伊方原発3号機運転差し止め仮処分決定2020年1月17日「妨害予防請求権」で原発の運転は止められるー広島高裁

 2020年1月17日、山口県の伊方原発から30~40キロ圏内の島しょ部に住む住民3名が起こした伊方原発運転差し止め即時抗告審で、広島高裁 森一岳、鈴木雄輔、沖本尚規裁判官は、伊方原発3号機の運転差し止めを命じる決定を出しました。

 この決定文で、 「福島事故のような過酷事故は絶対起こさない」という理念や「妨害排除請求権」と「妨害予防請求権」について書かれています。多くの新聞はこのことを書きません。東京新聞が唯一、「森裁判長は、原発の危険性検証には『福島事故のような過酷事故は絶対起こさないという理念にのっとった解釈が必要なことは否定できない』と言及」と報道しています。東京新聞2020年1月18日1面。朝日新聞、毎日新聞、読売新聞はこの理念については一切言及していません。

 またこの決定文には、原発が運転中に事故を起こした場合、 「大量の放射性物質を外部に放出することになり」、 「人が放射線を短時間で一度に受けると、多数の細胞が死に、組織や臓器の働きが悪くなることに加え、自らの生命を維持するためのDNAや、細胞を修復する能力が失われてしまう可能性があるから、生命、身体に対する影響は重大で、かつ、不可逆的なもの」と述べた上で、「 住民らは、このような重大な被害を受ける具体的な危険性が認められるときには、発電用原子炉施設の運転を、人格権に基づく妨害予防請求として差止めを求めることができる。 」と述べています。この「人格権に基づく妨害予防請求権」という権利をこの判決では掲げて、伊方原発3号機の運転差し止めを求めているのに、東京新聞を含めて、どの新聞も書いていません。

 こと、原発再稼働差し止め、原発建設差し止めの判決の際には、新聞記事を読みあさるのではなく、まず、判決文全文を読むことをお勧めします。新聞には大事なことをわざと書かないバイアスがかかっているからです。

 ちなみに、川内原発運転を止めるため、原子力規制委員会の火山リスクの検討が不十分だとして、同委員会の新基準適合を取り消しを求めた裁判の判決文では、以下のような論拠で原告の低線量被ばくを回避したいという訴えを退け、年間20ミリシーベルトまでの被ばくを容認しています。

「放射線と他の発がん要因等のリスクとを比較すると、喫煙は1000ないし2000ミリシーベルト、肥満は200ないし500ミリシーベルト、野菜不足や受動喫煙は100ミリシーベルトから200ミリシーベルトのリスクと同等とされ、年間20ミリシーベルトを被ばくすると仮定した場合の健康リスクは、他の発がんと比べても低い。」川内原発設置変更許可取り消し裁判判決全文 2019年6月17日 pp.83

川内原発設置変更許可取り消し裁判判決全文 2019年6月17日

 今回の伊方3号機の運転差し止め仮処分却下決定の即時抗告の決定文には、このようなでたらめな放射線防護理論はありません。「人格権」と、人格権を侵害する場合には「妨害排除請求権」が、人格権を侵害する恐れがある場合には「妨害予防請求権」がある、とはっきり書いています。 伊方原発3号機運転差し止め仮処分命令申立却下決定に対する即時抗告事件 決定 2020年1月17日  pp.6~7

伊方原発3号機運転差し止め仮処分命令申立却下決定に対する即時抗告事件 決定 2020年1月17日 広島高裁 裁判官 森一岳 鈴木雄輔 沖本尚規

 是非、決定文、全文を読むことをお勧めします。そして、この人格権と「妨害予防請求権」について、学習を深めると同時に、「喫煙、肥満、野菜不足や受動喫煙うんぬん」のような判決を許さない運動が必要です。

 以下、決定文より大切だと思われる文章を抜き書きしました。編集者が読みやすさを考え、長文をいくかに分割し、「本件」「上記のような」の言葉を省略しました。決定文そのものではありません。

「福島事故のような過酷事故は絶対起こさない」という理念

 抗告人らの主張のうち、発電用原子炉施設について、福島事故のような過酷事故は絶対起こさないという意味での高度な安全性を要求すべきであるという理念については、傾聴に値するものがある。PP.10

「妨害排除請求権」と「妨害予防請求権」

 本件は、抗告人らが、原子炉の運転によりその生命、身体等に対する侵害が生ずる具体的危険性があるとして、人格権にもとづいて原子炉の運転の差し止めを命ずる仮処分命令を求める事案である。抗告人らが主張する被保全権利は人格権に基づく妨害予防請求権としての差止請求権である。人の命、身体は言うまでものなく重大な保護法益である。また、これまで居住してきた生活環境の中でその生活を維持していき、その意思によらずにその生活環境を一方的に奪われないことも、人が個人として生きていくための基礎であって、重大な保護法益であるというべきである。人の生命、身体、生活の保護法益に係る権利は、人格権として、物件の場合と同様に排他性を有するものと解される。したがって、人は、人格権が違法に侵害され、又は違法に侵害されるおそれがある場合には、現に行われている違法な侵害行為を排除し(妨害排除請求)、又は将来生ずべき違法な侵害行為を予防する(妨害予防請求)ため、人格権に基づいて侵害行為の差止めを求めることができる、と解するのが相当である。PP.6

発電用原子炉の運転差し止めを「妨害予防請求権」で求めることができる

 発電用原子炉は、核分裂によって生じるエネルギーを利用して発電を行うため、運転に伴って必然的に放射性物質を発生するものである。発電用原子炉施設においては、原子炉を「止める」「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」という安全上の重要な機能を有する設備を用いて事故防止に係る安全確保対策を講ずることにより、異常発生時においても放射性物質を発電用原子炉施設内に閉じ込め、放射性物質を環境へ大量に放出する事態を防止することが予定されている。が、安全確保対策の失敗により、原子炉の停止又は冷却ができず、かつ、放射性物質の閉じ込めにも失敗した場合には、大量の放射性物質を外部に放出することになる。また、人が放射線を短時間で一度に受けると、多数の細胞が死に、組織や臓器の働きが悪くなることに加え、自らの生命を維持するためのDNAや、細胞を修復する能力が失われてしまう可能性があるから、生命、身体に対する影響は重大で、かつ、不可逆的なものである。大量の放射性物質が外部に放出された福島事故においては、政府の避難指示によって避難した住民が約15万人に達し、事故から約4年3ヵ月が経過した時点でも福島県全体の避難者は約11万2000人に及んでいる。この経験に照らしても、このような事故が起これば周辺の環境を放射能によって汚染されるなど、地域住民の生活基盤が破壊され、その回復には多くの困難が伴うことは明らかである。したがって、発電用原子炉施設の安全性に欠けるところがあり、その運転によって放射性物質が周辺の環境へ大量に放出される事態が発生すると、その周辺に住む住民らの生命、身体や生活基盤に回復し難い重大な影響を及ぼす恐れがあるから、住民らは、このような重大な被害を受ける具体的な危険性が認められるときには、発電用原子炉施設の運転を、人格権に基づく妨害予防請求として差止めを求めることができる。PP.6~7

 決定文で重要視された、伊方原発目の前(2km)にある活断層の問題 関連資料
中央構造線断層帯(金剛山地東縁-由布院)の長期評価(第二版) 2017年12月19日 地震調査研究推進本部地震調査委員会

弁護団声明 広島高裁による原発運転差止決定(勝訴決定)を受けて 2020年1月17日 伊方原発運転差止山口裁判弁護団

伊方原発 運転再び認めず 「地震、火山の想定不十分」 3号機 広島高裁 仮処分決定 2020年1月18日 東京新聞 朝刊1面
伊方原発運転差し止め 活断層の評価不十分 広島高裁仮処分 火山灰想定も過小 2020年1月18日 朝日新聞 朝刊1面
伊方原発 再び差止め 活断層・火山 評価不十分 広島高裁 4月運転再開難しく 2020年1月18日 毎日新聞 朝刊1面
伊方原発 運転差し止め 3号機 広島高裁、仮処分決定 2020年1月18日 読売新聞 朝刊1面

