三田茂医師講演会 文字起こし in 品川 2014年3月22日 品川区荏原文化センター

三田茂医師講演会 in 品川 2014年3月22日 品川区荏原文化 センター

主催 花子の会

協賛 品川区の子どもを守る会

1/5

3’30

 (拍手)

皆さんおはようございます三田です。ご紹介して頂きました三田です。

もうYouTubeなどで僕の講演がかなり流れてるので、かなりダブっちゃうかも知れない。言うことがそんなに変わる訳ではないですけど。いつもと同じようなスタイルでやらせて頂きます。

では、座ります。

まず自己紹介的なものですけどね。ここに三田医院って言う、うちのロゴとして使っています。えー昨日、一昨日ですね。一昨日の20日を持ちまして三田医院を閉院しました。この東京都小平市って言うのは閉院しました。

色々な理由があります。それは追々話していこうと思います。

で、来月の4月21日から岡山市で同じ三田医院って名前で仕事をします。

 岡山市でも三田医院って名前で。これは許認可の仕事なので名前すら認可を受けないと使えないですよね。ですから三田医院でやりたいと言っても紛らわしい名前が近くにあったらダメって事もありますけども、今週の火曜日かな、認可がおりましたので、4月から岡山市の三田医院って事で仕事を続けて参りたいと思います。

 この東京の三田医院なのですが、僕が3歳の時に1963年ですけども、うちの父が小平の地に開業しました。

 うちの父の父、祖父は医者じゃありません。海軍に関係してた大学の教授だったんですね。その前の代までは東京の開業医でした。ずーっとですから2代前に1回途切れていますけれども。

 僕の気持ちの中では三田医院って言うのは、ずーと東京で開業してきた、東京の為に何が出来るかって事を考えてやって来たつもりです。

 僕が幼稚園の時からですから、父と外を歩くと患者さんに良くお辞儀をされたり、かかっている患者さんも自分の子どもとか孫まで診て下さいって、そういう環境で僕は育ちました。

 今の医院とか診療所とかとちょっと違うかも知れないけど、昔はみんなそんな感じでしたね。地域で最後まで看取ってくれと、そういう事です。

 今回辞めるにあたってうちの患者さんにも随分、最終の診療の時にも挨拶をしましたけれど、看取ってもらえると思っていたのにみたいなことを言われると、ちょっと僕も辛い。地域の小さな子どもたちが、赤ちゃんで生まれてから、だんだん大きくなってお父さんになったり、お母さんになったり、僕も30年医者をやっていますから、赤ちゃんが次の子どもを産む、そう言う場面もあります。小さな子は良く病気をするけれども、小学校の終わりくらいになると病気をしなくなってパタっと来なくなるけど、後で大きくなってからもう一度会ったりするとね。こんなに大きくなったかと嬉しい。だからこんな事さえなかったらば、今来ているその子どもたちが大きくなるまで、僕はこの小平で本当は診て行きたかった。そう言う事です。

 残念ながら、こう言う事になってしまいましたね。

 で、うちの父はそう言う事で 地域の開業医でしたから、ずーっと医師会で仕事をしていました。で、僕もその後を継げというような、跡なんか継ぐもんじゃないんだけれども。医師会の理事の仕事のやり手があまりいないんですよね。大変な事ですから。ただ世襲制だからやれと言われて僕もやって来ました。で、主に地域の防災の事をやって来たんです。

 地域の防災、東京の防災っていうとやっぱり一番心配なのが地震ですね。特にこの小平っていうのは、山も無ければ川も無い平な所なので、何かあるとしたら地震だろうという事です。

 で、地震の事を考える時に避けて通れないのが、昔勉強したけどね、避けて通れないのが浜岡原発ですよね。浜岡原発がメルトダウンした時、東京はどういう風にしたら良いかとそう言う事を考えて来た訳です。もう十数年前からそういう勉強をして。医師会にも、あと行政ですよね、小平市、東京都、後東京都の組織として保健所、こういう所に働きかけて来た訳だけれども。原発に関する事に関しては、東京都にそういうものは無いし、東京都の防災計画には無いんだから必要無いんだ、って事に押し切られて来ました。

