第一・第二原子力発電所事故について 原子力災害現地対策本部 2011年7月19日 20:00pm現在

 母乳から36.3ベクレル/Lものヨウ素131が出た女性は、空気から呼吸によって、また、皮膚から皮膚吸収によってヨウ素131を取り込んだ可能性が大です。放射線の専門家は飲食によるヨウ素131しか語りません。しかし、事実は、ヨウ素131とトリチウムは呼吸によって、また皮膚から吸収されやすいのです。

 内部被ばくのメカニズム 放射性物質はどこから体内に入るのか?を是非、お読みください。原発作業員は東京電力福島第一原発で廃炉作業を行う際に、全面マスクをつけ、皮膚を少しも出さないように防護服で身を包むのは、この呼吸と皮膚からの放射性物質からの吸収を避けるためだったのです。

2019年12月7日記

[記事]

内部被ばくのメカニズム 放射性物質はどこから体内に入るのか?

① 呼吸器から

 空気中に含まれている放射性物質は呼気から呼吸器系に入り込みます。空気中に存在している放射性物質の大部分は、空気中の霧やちりに付着しています。木枯らしが吹く季節には、土に落ちた放射性物質が土ぼこりに吸着して舞うことになります。べたべたしている花粉にも着いて、花粉とともに飛散し、呼吸器から入り込みます。

② 食べ物から

 水あるいは食べ物に入っている放射性物質が消化管に入ることを「経口摂取(けいこうせっしゅ)」といいます。放射性物質は小腸から吸収されてからだの中に入るこみます。吸収されなかったものは大便の中に排出されます。

③ 皮膚から

 トリチウムや放射性ヨウ素は皮膚の毛穴や汗の汗腺(かんせん)からからだの中に取り込まれます。これ以外の放射性物質がからだに入ることはまれ。しかし、皮膚に傷があると傷口から簡単にからだの中に入り込みます。

<各部分からの内部被ばくの詳しい説明>

① 呼吸器から

 空気中の放射性物質の大部分は空気中の霧やちりに付着しています。

 ちりの直径が大きい場合は鼻やのどまでしか入りません。

 呼吸器から排出されずに、それぞれの部位に沈着した放射性物質は少しずつ時間をかけて血液に溶けていきます。

 放射性物質は放射性壊変をしているので、沈着している部分に放射線を浴びせ続けていることになります。

②経口摂取(飲み物、食べ物から)

 口から入った固形状の食べ物は

  胃で1時間

  小腸で4時間

  大腸の上部で13時間

  大腸の下部で24時間

かけて進みます。

「50歳以上は放射性セシウムの影響はない」と力説する学者がいますが、これは大きな間違いで、小腸や大腸に炎症を引き起こし、また、がんを発症させる危険性があります。

 放射性ヨウ素や放射性セシウムは大変吸収されやすく、100%吸収されてしまいます。

 消化管から吸収されにくいのは、ウランやプルトニウムです。

③ 皮膚から

 トリチウム(三重水素)や放射性ヨウ素は皮膚の毛穴や汗腺(かんせん)からからだの中に取り込まれます。

 これ以外の放射性物質が皮膚からからだの中に取り込まれるのはまれです。

 しかし、皮膚に傷がある場合、特に刺し傷がある場合は、傷口から簡単にからだの中に取り込まれます。

 それが目に見えないほど小さな傷であっても取り込まれてしまいます。

 かすり傷の場合、60分後には50%吸収されることに注意が必要です。

チェルノブイリ膀胱炎 東京新聞 2011年9月14日朝刊

チェルノブイリ膀胱炎 2011年9月14日 東京新聞朝刊

[初掲載]2011年10月22日

[解説]

 以下、東京新聞の記事で、汚染地域の単位がキュリー/km2となっていました。編集者がベクレル/m2の単位に換算しました。

 国連科学委員会(UNSCEAR)や国際放射線防護委員会(ICRP)、国際原子力機関(IAEA)は、チェルノブイリ原発事故における人々の健康被害は、ヨウ素131による小児甲状腺がんだけだ、と決めつけています。更に進んで、日本政府や福島県は、東京電力福島第一原発事故では小児甲状腺がんも増えていない、という立場を取っています。