自作ドライアイス霧箱で放射線を見る 応用編(1)さいたま市落ち葉からアルファ線

 文部科学省の「放射線の副読本」は放射線の安全性しか語りません。原発事故が生み出した「死の灰」が白血病やがんを引き起こすことも語りません。また、「霧箱」を使った天然の放射性鉱物を使った目で放射線(アルファ線)を見る実験だけは理科教育の中で行われていて、「自然にも放射線はあるのだ」という事だけが子どもたちの頭に刷り込まれています。
 果たして、東京や埼玉などの関東圏は安全な空間なのでしょうか?東京オリンピック、パラリンピックを開催してもいい環境なのでしょうか?
 霧箱を自作し、天然の放射性鉱物の出す放射線を目で見る実験をした後、岐阜県関市の落ち葉(2020年1月10日採取)と、埼玉県さいたま市の落ち葉(2012年5月採取)を「霧箱」に入れて観察しました。 岐阜県関市の落ち葉からは放射線が出ているようすを観察することはできませんでしたが、埼玉県さいたま市の落ち葉 の落ち葉からは放射線(恐らくアルファ線)が出ているようすがはっきりと観察されました。採取場所は、さいたま市浦和区仲町4丁目、さいたま市役所前の民家の道路です。
 この 埼玉県さいたま市の落ち葉(2012年5月採取) はベラルーシ製のNaIシンチレーション式放射能測定器AT1320Aで15分間測定したところ、放射性セシウム 5170ベクレル/kgが検出されたものです。 

[You Tube動画解説]
月1回、埼玉県さいたま市の理科室で小学校&中学校理科実践講座をやっています。2020年1月13日はさいたま市立A中学校第3理科室にて、「放射能からからだを守る」放射能防護の理科の授業に取り組みました。使用したのは①ヤガミ ペルチェ素子霧箱②自作ドライアイス霧箱です。使用した放射線源は、ペルチェ素子霧箱に附属していた天然トリウム鉱物砂礫。および放射能鉱物標本の、燐灰ウラン石、北投石、サマルスキー石。さらに、岐阜県関市の落ち葉とさいたま市落ち葉(2012年5月さいたま市役所前民家の前の道路で採取)です。 この動画は2020年1月13日さいたま市立A中学校第3理科室で19時22分~19時26分にかけて撮影したものです。撮影者は元さいたま市立中学校、理科教員、川根眞也です。

自作ドライアイス霧箱で放射線を見る 応用編(1)さいたま市落ち葉からアルファ線

さいたま市落ち葉 2012年5月採取 5170ベクレル/kg 2012年5月16日 NaIシンチレーション式測定器 AT1320A 15分測定

双葉町の避難指示解除 日程調整 2019年12月20日 10時11分 NHK 福島放送局

原発事故があった町の避難指示解除が、こんな小さな記事になることが信じられない。いかに大新聞が原発事故の健康被害を軽視しているか、が分かる。政府によるメディアコントロールが完成している、というべきか?テレビ新聞の情報を鵜呑みにしていたら、真実は何も分からない。情報は自ら取りに行くしかない。

双葉など3町、一部避難指示解除へ 2019年12月21日毎日新聞 中部本社版 24面 新聞各紙の報道
双葉町の避難指示解除 日程調整 2019年12月20日 福島 NEWS WEB

[記事]
双葉町の避難指示解除 日程調整
2019年12月20日 10時11分 NHK 福島放送局

東京電力福島第一原発が立地する双葉町が、町の北東部などの避難指示を来年3月4日に解除する方向で国や福島県と調整を進めていることが関係者への取材でわかりました。
双葉町は原発事故による避難指示が唯一、全域で続いていて、これが初めての解除となります。

双葉町で避難指示の解除が予定されているのは、町の北東部の「避難指示解除準備区域」と、JR常磐線の双葉駅周辺、これらの地域をつなぐ町道です。
町はこの地域での放射線量が十分下がっているとする専門家による町の検証委員会の報告などを受けて、避難指示の解除について国や県と協議を行っています。
関係者によりますと、解除の日程を来年3月4日にする方向で調整が進められ、今月26日に国と県、町の最終的な協議が行われるということです。
3月14日にはJR常磐線の双葉駅を含む区間で運転再開が検討されているほか、3月上旬には常磐自動車道の常磐双葉インターチェンジが開通する予定だということです。
双葉町は原発事故による避難指示が唯一、全域で続いていて、これが初めての解除となります。
また、今回の解除により、原発事故の1年後から放射線量に応じて県内11の市町村で設定された3つの避難指示区域のうち、帰還困難区域以外の区域はすべてなくなることになります。

[解説]
大新聞がいかに、原発事故の町の避難指示解除を報じたか、まとめました。

1月例会のお知らせ 2020年1月12日(日) 13:30 埼玉県さいたま市 浦和

1月例会のお知らせです。

※ 偶数月に埼玉県さいたま市で開催しています。昨年2019年12月は都合により、本年1月に例会を延期しました。

日 時 1月12日(日) 13:30〜16:30(17:00まで延長の可能性あり)
場 所 浦和コミュニティセンター 南ラウンジBC (浦和パルコ9階)
参加費 会員の方300円
    一般参加の方600円
    高校生以下は無料

<テーマ>

1.『プルトニウム・ファイル』(アイリーン・ウェルサム,翔泳社,2000年)を読む

アメリカには20万人を超える被ばく者がいた  報告:川根 眞也

アイリーン・ウェルサム『プルトニウム・ファイル・上』翔泳社 2000年
アイリーン・ウェルサム『プルトニウム・ファイル・下』翔泳社 2000年
劣化ウラン研究会『放射能兵器 劣化ウラン 核の戦場 ウラン汚染地帯』技術と人間社 2003年

<休憩> 14:50~15:05(予定) 

2.内部被ばくに関する最新情報 報告:川根 眞也

  ・原発立地自治体、双葉町の避難指示解除2020年3月4日か?

   ・日本の食品の放射能汚染の実態 

   ・大阪湾でトリチウム汚染水放出を狙う、大阪維新の会  報告:川根眞也     

3.会員のみなさんからの意見交流会 ※ この部分はツィキャスしません。

※ 懇親会もあります。お時間のある方はどうぞ。

※ 諸事情によりプログラムが変更になる場合があります。 ※ 当日はツイキャス中継もしますので、会場に来れない方は是非、視聴参加ください。 http://twitcasting.tv/naibuhibakushim/show/ こちらでは、生中継の他、過去の動画を見ることも出来ます。 聞き逃した情報などもチェックしてみてください。 それでは、沢山のご参加をお待ちしています。  

【お問い合わせ】entry.naibu@gmail.com 内部被ばくを考える市民研究会事務局

内部被ばくを考える市民研究会

東電福島第一原発のある、双葉町を2020年3月4日に避難指示解除。各紙はどのように報じたか?

東電福島第一原発のある、双葉町を今年2020年3月4日に避難指示解除する、という。読売は2019年12月20日東京本社版には書いたが、大阪、西部、北海道、中部本社版は記事を飛ばした。朝日は東京、名古屋では3段の記事だが大阪、名古屋では1段。毎日新聞は東京、北海道本社版ではカラーの地図付きで記事を書いたが、大阪版は白黒の地図、西部、中部はベタ記事だ。こうして大新聞により原発事故は忘れ去られ、東京オリンピックに突き進む。

写真1 福島民友 2019年12月20日1面 ツィッター八木明々さんより
写真2 東京新聞 2019年12月20日6面
写真3 読売新聞 東京本社版 2019年12月20日30面
読売新聞 大阪本社・西部本社・北海道本社・中部本社版には記事なし
写真4 朝日新聞 東京本社 2019年12月20日35面
写真5 朝日新聞 大阪本社 2019年12月20日29面
写真6 毎日新聞 東京本社 2019年12月21日28面
写真7 毎日新聞 大阪本社 2019年12月21日26面
写真8 毎日新聞 中部本社 2019年12月21日24面

写真1 福島民友 2019年12月20日1面 ツィッター八木明々さんより
写真2 東京新聞 2019年12月20日6面
写真3 読売新聞 東京本社版 2019年12月20日30面
読売新聞 大阪本社・西部本社・北海道本社・中部本社版には記事なし
写真4 朝日新聞 東京本社 2019年12月20日35面
写真5 朝日新聞 大阪本社 2019年12月20日29面
写真6 毎日新聞 東京本社 2019年12月21日28面
写真7 毎日新聞 大阪本社 2019年12月21日26面
写真8 毎日新聞 中部本社 2019年12月21日24面

東京第一原発事故と内部被ばくをめぐって 年間20ミリシーベルトまで福島住民帰還 第9回内部被ばくを考える市民研究会総会議案より (1) 2019年11月23日

東京第一原発事故と内部被ばくをめぐって

第9回総会 内部被ばくを考える市民研究会 2019年11月23日

<はじめに>

 東京電力福島第一原発事故から早8年半。政府、福島県、各自治体は、次々と原発20km圏内の避難指示解除を行い、今年2019年4月10日にはついに、福島第一原発の立地自治体である大熊町の38%の避難指示解除を行いました。

