福島第一原発の汚染水についてのパブリックコメント 川根眞也 その2

本日2020年7月31日、「多核種除去設備等処理水の取扱い」に関するパブリックコメントを提出しました。その2です。

意⾒2 川根眞也

(3)トリチウムの⼈間への健康被害について、⼩委員会報告は、⼗分な検討を⾏っていない。

 トチリウムが⾃然界でも作られることや、世界各国もトリチウムを海洋放出したり、または、⽔ 蒸気放出したりしていることを強調して、さも、トリチウムが⼈間への健康影響がないかのように議論を組み⽴てている。

 まず、第⼀に、トリチウムが地球上で⽣成される量は年間70PBq(ペタベクレル)に過ぎない。⽶ソの核兵器開発競争で地球の⼤気圏にばら撒かれたトリチウムの量は
180000PBq〜240000PBqであり、地球上で⽣成される量の2751倍〜3428倍である。

 トリチウムの半減期が12.3年であるので、1963年部分的核実験禁⽌条約によって、⼤気圏内核実験が禁⽌され、早57年。⽶ソのまき散らしたトリチウムは約4.5半減期を迎え、その量はやっと22分の1になった。

そこに原発の使⽤済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理⼯場が稼働し、フランスのラ・アーグではたった1年で10PBq、イギリスのセラフィールドではだった1年で1.4PBqものトリチウムを放出している。

さらに、⽇本では⼀気に4基もの爆発を起こし、0.1〜0.5PBqものトリチウムを放出した。

 この上に、⽇本から海または⼤気にトリチウムを放出してよいものだろうか︖

 地球上の⽣命は地球で誕⽣してから30憶年近く、⾃然放射能との共存は図ってきた。しかし、それは⾶び交う放射線からDNAを守る闘いの歴史であったとも⾔える。ウラン238の半減期は45億年。地球の年齢48億年とほぼ同じである。やっと⾶び交うアルファ線が半分になり、また、ウラン鉱⽯が地下深く閉じ込められることにより、⽣命はDNAを安定的に保存できるようになったと考えられる。

 その閉じ込められたウランをアメリカは核兵器開発のために掘り起し、ウランからプルトニウムを⽣産するために、原発を開発した。ソ連が核実験に成功すると、⾃らの陣営に核技術を広めるべき、「平和のための原⼦⼒」をキャッチフレーズに、世界中に原発と核技術を輸出した。⽇本は原発開発のその最先頭に⽴った。その結果は1979年アメリカ、スリーマイル島原発事故であり、1986年ソ連、チェルノブイリ原発事故であり、2011年⽇本、東京電⼒福島第⼀原発事故である。

 地下の鉱床に埋めておけば、これほどの⼈間や⽣物のDNAを傷つけることがなかったのに違いない。

「⼩員会報告」ではトリチウムの出すベータ線のエネルギーが⼩さいから、⽣物への影響が⼩さいかのように説明している。放射線⽣物学上、これは間違いである。

 エネルギーの⼩さいベータ線ほど、LETが⼩さく、従ってスプールの間隔が⼩さくなる。つまり、同じDNAにベータ線作ったフリーラジカルの爆弾をたくさん落とすのは、ベータ線のエネルギーの強い、イットリウム90やストロンチウム90ではなく、トリチウムなのである。

 また、DNAの⼆重らせんは⽔素結合によって、結ばれている。トリチウム(T)は近くに分⼦の中に⽔素(H)があると、同位体交換をすることが知られており、DNAの⽔素結合のHがトリチウムのTと交換してしまう。トリチウムの半減期は12.3年であり、⼈間が⽣きている間に崩壊する可能性が⾼い。トチリウムが体内に取り込まれ、脳や⼼臓などの様々な器官のDNAの⼀部になった場合、ある意味、ガンの時限爆弾となりうる。DNAの⽔素結合の⼀部にトリチウム(T)が置き換わった場合、トリチウムは崩壊してヘリウム(He)になる。つまり、DNAはずたずたに破壊される。

 放射線⽣物学ではバイスタンダー効果が知られており、細胞が異常死すると、その情報が近くの細胞に伝えられ、周囲の細胞の遺伝的不安定性が引き起こされることが知られている

 また、切断されてもDNAは修復されるから⼤丈夫などという放射線の専門家がいるが、これも間 違いである。DNAが⾒かけ上修復されて、異常がないように⾒えるが、DNAの⼀部分が⽋損したままDNAが修復されることがある。これを「⽋失」という。

 「⽋失」は放射線被ばくに特有なDNA損傷である。失われたDNAの部分に、細胞分裂を制御する因⼦が含まれていた場合、「⽋失」して修復されたDNAは、細胞分裂を制御することができない。

 つまり、無限に細胞分裂を繰り返すことになる。つまり、ガン細胞になる。

 DNAが切断されても、少ない数ならば修復される。だからトリチウムの被ばくは安全、は間違いである。
 トリチウムも含めて、福島第⼀原発で作ってしまった放射能は陸上で⻑期に渡って保管するべきである。
 これ以上、地球を⼈⼯放射能、死の灰で汚染してはならない。

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