 プルトニウム239、ストロンチウム90を始め、様々な核種(放射性物質の種類)が放出された中で、健康被害が小児甲状腺がんだけであるはずがありません。国連科学委員会(UNSCEAR)や国際放射線防護委員会(ICRP)、国際原子力機関(IAEA)は、核保有国の核兵器開発を推進し、原発を推進するための「科学」を作り上げてきた団体です。実権を握っているのはアメリカ原子力委員会(AEC)や現在のアメリカ原子力規制委員会(NRC)です。その利用している放射線と健康被害のデータの大本は、広島、長崎の被爆者を調査・研究したABCC(原子爆弾傷害調査委員会)のデータです。このABCCの被爆者データは、本来、被爆者と非被爆者とを比べて、放射線による発がんやさまざまな健康被害を調べるべきなのに、その計画を放棄し、広島市・長崎市で被ばくした「被爆者」と戦後広島市・長崎市に入市し生活した言わば「戦後の内部被ばく者」とを比べています。1シーベルトを超える高線量被ばくしないとがんを発症しないという結論や、広島市・長崎市の被爆者から生まれた子どもたちには遺伝的影響はなかったという結論は、この「被爆者」と「戦後の内部被ばく者」とを比べることによって生み出された虚構です。どちらも被ばくしているために、差が出づらくなっているのを利用して、「これくらいの放射線では健康被害は出ない」という学説を作り上げてきました。現在は、ABCCから放射線影響研究所が研究を引き継いでいます。しかし、放射線影響研究所も、「非被爆者」を対照群とするべきなのに、「戦後の内部被ばく者」を対照群としているため、誤った研究を続けています。

 レム(rem)からシーベルト(Sv)への被ばく線量の単位は、国際放射線防護委員会(ICRP)1977年勧告から変更されました。その際に「実効線量当量」という概念が導入されることで、更に、換算係数を決める際に恣意的な操作が可能になりました。事実、国際放射線防護委員会(ICRP)はこの1977年勧告で「実効線量当量」を導入することで、1965年勧告に比べ、原発建屋などの室内の空気を漂うマンガン54の濃度基準を13倍も緩くしました。ストロンチウム90についても、同様な手法で11.5倍も緩和されました。

<参考>中川保雄『<増補>放射線被曝の歴史―アメリカ原爆開発から福島原発事故まで』明石書店2011年11月20日 pp.156,157

 以下、ウクライナの医学者は日本の福島昭治氏とともに、ミリシーベルトで人々の放射線被ばくを評価するのではなく、その土地のセシウム137の汚染度と人々との健康被害との関係を研究しています。国連科学委員会(UNSCEAR)や国際放射線防護委員会(ICRP)、国際原子力機関(IAEA)などが使うミリシーベルトの概念は虚構です。唯一、関連がありうるのは、その土地の核種(放射能の種類)ごとの汚染度(ベクレル/m2)と健康被害との関係です。また、微粒子を吸い込んだ場合の内部被ばくによる健康被害はこの土地の放射能汚染との関連すらなく、放射能プルームを吸いこんだか、吸い込んでいないか、だけが関係します。

 以下、ミリシーベルトが一切出てこない貴重な研究報告の紹介記事をお読みください。

 2019年12月7日 編集者

[記事]

チェルノブイリ膀胱炎 2011年9月14日 東京新聞朝刊

 福島第一原発事故から半年。子どもの尿から放射性セシウムが検出するなど、子どもの尿から放射性セシウムが検出されるなど、福島県内では内部被ばくの危険にさらされている。チェルノブイリ原発事故で、がん発症の因果関係が認められたのは小児甲状腺がんのみだった。だが、土壌汚染地域からはセシウムの長期内部被ばくによる「チェルノブイリ膀胱(ぼうこう)炎」という症例の報告もある。提唱者で医学博士の福島昭治・日本バイオアッセイ研究センター所長(71)に聞いた。(小倉貞俊)

 「セシウム137は膀胱(ぼうこう)にたまり、尿として排せつされる。絶えず膀胱(ぼうこう)に尿が溜まっている前立腺肥大の患者なら『影響が出やすいのでは』と思ったんです」

 化学物質の健康被害を研究する同センター(神奈川県秦野市)で、福島氏は研究に取り組みきっかけを振り返った。

 1986年4月、旧ソ連(現ウクライナ)でチェルノブイリ原発事故が発生。10年後の1996年、大阪市立大学医学部第一病理学教授だった福島氏は、ウィーンで開かれた世界保健機関(WHO)の会議に出席した。その際、事故の健康被害を研究していたウクライナの教授らと意気投合し、共同研究を始めた。