 大熊町の避難指示解除にあたって、「大熊町除染検証委員会」がおざなりに3回開かれましたが、ストロンチウム90とプルトニウム239+240の濃度がたった5箇所だけ公表されただけ。それで「安全」のお墨付きを与えた上で避難指示解除が行われました。しかし、避難指示解除から5ヵ月たった2019年9月1日に帰還した町民は、1万323人のうち84世帯94人だけです。これでどのように生活しろというのでしょうか?町がスラム化していくのが目に見えるようです。

<資料> あの頃のように暮らしたい 大熊町、避難指示の一部解除半年2019年10月7日 朝日新聞 夕刊 6面

 原発から放出されたのは、ヨウ素131、セシウム134,137だけでなく、ガンマ線を出さないためにその存在がすぐには分かりにくいストロンチウム90やプルトニウム239が放出され、大地に森林の木々に付着しています。除染は不可能です。チェルノブイリでは33年たった現在でも原発30km圏内には、住民の居住を認めていないのに、日本政府と福島県と各自治体は、原発の建っている町に住民を帰還させたのです。その帰還の基準は、ガンマ線だけで測った空間線量で、「年間20ミリシーベルト以下になることが確実になること」です。その空間線量率は3.8マイクロシーベルト/時以下、という内容。ここに人間を住まわせるということは、緩慢な殺人です。

<資料>避難指示解除の要件について 原子力災害対策本部 2011年12月26日

<資料>参考2 避難区域等の外の地域の学校等の校舎・校庭等の利用判断に係る暫定的考え方 文部科学省・厚生労働省 2011年4月19日

左資料を読むと、空間線量3.8マイクロシーベルト/時が年間20ミリシーベルトに被ばくに相当する、と政府が判断していることが分かります。

 そもそも政府が基準と定めている、年間20ミリシーベルトは空間線量率からから求めています。この政府の基準は正しいのか?年間20ミリシーベルトは健康を害する被ばく線量ではないのか?という基本的な批判が新聞、マスコミでは行われていません。ただただ、政府は国連科学委員会(UNSCEAR)などと一体となって、国際放射線防護委員会(ICRP)が「計画被ばく状況」「現存被ばく状況」「緊急被ばく状況」と決めた「現存被ばく状況」

<資料>被ばく状況と防護対策 環境省 環境省 放射線による健康影響 に基づいている「考え方」等に関する統一的な基礎資料 2015年10月          

を私たちに強制しています。

環境省は前ページの資料の解説にこう書いています。

国際放射線防護委員会(ICRP)は人の被ばく状況を、計画的に管理できる平常時(計画被ばく状況)、事故や核テロなどの非常事態(緊急時被ばく状況)、事故後の回復や復旧の時期など(現存被ばく状況)の3 つの状況に分けて、防護の基準を定めています。  平常時には、身体的障害を起こす可能性のある被ばくがないようにした上で、将来起こるかもしれないがんのリスクの増加もできるだけ低く抑えるように防護の対策を行うこととされています。そのため、放射線や放射性物質を扱う場所を管理をすることで、一般公衆の線量限度が年間1ミリシーベルト以下になるように定めています。また、放射線を扱う職業人には、5年間に100ミリシーベルトという線量限度が定められています。

 これを放射能による被ばくを拒否する私たちが読み替えるとこうなります。

国際放射線防護委員会(ICRP)は原発事故で放射能汚染されてしまった土地では、年間1ミリシーベルトは到底達成できないので、『現存被ばく状況』として、被ばくすることを市民に受け入れてもらうよう防護基準として年間1~20ミリシーベルトのうちの低い方を提案する。一般公衆の線量限度は年間1ミリシーベルト、職業人は5年間で100ミリシーベルトを線量限度とする。

 この国際放射線防護委員会(ICRP)の「ICRP Publication111 原子力事故または放射線緊急事態後の長期汚染地域に居住する人々の防護に対する委員会勧告の適用」は2008年10月に勧告されましたが、チェルノブイリ原発事故により、人々が年間1ミリシーベルトを超えて被ばくする状況が生まれたため考え出されたもので、事故(1986年4月26日)から実に22年もかけて勧告されたものです。遅すぎる勧告、そして、年間1ミリシーベルトを超える被ばくを強要する勧告である、と言えます。

 まず、この国際放射線防護委員会(ICRP)は、一般人の年間1ミリシーベルトが線量限度、と言いますが、年間1ミリシーベルトが安全な数値であるという証明はできていません。チェルノブイリ原発事故の際の乳児白血病では、ストロンチウム90による被ばくが0.067ミリシーベルトで白血病にかかる乳児が増えた事例があります。

<資料>チェルノブイリ原発事故 イギリス、ドイツ、ギリシャで0.067ミリシーベルトで乳児白血病が増えた 長山淳哉『胎児と乳児の内部被ばく』(緑風出版 2013年7月10日)

 「ミリシーベルト」という単純な概念で、人々の健康被害を語ることはできません。

 また、ロシア科学アカデミー客員で放射線生物学のアレクセイ・ヤブロコフ氏は、セシウム137で1キュリー/km2(3.7万ベクレル/m2,日本の放射線管理区域の4万ベクレル/m2に相当)の地域だけでなく、その10分の1のセシウム137で0.1キュリー/km2(3700ベクレル/m2の地域でも健康被害が出たと語りました。これは土壌に換算すると59.6ベクレル/kgの汚染にしかなりません。2012年12月14日 東京講演。

<参考>【追悼】アレクセイ・ヤブロコフ博士 日本の人々へのメッセージ「皆さんは真実のためにたたかわなくてはならない」 ブログ「風の谷」  再エネは原発体制を補完する新利権構造 2017年1月12日

 アレクセイ・ヤブロコフ氏が書いた『調査報告チェルノブイリ被害の全貌』(岩波書店,2013年4月26日)には、チェルノブイリ原発事故による人間の健康被害について、①総罹患率 ②老化 ③各種疾患 ④腫瘍性疾患 ⑤死亡率 で出典を示しながら研究成果の概略が書かれています。しかし、それはすべて、ミリシーベルトとの関係で書かれてはいません。土地のセシウム137の汚染度との関係で書かれています。土地が「高い」汚染、または「強度に」汚染されている、とはそれぞれセシウム137で18万5000ベクレル/m2以上、55万5000ベクレル/m2超えの汚染を指します。土地の汚染度が人間の外部被ばくの大きさを決め、また、汚染された土地の食べ物を食べることによる内部被ばくの大きさに関係するからです。しかし、国際放射線防護委員会(ICRP)はこの『調査報告チェルノブイリ被害の全貌』に収録されている、ロシア語、ウクライナ語、ベラルーシ語などのスラブ語で書かれた1000冊の文献および5000以上の印刷物およびインターネット上の出版物の1つたりとも採用していません。理由は簡単。彼ら国際放射線防護委員会(ICRP)が主張する、ミリシーベルトと健康被害との関係を記述した研究論文ではないからです。

土地の放射能(セシウム137,ストロンチウム90,プルトニウム239+240など)が、人々の健康を破壊しているのに、国際放射線防護委員会(ICRP)が決めたルールでミリシーベルトを計算し、健康被害とそのミリシーベルトとの関係で研究したものでないと、科学的でない、と学術論文として放射線防護の学会誌だけではなく、科学一般の学術誌からも却下されています。三田茂医師が「『新ヒバクシャ』に『能力減退症』が始まっている」を学術誌に掲載申請しても、リジェクトされています。健康被害とミリシーベルトとの関係についての言及がないからが理由です。

 アレクセイ・ヤブロコフ氏は先の講演で、「ミリシーベルトは測ることができない」とも語っています。例えば目の前に放射線を出す放射線物質があったとして、正面を向いている場合(内臓がよく被ばくする)とからだの側面を向けている場合(肋骨で内臓は守られているが肋骨がよく被ばくする)、背中を向けている場合(背骨と肋骨がよく被ばくし、内臓は守られている)と。内部被ばくについて、体内に入った放射性物質が代謝で排泄されるまでには個人差があり、ストロンチウム89の場合、生物学的半減期は

国際放射線防護委員会(ICRP)は70日間と主張していますが、個人によっては124日間である場合もある、と語っています。生物学的半減期は1000ベクレル体内に入ったとすると500ベクレルに半減するまでの時間ですから、70日間で1000ベクレル→500ベクレルに減少するのと、140日間かけてゆっくりと1000ベクレル→500ベクレルまで減少するのとでは、例えば骨髄に蓄積したストロンチウム89の場合は、骨髄の被ばく量がまったく異なってきます。