 同国では、10万人当たりの膀胱(ぼうこう)がんの発症率が1986年に26.2人だったのが、1996年には36.1人と、約1.3倍に増加していた。

 原発事故で大量に放出されたセシウム137は土壌に付着し、放射能は30年で半減する。汚染されたほこりや食品などを口から体内に取り込むと、腎臓を通って尿から排せつされるのは40日から90日もかかる。

 「セシウムによる長期被ばくが原因ではないか」。そう考えていた福島氏らは、1994年から2006年に、前立腺肥大の手術で切断された膀胱(ぼうこう)の組織131例を分析し、その多くに異常な変化を見つけた。

 「顕微鏡で組織を見て、すぐに『これは今までに経験のない病変だ』と驚いた」と福島氏。

 通常は同じ大きさに整然と並んでいるはずの上皮の細胞がふぞろいな形に変化しており、上皮の下にある粘膜の層には液がしみ出して、繊維と血管が増えていた。

 福島氏らは、居住地別に患者を「高い放射線量地域」(一平方メートル当たり111万~18.5万ベクレル=放射能の強さを表す単位)、中間的な線量地域(同18.5万~1.85万ベクレル)、「非汚染地域」(同1.85万ベクレル以下)の3グループに区分。高線量と中間的線量の地域の約6割で、膀胱(ぼうこう)がんの前段階である「上皮内がん」を発見した。一方、非汚染地帯での発症はなかった=表参照。

 病変は、DNAでがんの発生を抑える「P53遺伝子」などが、セシウムのガンマ線などで変異したのが原因とみられた。福島氏らは「膀胱(ぼうこう)がん化する恐れが高い慢性の増殖性膀胱炎」と結論づけ、2004年に「チェルノブイリ膀胱炎」と命名した。

 その後、同国の膀胱(ぼうこう)がんの発症率は2005年には50.3人と、20年前の2倍近くまで増加した。「長期にわたる疫学的な調査を実施していれば、膀胱がんとの因果関係は分かったはず」と福島氏は力を込める。

 日本でも、チェルノブイリ膀胱炎のような現象が起こるのだろうか。

 先の3グループの患者中の尿中のセシウム濃度は1リットル当たり平均で約6.47ベクレル、中間的な線量地域が約1.23ベクレル、非汚染地域で約0.27ベクレルだった。

<デスクメモ>

 細胞にあるヒトの情報が書かれたDNA。人工放射線は人類の想定外だ。ぐるぐる巻きの染色体は被ばくで切られ傷づけられ、修復する能力もある。今やがん化と変異する遺伝子番号まで特定できる。「福島膀胱炎が起こさせない」と福島氏。まず“敵”を知ること。甲状腺がん以外も想定して備えたい。(呂)

<参考>

2013年 保養前・後の尿放射能分析結果 セシウム134セシウム137合計 チェルノブイリへのかけはし 2013年9月15日

<参考>

尿検査結果 地域による違い ちくりん舎 青木一政 2016年3月20日

The Citizens’ Research Group on Internal Radiation Exposure

The Citizens’ Research Group on Internal  Radiation Exposure
Our purpose, objectives and mission:

Awareness and Information Sharing

  • To share information on internal  radiation exposure.
     
  • To conduct seminars and organize speeches and lectures throughout Japan to spread correct information on radiation and internal radiation exposure.  
  • To conduct study as a citizens’ association to think on internal radiation exposure and nurture trainers and lecturers from among the citizens.  
  • To support the efforts of guardians to safeguard their wards from internal radiation exposure at nursery schools, kindergartens, primary schools, junior high schools, high schools, colleges and universities by giving them proper advice and suggestions.   
  • To conduct lectures organized by cities, towns, villages, as well as the educational committees; such as the emergency seminar “Knowing the impact on health by radiation and radioactive substances”.

Food Safety

  • To establish the link between consumers and producers in order to secure the safety of food.   
  • To recommend food below 4 Bq (Becquerel)/kg (below 4cpm) especially for pregnant women, infants on lactation, children and the youth.  
  • To recommend the producers who voluntarily follow this standard and guide them in selling their products.  
  • To introduce the food items below 4 Bq/kg and aim at establishing the supply system to supply such products for mid-day meal and the families with pregnant women as well as infants and children.

Safeguarding Land and Water

  • To support improvement of agricultural land that is affected by radiation. If it is not possible to improve, then to request the government to offer an alternative site/s.   
  • To conduct the trend of the tide year-round, do the continuous survey on the seabed, and to check the quality of seawater, since there is a serious problem of marine pollution.  
  • To define regions where fishing activities need to be prohibited and request the government to compensate the fishermen. 