 外部被ばくも測れない、内部被ばくは個人差が大きく、どのくらい被ばくしたのか、評価できない、というのが正しいのです。

 しかし、土地の汚染がひどい所ほど症状が重く、また心筋梗塞や脳梗塞など様々な疾患やがん、白血病の発症率が高くなります。

ミリシーベルトは、放射能の出す放射縁の影響をまず、ガンマ線やX線、ベータ線は1倍、アルファ線は20倍、中性子はそのエネルギーによって2.5倍~20倍の範囲と、放射線の種類とエネルギーによって変える係数をかけて「等価線量」を出します。その放射能を「吸入(呼吸で吸い込む)」「経口摂取(食べ物として取り込む)」「経皮摂取(皮膚から吸収される)」ごとに、国際放射線防護委員会(ICRP)が決めた実効線量係数をかけて「預託実効線量」を計算します。

 欧州放射線リスク委員会は、ベータ線の影響を1倍とする係数は低すぎるので、5倍の係数をかける必要があることを主張しています。

 国際放射線防護委員会(ICRP)は1977年勧告でそれまでの「線量当量」という概念から、この「等価線量」や「実効線量」という概念を導入しています。しかし、この時に原発労働者の内部被ばくおよび白血病の発症で問題となる、ストロンチウム90の影響を著しく低く評価する係数に変えました。

<資料>中川保雄「<増補>放射線被曝の歴史ーアメリカ原爆開発から福島原発事故までー」明石書店,2011年

 ミリシーベルトは科学の上に成り立っている概念ではなく、国際放射線防護委員会(ICRP)によって核兵器開発と原発推進派のいいように数字をいじくられている政治的な産物です。

 年間20ミリシーベルトは健康に影響はない、という政府、福島県、各自治体の説明を批判的に検討するためには、そもそも、ミリシーベルトとはどんな概念なのか?私たちの放射能防護に役立っている理論なのか、を検討する必要はあります。 

放射線障害評価のための線量推定 -医療被曝と職業被曝を中心に- 丸山隆司 日本放射線物理学会 1978年

放射線障害評価のための線量推定 -医療被曝と職業被曝を中心に- 丸山隆司 日本保健物理学会 1978年

[解説]

 日本では、国際放射線防護委員会(ICRP)の「100ミリシーベルトの被ばくまで安全」論が流布しています。果たして100ミリシーベルトまで安全は本当でしょうか?

 放射線被曝の歴史を調べていて、貴重な資料に出会いました。1978年の資料です。国際放射線防護委員会(ICRP)が1977年勧告を出す頃。まだ、 国際放射線防護委員会(ICRP) の「実効線量当量」が日本保健物理学会を支配する以前の資料だと思われます。

 はっきりと放射線が白血病を引き起こすものであることが書かれています。

 医療放射線被ばくが危険であり、放射線科医の寿命を縮めていることが書かれています。

 是非、 国際放射線防護委員会(ICRP) が1999年に委員会採択した「妊娠と医療放射線」(ICRP Publication 84)と読み比べて下さい。驚くほど、放射線に対する危機認識が違う、と感じられることでしょう。

<資料> ICRP Publication 84 妊娠と医療放射線 1999年11月

 国際放射線防護委員会(ICRP)は何度とも変質をとげていますが、1977年の変質は決定的だったようです。中川保雄氏は著書『放射線被曝の歴史』(明石書店,1991年)の中でこう書いています。

「 国際放射線防護委員会(ICRP)は 以上のような作業を進めながら、1965年勧告の全面改訂に着手することを1974年に決定した。その際、ICRPは、つぎのことを申し合わせた。許容線量という概念を放棄して『線量当量』を使用すること、最も敏感な臓器への線量で被曝を制限しようとする『決定臓器』という従来の概念を放棄すること、3カ月3レム(=30ミリシーベルト:編集者)の制限量および5レム( =50ミリシーベルト :編集者 )×(年齢-18歳)の年齢公式を放棄して全身 5レム( =50ミリシーベルト :編集者 ) とすること、公衆の被曝に関してはALALA原則(合理的に達成できる限り低く=お金がかからない程度の被曝管理、という意味 :編集者 )を基礎にして大幅に改訂することー新勧告をこのような線でまとめることを確認したうえで、検討に入った。」(同書増補版,明石書店,pp.152~153)

「許容線量に代えて実効線量当量という新しい概念が導入された。これは新しい科学的モデルを導入して、人間への計算上の被曝線量を設定するもので、『科学的操作』が複雑に行われるだけ実際の被曝量との差が入り込みやすい。それだけごまかしやすいのである。たとえば、原発の建屋内等の空気中を漂う放射能の濃度基準は、実効線量当量であれば従来よりも大幅に緩和される。」

「マンガン54の場合、1000ベクレル吸入すると被曝量は従来なら1.95ミリレム( =19.5ミリシーベルト )とされていたが、実効線量当量ではわずか ら0.147ミリレム( =1.47ミリシーベルト )とされ、じつに13倍も過小に評価されることになった。

「ストロンチウム90の場合、1000ベクレル体内にとり入れたときの被曝量は、それまでなら44.4 ミリレム( =444ミリシーベルト )とされていたのが、実効線量当量ではたった 0.147ミリレム( =1.47ミリシーベルト )となり、これまた11.5倍も緩和された。

(同書増補版,明石書店,pp.156~157) 」

 この悪質な変質をとげた国際放射線防護委員会(ICRP)1977年勧告の支配を受けていない、最後の日本保健物理学会の報告から、「体外被曝」および「体内被曝」を全文引用します。かつてはこういう、放射線管理者も日本にいたのです。なお、読み手の便宜を考え、編集者が英語表記の人名等についてカタカナを加え、旧単位系の表記を一部ミリシーベルト等の注釈を付けました。

[論文より全文引用]

放射線障害評価のための線量推定 -医療被曝と職業被曝を中心に- 丸山隆司 日本保健物理学会 1978年 11月 保健物理 1978年 第13号 pp.259~277

[体外被曝]

 1896年1月4日, レントゲン(ROENTGEN)によるX線の発見が報道され, 同じ年の11月にはベクレル(BECQUEREL)によるウランからの放射能の発見が報告された。人類が電離放射線の 線源としてX線やウランの利用を開始したのはこの頃からである。
 その後, 20世紀の前半にかけて, もつと高エネルギーのX線を得るために加速器の開発が進められ, 1920年代 末には200kV程度のX線による深部の癌治療が行なわれた。1930年代は加速器ブームで, ファン・デ・グラーフ(Van de GRAAFF)やコッククロフトとウォルトン(COCKCROFTとWALTON)により, MV級の加速器が開発されると共に, サイクロトロン, 直線加速器, ベータトロソなど種々の加速器が出現した。この間に中性子や中間子など新粒子が発見され, 人類はX線やラジウム以外の放射線からも被曝を経験することになつた。
 そして戦後には, 原子炉や人工放射性物質の利用が可能となり, 現在では原子力, 医学のみならず考古学などでも放射線 が利用されており, その利用は食品照射や空港の手荷物 検査など多様化している。現代社会において, 我々は放射線から数えきれないほど沢山の利益を受けている。その反面, 人類は放射線から数々の障害を受けることがこれまでの経験によつてわかつている。
 X線の発見とほぼ同時に, X線の医学利用が行なわれたが, X線を受けた人にかなり重篤な皮膚障害がみとめられた。第1表にX線の体外被曝による当初の障害例を示したが, 透過力の弱いX線であつたため, 幸い皮膚障害ですんだ。X線の発見後1カ月を経て, すでに線治療が行なわれた事実がある。X線の人体への影響について何らかの根拠があったわけではなく, 淡い期待を治療に寄せていたためであろう。1904年にベルゴニー(BERGONIE)とトリボンドー(TRIBONDEAU)がラットの睾丸にX線を照射し, 組織学的変化を研究している。その結果, ベルゴニ・トリボンドーの法則として知られている『未熟な細胞や分裂の盛んな細胞は, 形態学的, 生理学的に成熟した細胞に比べて放射線感受性が高い』という法則を確立した。この頃になつて, X線の生物効果が研究され, 1903年にハイネケ(HEINEKE)がX線照射によリマウスに白血病を発生させることに成功した。1911年にヘッセ(HESSE)はX線被曝者に誘発された93例の腫瘍を調べたが, そのうち50例は放射線科医であっつた
 放射線被曝による悪性腫瘍の発生は, 被曝後長い年月の潜伏期をもつことがわかってきた。皮膚癌のような障害は, 被曝開始後10~30年を経過しても徴候を表わさなかった。しかし, ある場合には, 透視診断で手の被曝を中断させてから25年後に悪性の皮膚障害が発生している。1922年にルドーールボー(LEDOUX-LEBARD)は100人以上の放射線科医が, 職業上の被曝による癌が原因で死亡していると推定した。多くの放射線科医は放射線による白血病であった。その後, マーチ(MARCH)は1949年以前の20年間に,放射線科医の白血病死は内科医に比べて9倍も高い頻度で起こることを報告した。
 放射線による寿命の短縮についても調査が行なわれている。セルツァー(SELTZER)によれば, 北米放射線学会員の平均死亡年齢は, 1935~44年では71.4歳, 1945年~1954年で72.0歳および1955年~58年で73.5歳であつた。一方, 放射線とはあまり縁のない眼科・耳鼻科学会員では, それぞれ76.2, 76.0および76.4歳であつた。放射線科医は4.8歳から2.9歳だけ寿命が延長した。寿命延長の減少は各自が放射線被曝の低減に努力した結果と思われる。