Funding and Compensation

  • To establish funds of the association to compensate the loss of the producers whose products are affected by radiation and cannot sell them in the market.  
  • To give advice on the demand of compensation for the loss from TEPCO.

Daigo Fukuryū Maru-Fishing Boat Incident

On March 1, 1954, The Daigo Fukuryū Maru (Lucky Dragon 5), a Japanese tuna fishing boat, was exposed to and contaminated by nuclear fallout from the United States’ Castle Bravo thermonuclear device test on Bikini Atoll.  Nuclear fallouts are called as “the ashes of death”.

At that time, fish was one of the staple diets for Japanese people. Fish was contaminated due to nuclear fallouts. The entire ship itself was contaminated.   Not just Daigo Fukuryū Maru, but also minimum 856 ships were covered under “the ashes of death” and the fishermen got the effect of radiation. The Hibakusha of the Bikini incident have not been given even any special health card.

The issue became out of sight, out of mind. 

At that time, the government had disposed all the tunas which were affected by radioactive substances at the level of more than 100 cpm (cpm means count per minuite).  They thought that the gills of tunas would be affected most by radiation.  Therefore, all tunas with more than 100 cpm were disposed by reclaiming land from the sea. 

Radiation Measurement

The tool to measure radiation in food and water is called “Ge (germanium) Semiconductor Detector”.

On the other hand, the tool to measure air radiation dose is called “Geiger-Müller Counter”. 

Comparison between count per minute (cpm) and Bequelel (Bq)

Count per minute (cpm) is the unit measured with GM survey meter of the area within 10cm2 and 1 cm above the surface. 

Bequelel (Bq) means the amount of radiation released per second out of the food item weighing 1kg.

Beef with 500 Bq/kg means the meat radiates 500 times more than normal meat per second. 

If you try to convert it with the unit of cpm, it is not so simple to do so. In fact, we cannot convert the unit of cpm into Bq/kg.

This is because of the fact that cpm measures the amount of radiation per minute on a certain area and that Bq/kg defines the amount of radiation per second of a certain weight. 

Calculation of Radioactive Contamination of Water and Food

So far, radioactive contamination of water and food has been tested with Germanium Semicondoctor Detector. With this method, it would take for about 6 hours to the precision upto 0.1 Bq/kg. Further, to reach the precision upto 0.2 Bq/kg, it would take one hour. In addition, to conduct such tests, meat or vegetables need to be finely chopped or a blender should be used and the test item must be put in a Marinelli Beaker. This makes it impossible to check each and every food item. 

It has been said that the affected tunas called “Ganbaku Maguro”, with their gills counted the score of 100 cpm, would count around 50-100 Bq/kg when they were tested with the tool of GM Survey Meter.
Based on this finding, it was decided that whichever tuna meat was with the count of more than 100 Bq/cpm on the gills of the tunas would be disposed off. 
In the year 1954, fish in Japan used to carry 50-100 Bq/kg. 

After the disaster at Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant, the provisional regulation count was revised by the Government of Japan on 17 March 2011. It was relaxed and raised to the level of 500 Bq/kg for both adults and children, which is five to ten times more compared to the level of 1954.

How can we protect the health of our children?

We will aim at realizing the measurement of the effect of radiation on food by using GM Survey Meter by considering the example of this “Genbaku Maguro.”
The actual count of the gills of “Genbaku Maguro”carried 100 cpm, its meat counted 50-100 Bq/kg.

We should proceed with the advice provide by German Society for Radiation Protection (Gesellschaft für Strahlenschutz e.V.): 

The basis for estimates of health effects being uncertain, we must recommend that no food with a concentration of more than 4 Becquerel of the leading radionuclide Cesium-137 per kilogram shall be given to infants, children and adolescents. Grown-ups are recommended to eat no food over 8 Becquerel per kilogram of the leading nuclide Cesium-137.
(http://www.strahlentelex.de/Recommendations_engl.pdf) ”

The standard level below 4 Bq/kg is based on “The Advice on Minimising the Radiation Risk in Japan (Empfehlungen zur Minimierung des Strahlenrisikos in Japan)” presented by German Society for Radiation Protection on 20 March 2011 (http://www.strahlentelex.de/Stx_11_582_S12-14.pdf).

Food and Liquid Safe for Consumption

We aim not to let the children take food and drink with more than the count of 4 cpm, and 8 cpm for the adults which would be properly measured with GM Survey Meter. 

We need to do research on the relationship between the levels of cpm and Bq/kg of actual food item. 

It would take for about 5 minutes to measure the level of cpm of any food item with GM Survey Meter.

With the co-operation of research institutions, we would like to publicise the results of testing onto the level of radiation among the food items, such as rice, vegetables, meat, fish, and so on.

The Citizens’ Research Group on Internal Radiation Exposure,

Shinya Kawane ,representative
kawane@radiationexposuresociety.com
mobile 080-3086-1417 

欧州放射線リスク委員会(ECRR) の基準についても十分検証し、これを施策に活かすことー原子力規制委員会設置法案付帯決議 2012年6月20日

[初回掲載日 2019年10月24日]
[解説]

 復興庁、環境省、文部科学省など政府機関が依拠している放射線防護理論は、国際放射線防護委員会(ICRP)や国連科学委員会(UNSCEAR)の放射線防護理論です。「国際的な学術団体」や「科学者」の集まりかのような装いの団体ですが、発足当初からアメリカの核兵器開発の責任者らが主導で作った団体です。

一方、独立した科学者で構成される欧州放射線リスク委員会(ECRR)は、この国際放射線防護委員会(ICRP)の放射性物質の内部被ばくについて、以下の批判をしています。

(1) 国際放射線防護委員会(ICRP)は、外部被ばくと部被ばくの健康被害を、同じベクレル数であるならば、1:1であるとしている。しかし、同じ種類の放射性物質が同じベクレル数ある場合、体外にあり放射線をからだが受ける場合(外部被ばく)と、体内の各臓器に蓄積する場合(内部被ばく)とでは、内部被ばくの方が決定的に大きくなる。

(2) 国際放射線防護委員会(ICRP)は、チェルノブイリ原発事故やイギリス、フランスの核燃料再処理工場周辺の小児白血病や小児がんの発症を正しく説明できていない。実際に発生している患者数からリスクを評価すると、国際放射線防護委員会(ICRP)のリスク評価は200倍~1000倍誤っている。

(3)国際放射線防護委員会(ICRP)は、トリチウム(3H)が、DNAの水素結合をしている水素と元素転換(トリチウムが分子と結合している水素に近づくと、トリチウムと水素とが入れ替わること)してベータ線を出して崩壊、DNAに壊滅的な影響を当たることを考慮していない。プルトニウム、ストロンチウム90もDNAと結びつきやすい。DNAに対して同様な壊滅的な影響を与える。

(4)国際放射線防護委員会(ICRP)は、1回のベータ崩壊でできた娘核種が2回目またベータ崩壊する、セカンド・イベントと呼ばれる内部被ばくを考慮していない。

 ストロンチウム90  → イットリウム90      →ジルコニウム90

 (半減期28.8年) β (半減期64.1時間) β

 テルル132     → ヨウ素132       →キセノン132

 (半減期78.2時間)β(半減期2.30時間)  β

最初のストロンチウム90やテルル132の出したベータ線でDNAが傷つき、そのDNAが誘導修復過程にあるときに、次のイットリウム90やヨウ素132がベータ線を出して、DNAの修復を更に難しくする。

国際放射線防護委員会(ICRP)はそのセカンド・イベントをリスク評価にまったく入れていない。ストロンチウム90だけ、テルル132だけの単独のリスク評価のみである。

(5)ウランなど原子番号の高い金属が体内にあると、外部からガンマ線が当たるとウランがそのガンマ線を吸収し、体内のウランはまたオージェ電子という電子を放出する。この電子線がDNAを連続的に傷つけることになる。国際放射線防護委員会(ICRP)はこのファントム放射能を考慮していない。

(6)放射線によって、DNAが傷つきがん細胞ができる、というだけではなく、ゲノム不安定性と呼ばれる、突然変異を起こしやすい細胞ができる。放射線を受けた細胞だけではなく、その細胞の周辺の別の細胞もゲノム不安定性を起こす。これは細胞と細胞同士が相互に信号をやり取りしていることによっておこる。国際放射線防護委員会(ICRP)はバイスタンダー効果を考慮していない。

(7)劣化ウラン弾によって作られた、極めて小さい粒子サイズの高放射能微粒子が肺を通して、あるいは鼻から直接中脳に、また、皮膚を通しても体内に取り込まれる。さまざまなガンや中枢神経系の傷害をもたらすにもかかわらず、劣化ウラン弾の影響は、その体内での濃度から健康影響を評価しようとする国際放射線防護委員会(ICRP)の理論は誤っている。国際放射線防護委員会(ICRP)は劣化ウラン弾の健康影響を否定している。