  北米放射線学会員の平均死亡率 眼科・耳鼻科学会員の平均死亡率 差

1935~44年  71.4歳  76.2歳  4.8歳
1945~54年  72.0歳  76.0歳  4.0歳
1955~58年  73.5歳  76.4歳  2.9歳 

[体内被曝]

 サクソニーのシュネバーグ(Schneeberg)コバルト鉱山やボヘミアのジョキミストル(Joachimstahl)の瀝青(れきせい)ウラン鉱山で, 鉱夫の間に奇妙な肺疾患が多発していることは1500年代に知られていた。1879年に,ハートリング( HERTING)とヘッセ(HESSE)は, この肺疾患が肺の悪性腫瘍であると指摘した。1911年にアーンスタイン(ARNSTEIN)は, これが肺癌であることを確認した。鉱夫の肺癌による死亡率は, 正常人の約30倍であつた。肺癌の原因が鉱山の空気中のラドンと関連があることは, 1924年にルドウィッグ(LUDEWIG)が明らかにしている。
 第一次世界大戦から1930年にかけて, ラジウムによる被曝が続いた。大部分は治療のためラジウム投与, ラジウムおよび放射性トリウムの飲用, さらに化学者の職業上の被曝であつた。この時期には, ラジウムは治療に有効と考えられており, 米国でも数100人の患者に投与された。ラジウムによる体内被曝で有名なのはダイヤルペインタの被曝である。ラジウムからのα線で硫化亜鉛などの蛍光体を刺激したとき発光を起す現象が,クルックス(CROOKES)らによつて1903年に発見された。1908年ごろから, この現象を利用して時計の文字板を作る作業が工業化され, 米国ではかなりの工場に多くの女性がラジウムペインタとして勤務していた。しかし, その大部分の女性は比較的短期間しか勤めなかつた。1925年にマートランド(MARTLAND)はそのような女性の死亡例を報告している。
 1917年に35歳でダイヤルペインタとして作業を始めた女性が白血球減少症を伴つた放射線による貧血で死亡する2, 3ヵ月前まで, その作業を続けていたという。
 ダイヤルペインタがラジウムを体内に取り込む直接の原因は, 文字板に夜光塗料をぬるのに小さな筆を用い, 筆先をそろえるのに唇でしめしていたためと考えられる。米国では50例を越えるダイヤルペイ ン タの死が記録されているが, 初期の死は, 再生不良性貧血, 副鼻腔の腫瘍そして顎骨や他の骨組織の骨髄炎が原因であり, 後期の死は骨肉腫が原因であつた。いずれの場合にも 226(226Ra) の 身体負荷量ははつきりしていない。エバンス(EVANS)らは死亡時のラジウム226(226Ra)の負荷量が4810ベクレル(0.13μCi)であつた女性のダイヤルペインタの死亡例を報告している。この婦人は16歳のときに時計会社に勤めはじめ, 1924年から1930年まで勤続したが, 1955年に骨肉腫で死亡した。1926年に,彼女の歯の中のラジウム 228/ラジウム226(228Ra/226Ra) の比は2.5と推定されたが, このことは全線量の80%が ラジウム226(226Ra) によつて与えられたことを意味する。死亡時の ラジウム226(226Ra) 負荷量は 4,810 ベクレル( 0.13μCi)であつた。初期の職業上の被曝における骨の負荷量は1回摂取で第一日目で約 555万 ベクレル( 150μCi)であつたと結論した。 ラジウム226(226Ra) の身体負荷量についての最大許容量はこのようなデータから決められたものである。
 人類の体内被曝として重要なのはトロトラストを注射 された患者のグループである。トロトラストは20%(重量比)のコロイド状二酸化トリウムとほぼ等量のデキストラン(保護コロイド)およびメチル-p-ヒドロキシ安息香酸0.15%(防腐剤)からなる造影剤である。これは1928年から1945年まで, すぐれた造影剤として, 肝,脾, 脳血管などのX線撮影に用いられていた。通常, 静脈注射により3~159のトリウム232(232Th,ラジウム226の14,800~74,000ベクレルに相当)を患者に投与していたが, 多くの人々には, 投与後10~25年に骨の一部に密度の大きい部分が生じたり, 17~23年に肝の腫瘍が発生したり, 中には6~35年に静注部位に悪性腫瘍が生じたことが報告されている。特に注目されるのは, 投与後3~23年で, 肝癌を誘発していることである。日本でも癌研の森らによる調査で約150名のトロトラスト注射を発見している。現在, トロトラストは利用されていないが, トロトラスト患者は何人か生存しているであろう。
 ところで, X線が主として医療の目的に利用されるにつれて, 前述のごとく数々の放射線障害が発生した。これに伴い, X線を主体とした放射線を有効かつ無害に利用するため放射線防護の必要性が認識された。しかし,当時は放射線の生物効果はもちろん, 線量といつた量的観念さえなかつた。  1902年にロリンズ(ROLLINS)は, 当時の写真乾板に7分間照射しても黒化しない程度のX線量を無害とした。これは現在の10~20R/dayに相当するという。
 R単位での線量は, 1928年の第2回国際放射線医学会議で国際単位として採用された。なお, ICRU(国際放射線単位・測定委員会)は1925年に設立され, ICRP(国際放射線防護委員会)の前身であるIXRPC(国際X線・ラジウム防護委員会)は1928年に誕生した。英, 米, 仏では1915年から22年にかけて, 各国防護委員会が設立されていた。
 1934年にIXRPCは1.8ミリシーベルト/日(0.2R/day)を耐容線量として採択した。1950年にIXRPCはICRP(国際放射線防護委員会)と改められた。このとき勧告を出し, (1)取り扱う放射線をすべての電離放射線にまで拡大し, (2)耐容線量の代わりに最大許容線量で表わすこととし, 2.6ミリシーベルト/週( 0.3R/weekと定めた。第2表に, 最大許容線量の変遷を示す。
  1958年に「集団に対する遺伝線量」の制限を勧告した。
 定義によれば, 遺伝線量とは,「その集団の各人が受胎から子供をもつ年齢(ここでは30歳とする)までにこの線量を受けたと仮定したとき, 各個人が受けた実際の線量によつて生ずるのと同じ遺伝的負荷を全集団に生ずる線量」である。
 その後, ICRPは種々の勧告を出しているが, 最新の 勧告は1977年のPublication26である。これについては専門家の解説17)に委ねる。

欧州放射線リスク委員会(ECRR) の基準についても十分検証し、これを施策に活かすことー原子力規制委員会設置法案付帯決議 2012年6月20日

[初回掲載日 2019年10月24日]
[解説]

 復興庁、環境省、文部科学省など政府機関が依拠している放射線防護理論は、国際放射線防護委員会(ICRP)や国連科学委員会(UNSCEAR)の放射線防護理論です。「国際的な学術団体」や「科学者」の集まりかのような装いの団体ですが、発足当初からアメリカの核兵器開発の責任者らが主導で作った団体です。

一方、独立した科学者で構成される欧州放射線リスク委員会(ECRR)は、この国際放射線防護委員会(ICRP)の放射性物質の内部被ばくについて、以下の批判をしています。

(1) 国際放射線防護委員会(ICRP)は、外部被ばくと部被ばくの健康被害を、同じベクレル数であるならば、1:1であるとしている。しかし、同じ種類の放射性物質が同じベクレル数ある場合、体外にあり放射線をからだが受ける場合(外部被ばく)と、体内の各臓器に蓄積する場合(内部被ばく)とでは、内部被ばくの方が決定的に大きくなる。