 など他にも多くの問題を国際放射線防護委員会(ICRP)は無視していると欧州放射線リスク委員会(ECRR)は指摘しています。

<参考>放射線被ばくによる健康影響とリスク評価 ECRR2010年勧告 山内知也監訳 明石書店 2011年

 この欧州放射線リスク委員会(ECRR)の放射線防護理論については、2012年原子力規制委員会が設置される時に、付帯決議として以下が議決されていました。

「十四、放射線の健康影響に関する国際基準については、I C R P ( 国際放射線防護委員会) に加え、E C RR ( 欧州放射線リスク委員会) の基準についても十分検証し、これを施策に活かすこと。また、これらの知見を活かして、住民参加のリスクコミュニケーション等の取組を検討すること。」

 この付帯決議を生かし、文部科学省の作った「放射線の副読本」、復興庁の作った「放射線のホント」を根本的に見直すべきです。

原子力規制委員会設置法案に対する附帯決議 2012年6月20日

原子力規制委員会設置法案に対する附帯決議
平成二十四年六月二十日
参議院環境委員会

 東京電力福島第一原子力発電所事故により失墜した原子力安全行政に対する信頼を取り戻すためには、政府一丸となって原子力利用の安全確保に取り組む必要がある。よって、政府は、原子力安全規制組織を独立行政委員会とする本法の趣旨を十分に尊重し、その施行に当たり、次の事項について、万全を期すべきである。

一、政府は、原子力規制委員会を円滑に発足させ、放射線による有害な影響から人と環境を守る原子力規制行政を一日も早く国際的な水準まで向上させるよう、速やかに委員長、委員の人事の人選、国会手続きを進め、その見識を反映した組織構成を整備するとともに、十分な資源を確保するよう、特段の配慮を行うこと。
二、原子力規制委員会の委員長及び委員の任命に当たっては、一の分野に偏ることなく、専門性、経験等を十分踏まえ、原子力の安全規制を担うのにふさわしい者の人選を行うとともに、国会の同意を得るに当たっては、国会に対して、人選の理由を十分に説明すること。この際、国会における審査に資するよう、原子力事業者等からの寄附等に関し、その所属する研究室に対するものも含め、直近三年間の情報を人事案と併せて提出すること。
三、原子力規制委員会の委員長及び委員は、原子力事故に際し、原子力施設の安全の確保のために行うべき判断等の職責を十全に全うできるよう、その専門的知識及び経験を活かし得るための訓練を計画的に実行すること。また、法第七条第三項の適用を可能な限り避けるため、原子力規制委員会の委員長は、法第六条第三項に基づき、その職務を代理する委員四名を順位を付けてあらかじめ指名しておくこと。
四、原子力規制委員会は、その業務の基本方針及び業務計画を策定した上で毎年その評価を実施し、特に職員の専門能力の育成や訓練等の業務におけるP D C A サイクルの採用の試みなどその着実な実行の担保に取り組むとともに、これら及びその業務報告を国会の監視を受けるべく国会に報告をした上で、そのすべてを公表すること。また、これらの国会への報告に際しては、その監視の役割に資するよう、原子力規制委員会が防災対策に係る知見の提供も行うこと等にも鑑み、原子力防災会議の議長たる内閣総理大臣の意見を付すること。
五、原子力規制委員会は、原子力を推進する組織はもとより、独立性、中立性を確保するため、関係事業者等の外部関係者との接触等のルールを作り透明化を図ること。また、原子力規制委員会は、中立性、独立性、公開性、不断の説明責任の全うの確保、利益相反の防止等、その適正な運営並びに国民の信頼を得るために必要な課題について、規約、綱領、規律に関する事項等を速やかに定め、これを公表すること。
六、全職員へのノーリターンルールの適用に当たっては、職員の意欲、適性等が損なわれないよう適切に運用するとともに、人材の確保・育成につなげることができるよう配慮すること。

七、原子力規制委員会が原子力安全規制に関する判断に一義的な責務を有することから、原子力規制委員会に置かれる原子炉安全専門審査会及び核燃料安全専門審査会は、会議や議事録の公開を含む透明性を確保した会議運営の下、原子力規制委員会の判断を代替することなく、その判断に対する客観的な助言を行うに留めるものとすること。
八、原子力規制委員会は、核セキュリティ及び核不拡散の保障措置等の秘密保全と同時に、情報の最大限の公開性を確保するため、文書等情報の保全・管理体制を厳正に確立するとともに、機密にすべき事項及び公開できない事項に関するガイドラインを策定し、公表すること。また、原子力規制委員会は、情報公開法に基づく情報開示請求があった場合には、当該ガイドラインに従い、非開示にする部分を極力最小限にするなど、一般の行政機関以上に特に配慮すること。
九、原子力規制委員会は、安全神話から脱却し、常に安全性の向上を求める安全文化、少数意見や異論を重んじ、活発な議論が奨励される組織文化を確保しつつその業務の適正を確保するため、所掌事務に関する評価機関の設置を始めとする必要な措置を講ずること。
十、緊急時の原子力規制委員会と原子力災害対策本部の役割分担や連携については、縦割りの弊害が新たに生じないよう、国民の生命・健康の保護及び環境の保全を第一に、十分に検討すること。また、平時からの防災対策の強化が重要であることから、原子力規制委員会と原子力防災会議は、それぞれの明確な役割分担の下、平時から緊密な連携関係を構築し、防災体制の一体化を図ること。
十一、政府は、本法第一条及び本法改正に伴う改正原子力基本法第二条において、原子力の安全の確保の目的の一つに我が国の安全保障に資することが規定されている趣旨について、本法改正により原子力規制委員会が原子力安全規制、核セキュリティ及び核不拡散の保障措置の業務を一元的に担うという観点から加えられたものであり、我が国の非核三原則はもとより核不拡散についての原則を覆すものではないということを、国民に対して丁寧に説明するよう努めること。
十二、原子力規制委員会は、原子力の安全をめぐる問題に関する国民の理解の重要性に鑑み、これまでの用語が難解で国民に分かりにくかったことを踏まえ、用語改革を行うこと。
十三、政府は、東京電力福島原子力発電所の事故サイトの管理・運営に関し、国民及び環境を守る立場から、作業員の厳正な被ばくの一元的な管理を含め、十分な規制、監督を行うこと。
十四、放射線の健康影響に関する国際基準については、I C R P ( 国際放射線防護委員会) に加え、E C RR ( 欧州放射線リスク委員会) の基準についても十分検証し、これを施策に活かすこと。また、これらの知見を活かして、住民参加のリスクコミュニケーション等の取組を検討すること。
十五、核不拡散の保障措置、放射線防護に関する事務、モニタリングの実施機能を文部科学省から原子力規制委員会に移管し、一元化することに伴い、原子力規制委員会は、これらを担当する在外公館等への職員派遣等を行い、業務の効果的な実施を担保すること。
十六、原子力規制委員会は、原子力安全規制の課題に対する調査研究体制を立ち上げ、過去の地震・津波等の検証を含めた常に最新の知見を集約できるようその運用体制を構築し、その結果を安全規制に反映すること。また、原子力規制委員会は、原子力の安全の確保のうちその実施に関するものに責務を有する組織とされたことに鑑み、核燃料再処理の問題も含めた原子力利用全体の安全性についても担うこと。
十七、原子力規制委員会が原子力事故調査を行う場合には、過去の原子力行政において事故やトラブルが隠蔽されてきたことへの反省に立ち、全ての情報を速やかに公開することを旨とすること。また、原子炉等規制法に基づく従業者申告制度の見直しを行い、より実効的なものとすること。
十八、原子力発電所の再起動については、「事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならない」との目的に照らし、万が一の重大事故発生時への対応策も含め、ストレステストや四大臣会合による安全性の判断基準などの妥当性に関して、原子力規制委員会において十分に検証した上で、その手続を進めること。
十九、防災対策を確実に実施するため、実施機関及び支援機関の役割、責任について、法令、防災基本計画、地域防災計画、各種マニュアル等において明確にするとともに、これに必要な人員を十分確保すること。
また、これらについて、その妥当性、実効可能性を確認する仕組みを検討すること。併せて、地域防災計画策定において安定ヨウ素剤の配付等を含めた住民等のニーズに対応した仕組みを検討すること。
二十、原子力発電所事故による周辺環境への影響の度合いや影響を与える時間は、異常事態の態様、施設の特性、気象条件等により異なることから、原子力発電所ごとに防災対策重点地域を詳細に検討し、地方公共団体と連携をして地域防災計画等の策定に活かすこと。
二十一、原子力事業者が行う防災訓練は、原子力事故の際に柔軟な危機対応能力を発揮して対処することの重要性に鑑み、抜き打ち訓練、想定外も盛り込んだブラインド訓練を含め、重大事故の発生を含めた厳しい条件を設定して行い、その実効性を確保すること。
二十二、シビアアクシデント対策やバックフィット制度の導入に当たっては、推進側の意向に左右されず、政府が明言する世界最高水準の規制の導入を図ること。また、発電用原子炉の運転期間四十年の制限制度については、既設炉の半数近くが運転年数三十年を経過していることから、既存の高経年化対策等との整合性を図るとともに、今後増加が見込まれる廃炉について、その原子炉施設や核燃料物質などの処分の在り方に関し、国としての対策を早急に取りまとめること。
二十三、本法附則に基づく改正原子炉等規制法の見直しにおいては、速やかに検討を行い、原子力安全規制の実効性を高めるため、最新の科学的・技術的知見を基本に、国際的な基準・動向との整合性を図った規制体系とすること。特に、審査・検査制度については、諸外国の例を参考に、これが形骸化することがないよう、原子力規制委員会が厳格かつ実効的な確認を行うとともに、事業者が常に施設の改善を行わなければならないような規制体系を構築すること。
二十四、政府は、東日本大震災により甚大な被害が生じたことを踏まえ、原子力災害を含む大規模災害へのより機動的かつ効果的な対処が可能となるよう、大規模災害への対処に当たる政府の組織の在り方について、米国のF E M A ( 連邦緊急事態管理庁) なども参考に抜本的な見直しを行い、その結果に基づき必要な措置を講ずるものとすること。
二十五、原子力規制委員会の予算については、独立性確保の観点から、諸外国の例などを参考に、独自の財源の確保の在り方を検討すること。
二十六、従来からの地方公共団体と事業者との間の原子力安全協定を踏まえ、また、原子力の安全規制及び災害対策における地方公共団体の役割の重要性に鑑み、本法施行後一年以内に地方公共団体と国、事業者との緊密な連携協力体制を整備するとともに、本法施行後三年以内に諸外国の例を参考に望ましい法体系の在り方を含め検討し、必要な措置を講ずること。
二十七、国会に置かれた東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の報告書については、原子力安全規制組織にとどまらず、原子力の安全規制及び災害対策に関しても十分に検討し、本法施行後三年にかかわらず、速やかに必要な措置を講ずること。
二十八、政府は、東京電力福島第一原子力発電所の事故の反省を深く心に刻み、毎年三月十一日に、全国の原子力発電所の安全性の総点検、原子力防災体制の確認、政府の原子力規制に関する取組の公表等を行い、二度と重大事故を起こすことのないよう、自らの取組を見直す機会とすること。