(2) 国際放射線防護委員会(ICRP)は、チェルノブイリ原発事故やイギリス、フランスの核燃料再処理工場周辺の小児白血病や小児がんの発症を正しく説明できていない。実際に発生している患者数からリスクを評価すると、国際放射線防護委員会(ICRP)のリスク評価は200倍~1000倍誤っている。

(3)国際放射線防護委員会(ICRP)は、トリチウム(3H)が、DNAの水素結合をしている水素と元素転換(トリチウムが分子と結合している水素に近づくと、トリチウムと水素とが入れ替わること)してベータ線を出して崩壊、DNAに壊滅的な影響を当たることを考慮していない。プルトニウム、ストロンチウム90もDNAと結びつきやすい。DNAに対して同様な壊滅的な影響を与える。

(4)国際放射線防護委員会(ICRP)は、1回のベータ崩壊でできた娘核種が2回目またベータ崩壊する、セカンド・イベントと呼ばれる内部被ばくを考慮していない。

 ストロンチウム90  → イットリウム90      →ジルコニウム90

 (半減期28.8年) β (半減期64.1時間) β

 テルル132     → ヨウ素132       →キセノン132

 (半減期78.2時間)β(半減期2.30時間)  β

最初のストロンチウム90やテルル132の出したベータ線でDNAが傷つき、そのDNAが誘導修復過程にあるときに、次のイットリウム90やヨウ素132がベータ線を出して、DNAの修復を更に難しくする。

国際放射線防護委員会(ICRP)はそのセカンド・イベントをリスク評価にまったく入れていない。ストロンチウム90だけ、テルル132だけの単独のリスク評価のみである。

(5)ウランなど原子番号の高い金属が体内にあると、外部からガンマ線が当たるとウランがそのガンマ線を吸収し、体内のウランはまたオージェ電子という電子を放出する。この電子線がDNAを連続的に傷つけることになる。国際放射線防護委員会(ICRP)はこのファントム放射能を考慮していない。

(6)放射線によって、DNAが傷つきがん細胞ができる、というだけではなく、ゲノム不安定性と呼ばれる、突然変異を起こしやすい細胞ができる。放射線を受けた細胞だけではなく、その細胞の周辺の別の細胞もゲノム不安定性を起こす。これは細胞と細胞同士が相互に信号をやり取りしていることによっておこる。国際放射線防護委員会(ICRP)はバイスタンダー効果を考慮していない。

(7)劣化ウラン弾によって作られた、極めて小さい粒子サイズの高放射能微粒子が肺を通して、あるいは鼻から直接中脳に、また、皮膚を通しても体内に取り込まれる。さまざまなガンや中枢神経系の傷害をもたらすにもかかわらず、劣化ウラン弾の影響は、その体内での濃度から健康影響を評価しようとする国際放射線防護委員会(ICRP)の理論は誤っている。国際放射線防護委員会(ICRP)は劣化ウラン弾の健康影響を否定している。

 など他にも多くの問題を国際放射線防護委員会(ICRP)は無視していると欧州放射線リスク委員会(ECRR)は指摘しています。

<参考>放射線被ばくによる健康影響とリスク評価 ECRR2010年勧告 山内知也監訳 明石書店 2011年

 この欧州放射線リスク委員会(ECRR)の放射線防護理論については、2012年原子力規制委員会が設置される時に、付帯決議として以下が議決されていました。

「十四、放射線の健康影響に関する国際基準については、I C R P ( 国際放射線防護委員会) に加え、E C RR ( 欧州放射線リスク委員会) の基準についても十分検証し、これを施策に活かすこと。また、これらの知見を活かして、住民参加のリスクコミュニケーション等の取組を検討すること。」

 この付帯決議を生かし、文部科学省の作った「放射線の副読本」、復興庁の作った「放射線のホント」を根本的に見直すべきです。

原子力規制委員会設置法案に対する附帯決議 2012年6月20日

原子力規制委員会設置法案に対する附帯決議
平成二十四年六月二十日
参議院環境委員会

 東京電力福島第一原子力発電所事故により失墜した原子力安全行政に対する信頼を取り戻すためには、政府一丸となって原子力利用の安全確保に取り組む必要がある。よって、政府は、原子力安全規制組織を独立行政委員会とする本法の趣旨を十分に尊重し、その施行に当たり、次の事項について、万全を期すべきである。

一、政府は、原子力規制委員会を円滑に発足させ、放射線による有害な影響から人と環境を守る原子力規制行政を一日も早く国際的な水準まで向上させるよう、速やかに委員長、委員の人事の人選、国会手続きを進め、その見識を反映した組織構成を整備するとともに、十分な資源を確保するよう、特段の配慮を行うこと。
二、原子力規制委員会の委員長及び委員の任命に当たっては、一の分野に偏ることなく、専門性、経験等を十分踏まえ、原子力の安全規制を担うのにふさわしい者の人選を行うとともに、国会の同意を得るに当たっては、国会に対して、人選の理由を十分に説明すること。この際、国会における審査に資するよう、原子力事業者等からの寄附等に関し、その所属する研究室に対するものも含め、直近三年間の情報を人事案と併せて提出すること。
三、原子力規制委員会の委員長及び委員は、原子力事故に際し、原子力施設の安全の確保のために行うべき判断等の職責を十全に全うできるよう、その専門的知識及び経験を活かし得るための訓練を計画的に実行すること。また、法第七条第三項の適用を可能な限り避けるため、原子力規制委員会の委員長は、法第六条第三項に基づき、その職務を代理する委員四名を順位を付けてあらかじめ指名しておくこと。
四、原子力規制委員会は、その業務の基本方針及び業務計画を策定した上で毎年その評価を実施し、特に職員の専門能力の育成や訓練等の業務におけるP D C A サイクルの採用の試みなどその着実な実行の担保に取り組むとともに、これら及びその業務報告を国会の監視を受けるべく国会に報告をした上で、そのすべてを公表すること。また、これらの国会への報告に際しては、その監視の役割に資するよう、原子力規制委員会が防災対策に係る知見の提供も行うこと等にも鑑み、原子力防災会議の議長たる内閣総理大臣の意見を付すること。
五、原子力規制委員会は、原子力を推進する組織はもとより、独立性、中立性を確保するため、関係事業者等の外部関係者との接触等のルールを作り透明化を図ること。また、原子力規制委員会は、中立性、独立性、公開性、不断の説明責任の全うの確保、利益相反の防止等、その適正な運営並びに国民の信頼を得るために必要な課題について、規約、綱領、規律に関する事項等を速やかに定め、これを公表すること。
六、全職員へのノーリターンルールの適用に当たっては、職員の意欲、適性等が損なわれないよう適切に運用するとともに、人材の確保・育成につなげることができるよう配慮すること。