右決議する。

10月1日(土) 川根講演会 春日部 40名の方が参加しました。

[初回掲載日]2011年10月1日
 放射能から子どもの未来を守ろう~5年後10年後子どもたちが健やかに育つ会・春日部~さんが、10月1日川根眞也先生講演会&勉強会
……終了しました。
午前 基礎編 (参加者) 大人40名、中学生1名、小学生3名幼児2名
午後 さらに詳しく編 大人31名、中学生1名、小学生4名でした。
ご参加ありがとうございました。

放射能から子どもの未来を守るために

     何を気をつければいいの?

       内部被ばくを防ぐには?

          今の春日部はどんな状況?心配はつきません

きちんと学んで、きちんと予防しましょう!

日時 2011年10月1日(土)

 午前10時~12時 入門編 『福島第一原発事故と放射能~内部被ばくを避けるために~』 

(7月27日と同じ内容の基礎講座と質疑になります。初めての方はこちらからご参加ください)

 午後13時~15時 応用編 『日本の現状と 春日部市~春日部市の現状を知り、これからの生活を考える~』

場所 武里東公民館 1階会議室

参加費: 1部2部 各500円 (資料代含む)(子ども・学生無料)

定員 :各150名 

申し込み:会のHPの申し込みフォームより、第1部か第2部、学びたい内容をそえて

 (席と資料の準備の都合上、必ず、事前にお申し込みください。)

 山本             080-3507-0176      

*駐車場が少ないので、電車または、乗り合わせてお越しください。

 今、 放射能から子どもの未来を守ろう~5年後10年後子どもたちが健やかに育つ会・春日部~で、午後の応援編のテーマを募集しています。