七、原子力規制委員会が原子力安全規制に関する判断に一義的な責務を有することから、原子力規制委員会に置かれる原子炉安全専門審査会及び核燃料安全専門審査会は、会議や議事録の公開を含む透明性を確保した会議運営の下、原子力規制委員会の判断を代替することなく、その判断に対する客観的な助言を行うに留めるものとすること。
八、原子力規制委員会は、核セキュリティ及び核不拡散の保障措置等の秘密保全と同時に、情報の最大限の公開性を確保するため、文書等情報の保全・管理体制を厳正に確立するとともに、機密にすべき事項及び公開できない事項に関するガイドラインを策定し、公表すること。また、原子力規制委員会は、情報公開法に基づく情報開示請求があった場合には、当該ガイドラインに従い、非開示にする部分を極力最小限にするなど、一般の行政機関以上に特に配慮すること。
九、原子力規制委員会は、安全神話から脱却し、常に安全性の向上を求める安全文化、少数意見や異論を重んじ、活発な議論が奨励される組織文化を確保しつつその業務の適正を確保するため、所掌事務に関する評価機関の設置を始めとする必要な措置を講ずること。
十、緊急時の原子力規制委員会と原子力災害対策本部の役割分担や連携については、縦割りの弊害が新たに生じないよう、国民の生命・健康の保護及び環境の保全を第一に、十分に検討すること。また、平時からの防災対策の強化が重要であることから、原子力規制委員会と原子力防災会議は、それぞれの明確な役割分担の下、平時から緊密な連携関係を構築し、防災体制の一体化を図ること。
十一、政府は、本法第一条及び本法改正に伴う改正原子力基本法第二条において、原子力の安全の確保の目的の一つに我が国の安全保障に資することが規定されている趣旨について、本法改正により原子力規制委員会が原子力安全規制、核セキュリティ及び核不拡散の保障措置の業務を一元的に担うという観点から加えられたものであり、我が国の非核三原則はもとより核不拡散についての原則を覆すものではないということを、国民に対して丁寧に説明するよう努めること。
十二、原子力規制委員会は、原子力の安全をめぐる問題に関する国民の理解の重要性に鑑み、これまでの用語が難解で国民に分かりにくかったことを踏まえ、用語改革を行うこと。
十三、政府は、東京電力福島原子力発電所の事故サイトの管理・運営に関し、国民及び環境を守る立場から、作業員の厳正な被ばくの一元的な管理を含め、十分な規制、監督を行うこと。
十四、放射線の健康影響に関する国際基準については、I C R P ( 国際放射線防護委員会) に加え、E C RR ( 欧州放射線リスク委員会) の基準についても十分検証し、これを施策に活かすこと。また、これらの知見を活かして、住民参加のリスクコミュニケーション等の取組を検討すること。
十五、核不拡散の保障措置、放射線防護に関する事務、モニタリングの実施機能を文部科学省から原子力規制委員会に移管し、一元化することに伴い、原子力規制委員会は、これらを担当する在外公館等への職員派遣等を行い、業務の効果的な実施を担保すること。
十六、原子力規制委員会は、原子力安全規制の課題に対する調査研究体制を立ち上げ、過去の地震・津波等の検証を含めた常に最新の知見を集約できるようその運用体制を構築し、その結果を安全規制に反映すること。また、原子力規制委員会は、原子力の安全の確保のうちその実施に関するものに責務を有する組織とされたことに鑑み、核燃料再処理の問題も含めた原子力利用全体の安全性についても担うこと。
十七、原子力規制委員会が原子力事故調査を行う場合には、過去の原子力行政において事故やトラブルが隠蔽されてきたことへの反省に立ち、全ての情報を速やかに公開することを旨とすること。また、原子炉等規制法に基づく従業者申告制度の見直しを行い、より実効的なものとすること。
十八、原子力発電所の再起動については、「事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならない」との目的に照らし、万が一の重大事故発生時への対応策も含め、ストレステストや四大臣会合による安全性の判断基準などの妥当性に関して、原子力規制委員会において十分に検証した上で、その手続を進めること。
十九、防災対策を確実に実施するため、実施機関及び支援機関の役割、責任について、法令、防災基本計画、地域防災計画、各種マニュアル等において明確にするとともに、これに必要な人員を十分確保すること。
また、これらについて、その妥当性、実効可能性を確認する仕組みを検討すること。併せて、地域防災計画策定において安定ヨウ素剤の配付等を含めた住民等のニーズに対応した仕組みを検討すること。
二十、原子力発電所事故による周辺環境への影響の度合いや影響を与える時間は、異常事態の態様、施設の特性、気象条件等により異なることから、原子力発電所ごとに防災対策重点地域を詳細に検討し、地方公共団体と連携をして地域防災計画等の策定に活かすこと。
二十一、原子力事業者が行う防災訓練は、原子力事故の際に柔軟な危機対応能力を発揮して対処することの重要性に鑑み、抜き打ち訓練、想定外も盛り込んだブラインド訓練を含め、重大事故の発生を含めた厳しい条件を設定して行い、その実効性を確保すること。
二十二、シビアアクシデント対策やバックフィット制度の導入に当たっては、推進側の意向に左右されず、政府が明言する世界最高水準の規制の導入を図ること。また、発電用原子炉の運転期間四十年の制限制度については、既設炉の半数近くが運転年数三十年を経過していることから、既存の高経年化対策等との整合性を図るとともに、今後増加が見込まれる廃炉について、その原子炉施設や核燃料物質などの処分の在り方に関し、国としての対策を早急に取りまとめること。
二十三、本法附則に基づく改正原子炉等規制法の見直しにおいては、速やかに検討を行い、原子力安全規制の実効性を高めるため、最新の科学的・技術的知見を基本に、国際的な基準・動向との整合性を図った規制体系とすること。特に、審査・検査制度については、諸外国の例を参考に、これが形骸化することがないよう、原子力規制委員会が厳格かつ実効的な確認を行うとともに、事業者が常に施設の改善を行わなければならないような規制体系を構築すること。
二十四、政府は、東日本大震災により甚大な被害が生じたことを踏まえ、原子力災害を含む大規模災害へのより機動的かつ効果的な対処が可能となるよう、大規模災害への対処に当たる政府の組織の在り方について、米国のF E M A ( 連邦緊急事態管理庁) なども参考に抜本的な見直しを行い、その結果に基づき必要な措置を講ずるものとすること。
二十五、原子力規制委員会の予算については、独立性確保の観点から、諸外国の例などを参考に、独自の財源の確保の在り方を検討すること。
二十六、従来からの地方公共団体と事業者との間の原子力安全協定を踏まえ、また、原子力の安全規制及び災害対策における地方公共団体の役割の重要性に鑑み、本法施行後一年以内に地方公共団体と国、事業者との緊密な連携協力体制を整備するとともに、本法施行後三年以内に諸外国の例を参考に望ましい法体系の在り方を含め検討し、必要な措置を講ずること。
二十七、国会に置かれた東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の報告書については、原子力安全規制組織にとどまらず、原子力の安全規制及び災害対策に関しても十分に検討し、本法施行後三年にかかわらず、速やかに必要な措置を講ずること。
二十八、政府は、東京電力福島第一原子力発電所の事故の反省を深く心に刻み、毎年三月十一日に、全国の原子力発電所の安全性の総点検、原子力防災体制の確認、政府の原子力規制に関する取組の公表等を行い、二度と重大事故を起こすことのないよう、自らの取組を見直す機会とすること。

右決議する。

福島、宮城を始め東日本のすべての子ども、若者たちの甲状腺エコー検査を!宮城県丸森町で小児甲状腺がんすでに4人。2019年5月23日 河北新報

河北新報の記事。宮城県丸森町での小児甲状腺がんは今回3回目の検査で1人。検査したのが1270人。10万人当たりの発症率は78人となる。これをスクリーニング効果と呼ぶやからが、もしいるなら、丸森町は3年置きに検査していることを考えてから言え、と言いたい。

この1人が2017年、2018年、2019年に発症したのなら、3年間で1270人に1人の発症だから、年間、10万人当たり26人の小児甲状腺がん発症率、になる。

福島県は「節目検査」と称し、20歳以降は5年置きの検査にした。また、スクリーニング効果で甲状腺がんが見つかっているだけであり、手術しなくても悪さをしないがんを見つけて若者を苦しめている、検査など利益と不利益がある、とキャンペーンをはり、20代以降の検診率を引き下げている。しかし、現在、甲状腺がんが見つかっている世代は、原発事故当時中学3年生だった世代。今、14歳+9年=23歳。この世代は東京パラリンピック、オリンピックが終わった後の2021年まで検査を受けない。つまり、福島県で小児甲状腺がんが異常に多発し、原発事故の放射能との関連が明確になるのは、オリンピック以降になる、という仕掛け。

許せない。

福島県、宮城県だけの問題ではない。東日本全域で甲状腺がんが増えている。せめて、原発事故当時0~18歳の子どもたち、現在27歳までは全員を対象にした、甲状腺エコー検査を実施してほしい。菊池誠とか、大石雅寿の言うような、穏やかな甲状腺がんではない。原発事故由来の小児甲状腺がんは違う。悪性で転移が早く、肺に転移して肺がんを引き起こした場合は、血を吐いて死ぬこともある。

<参考>
「大石雅寿氏の「福島安全論」神話。おしどりマコ氏、大石雅寿氏論座記事を名誉毀損と指摘。」
http://www.radiationexposuresociety.com/archives/11050

菊池誠批判

「「福島の子どもたちの甲状腺は原発の放射線が原因ではない」とする朝日新聞、論座の記事2つ。」
http://www.radiationexposuresociety.com/archives/11020

東日本の子ども、若者の全員の甲状腺エコー検査を実施すべきだ。

宮城県丸森町 甲状腺検査
原発事故当時0~18歳

第1回目(2012年3月~2013年1月)対象者 2323人
受診者 1982人
小児甲状腺がん患者 0人

第2回目(2015年3月~2016年1月)対象者 2321人
受診者 1564人
小児甲状腺がん患者 2人(がん1人・がん疑い1人)

第3回目(2018年3月~2019年1月)対象者 2323人
受診者 1270人
小児甲状腺がん患者 1人

あと1人は?不明。

小児甲状腺がんが、原発の放射能の影響か、影響じゃないか、議論している場合じゃない。子どもを救え。

[記事]
甲状腺検査で1人がん診断 丸森町が3回目の結果公表
2019年5月23日 木曜日 河北新報 

宮城県丸森町は2019年5月22日までに、東京電力福島第1原発事故当時18歳以下だった町民らを対象とした3回目の甲状腺検査の結果を公表した。1人が甲状腺がんと診断された。町の検査では4人目。
 2018年6月から2019年3月まで、対象者の55%に当たる1270人が受診した。要精密検査が6人、経過観察は106人だった。がんの発症が放射線の影響かどうかは判断していない。
 検査は町民の不安解消を目的に、町が独自に実施。2012年3月に1回目を開始した。事故当時18歳以下の町民のほか、事故直後の転入者や出生者も対象に含め、3年ごとに行っていた。4回目以降は今後検討するという。

内部被ばくを考える市民研究会 例会  2026年2月22日(日)13:30~16:30 三田茂医師を迎えて ツィキャスのみ配信(無料で視聴できます)  夜 質問コーナー(会員および三田医院受診者限定) Zoomのみ(事前申し込みの方)

1)三田茂講演「2011年フクシマ原発事故による放射能汚染 東京から避難移住した一開業医が東日本、首都圏、さらに岡山の健康被害を考える 第5報
―2022年11月5日 岡山市医師会医学会発表講演を中心にー」
新ヒバクシャの「能力減退症」、新型コロナのワクチン接種による副反応、の諸症状とその治療実績についても話していただく予定です。
日時 2026年2月22日(日) 13:30~16:30
ツイキャス http://twitcasting.tv/naibuhibakushim/show/
会員および事前申し込みの方はZoomでも参加できます。

(2)三田茂先生への質問会
日時 2026年2月22日(日) 20:00~22:00
Zoomのみ 事前申し込みのあった方のみ。会員以外の方は氏名、住所等の申し込みが必要です。三田医院を受診された方、および、内部被ばくを考える市民研究会会員のみが実名で参加できます。

(3)会員の方、および事前申し込みの方はZoomでも参加できます。視聴、Zoom参加される方は参加費1000円を、事前に以下郵便口座に振り込みよろしくお願いいたします。内部被ばくを考える市民研究会会員の方も、参加費1000円を、事前に以下郵便口座に振り込みよろしくお願いいたします。

※ 事前申し込み(カンパもよろしくお願いします)
  内部被ばくを考える市民研究会事務局
  E-mail entry.naibu@gmail.com まで

(1)お名前
(2)メールアドレス
(3)住所
(4)お電話番号
(5)三田先生への質問
をお書きの上、お申し込み下さい。

振込先:内部被ばくを考える市民研究会
ゆうちょ銀行からの場合
ゆうちょ銀行 記号 10370 番号73181351

ゆうちょ銀行以外の金融機関からの場合
ゆうちょ銀行 店名 〇三八(読み方 ゼロサンハチ) 普)7318135

※上記口座にてカンパ金も受け付けています。
 カンパ金をお振込いただく際は、メールにてお名前・振込日・振込金額をお知らせください。

(4)三田医院ホームページより
被曝対応
http://mitaiin.com/?page_id=10

2011年3.11の福島原子力発電所事故による、首都圏、東日本住民の被曝への懸念に対応します
甲状腺超音波検査、血液検査などを行います
一般診療時間外(午後)に予約制で行います
予約を電話で受け付けています 

★ 下記 下垂体機能、副腎機能検査(採血)は早朝空腹安静時の特殊採血が必要です
午後の検査では行なえませんので 希望の方は電話予約時にその旨お伝え下さい
8時30分 から 13時 にお電話ください   
☎ 086-272-7770
              
検査結果は検査日の翌々日(診療日)以降に説明します
    
年末年始・春夏休み・ゴールデンウイークは
遠方の方々が来やすいよう考えて検査センターとも調整して検査をしていますが
早めに予約して直前にキャンセルする人が増えています
そのために予約できずに諦める人がいることを忘れないでください
突然の発病、発熱は仕方ありませんが、最低1週間以上前には連絡をお願いします

* 小児、児童 と 異常や症状のない大人は 保険の適応がない場合があります
* 乳幼児は白血球の異常がみられることがしばしばあります
* 白血球の異常は大人にも見られるようになってきました(2017年9月記)
* 30から50歳(お父さん、お母さん)には甲状腺エコーの異常が増えています
福島県では小児ではなく青年の甲状腺癌が多発しています
チエルノブイリでは子どもの甲状腺癌よりも大人のほうが多かったのです
超音波検査のみも可能です(6,000)
一度も検査を受けていない方はぜひいちどは受けてください
* 高齢者も具合の悪い人が徐々に出てきています ご家族皆さんの検査を勧めます
* 腎機能検査(Crtn.)の変動が気になり始めました(2016年10月記)
* 記憶力の低下、眠気、意欲の低下など で困っている人が増えてきた印象です
  間脳、下垂体機能の低下、あるいは副腎機能の低下を疑い始めています(2017年5月記)
  これらの症状の多くは治療(クスリの内服)で改善することも確認しています(2018年1月記)

(5)動画を作成しました  『能力減退症』について  参考にしてください。
Youtube 三田チャンネル
https://www.youtube.com/@%E4%B8%89%E7%94%B0%E8%8C%82-h9q

三田医院 岡山市医師会医学会 2011年フクシマ原発事故による放射能汚染、東京から避難移住した一開業医が 東日本、首都圏、さらに岡山の健康被害を考える 第1報 2019年2月25日
https://www.youtube.com/watch?v=xs_rWCbL4KI

こちらもご覧ください

下垂体機能低下症としての『能力減退症』 その症状と治療 一般向け版 第2報 2020年2月28日
https://youtu.be/cFtjWmKgiYQ

下垂体機能低下症としての『能力減退症』 その症状と治療 医家向け版 第2報 2020年2月28日 
https://youtu.be/m6NgV14vlKI

『新ヒバクシャ』の『能力減退症』 3年間の経過・治療・副作用について 第3報 
2021年2月28日
https://youtu.be/8REHjTmJrhs

『新ヒバクシャ』の白血球数が減少している 
2019年12月8日
https://youtu.be/q75kYFMwods 
白血球減少について

* 原因のよくわからない肝機能異常(軽度の肝炎?)が少数ですが見られるようになっています  特に成人女性に多いようです (2019年1月記)

2021岡山市医師会医学会発表  「2011年フクシマ原発事故による放射能汚染、東京から避難移住した一開業医が東日本、首都圏、さらに岡山の健康被害を考える 第4報」県民健康調査vs『新ヒバクシャ』
20221年2月28日
https://www.youtube.com/watch?v=SRIQq0UKHI4

3.11 原発事故と×××疾患に関する考察 第5報
2023年2月28日
https://www.youtube.com/watch?v=W88gztb0Qpw

『高感度体質者』における『放射能敏感症』 第6報 
2024年2月28日
https://www.youtube.com/watch?v=FEhmZEJbI2o

三田医院 岡山市医師会医学会 2011年フクシマ原発事故による放射能汚染、東京から避難移住した一開業医が 東日本、首都圏、さらに岡山の健康被害を考える 第7報 2025年2月25日
https://www.youtube.com/watch?v=IkpJGiT7mfo


(6)『新ヒバクシャ』の『能力減退症』
https://www.radiationexposuresociety.com/archives/8314

物忘れがひどくて、疲れやすい。最近ふえている「能力減退症」とはどんな病いか
4000人を診察した医師からの警告 2018年4月16日 文春オンライン 三田茂
https://bunshun.jp/articles/-/6958

避難、保養に関しては こちら も参考にしてください
増える岡山への移住相談…現状は? KSB瀬戸内海放送 2014年5月21日
https://www.youtube.com/watch?v=Fvp-bE_k_Lk

東京から岡山へ移住した一開業医の危機感 三田茂 2015年10月
https://nowar.radiationexposuresociety.com/2022/11/24/%e6%9d%b1%e4%ba%ac%e3%81%8b%e3%82%89%e5%b2%a1%e5%b1%b1%e3%81%b8%e7%a7%bb%e4%bd%8f%e3%81%97%e3%81%9f%e4%b8%80%e9%96%8b%e6%a5%ad%e5%8c%bb%e3%81%ae%e5%8d%b1%e6%a9%9f%e6%84%9f%e3%80%80%e3%80%80%e3%80%80/

(7) 内部被ばくを考える市民研究会の例会は、年間6回、日曜日に開催しています。以下、ツイキャスをご覧下さい。会員の方はZoomでも視聴できます。

ぜひ、ツィキャスをご覧下さい。過去の録画も視聴できます。

ツイキャス http://twitcasting.tv/naibuhibakushim/show/