 ただチェルノブイリの時の事をね勉強すると、勉強と言ったって、すぐ手に入るようなね医学雑誌なんかね、ちょこちょこっと書かれる事がある訳ですよね。ヨウド剤の入手が大変だったんじゃないかとか。ですから、そう言う事から、まっほんのちょっと勉強しただけで、浜岡がメルトダウンすると東京は数時間後にプルームが来て。で、そのプルームで汚染される前に少なくとも甲状腺ブロックだけはしたいと。ま、こういう風に思って来た訳です。

 福島がこんな事になるっていう事は、僕は知りませんでした。福島の原発が危ないなんてのを知りませんでしたから。残念ながらこうなってみて、ただ考えてみると全く浜岡と同じですね。福島っていうのはね。

 東京都っていうのは後でも言いますけど、甲状腺に関してはあんまりこう知識が無いと言うか、気にしてない地域です。

 ですからそのヨウ素のプルームね。これを浴びた時の対応、それからその後の甲状腺ガンに対する対応、これが多分東京ではうまくいかないだろうなって、ずっと前から思っていました。

 で、今回地震で揺れた後、医師会館へ行った訳だけれども、原子炉の温度が上昇していますって話を聞いた時に、僕はヨウド剤の発注をしましたけれども、それをどうして良いやら誰も見当も付かないし、その直後から、皆んなが何にも考えていなかった、甲状腺の検査ですよね。皆さん甲状腺ガンが心配であるに決まってますから、そう言う事を皆んなでやっていこうと呼びかけても、結局丸3年かけてもほとんど誰も動いていないと言うのが実情ですね。

 これも前も使っているスライドなのですが見て下さい。見たことがある方もたくさんあると思いますけど。

 甲状腺の病気っていうのは、今ちょっと誤解があるというか、山下先生たちがね。甲状腺の病気というと嚢胞、それから結節、またその嚢胞に関して嚢胞があるのに異常であるとか。まっ、異常なのかも知れない。僕も事故以前の子どもの甲状腺の事を知ってる訳ではありませんから。事故を受けた子どもたちのスペクトなど色んな事を言う人たちが居るんだけれども、実情はまだ良く分からないですね。

 皆さんに理解して頂く為に、これは医学的な言葉の使い方の問題ですけれども、ここをキチッとしないと病気の理解が出来ない。で、病気の理解がある程度できないと誰かが変な事を言うと、それに惑わされて皆んな不安になって大騒ぎになるって風に思いますから、一通り話をさせてもらいます。

 甲状腺の病気って色々ありますけれども、大きく分けてここにある「びまん性疾患」と「結節性疾患」に分かれます。

12’01

 びまん性っていうのは、全体的に広がっているってぐらいの意味です。ですから甲状腺全体が腫れ上がっているとか、そう言う感じかな。

 で、「結節性疾患」っていうのは、甲状腺がある中にクリッとしたものが、

 ちょっとだけあるってそう言う感じだと思って下さい。

 「結節」っていう、今「結節」と「嚢胞」って言っているんだけれども、「結節」っていうのはこういう使い方をするって言うのが本来ですね。

 「びまん性疾患」はあまり今回話題にもなっていない。今後話題になるのかも知れない橋本病に増えたりして。

 ただ今回は「結節」について話をします。

 「結節」って言うのがなんかクリッとしたものがあると言う事ですから。「嚢胞性結節」っていうのと「充実性結節」というものに分けます。「嚢胞性結節」だっておかしいんじゃないかと思うかも知れないんだけども。実際に教科書にこういう風に分類するんですね。

 ですから「結節」っていう、ある程度小さなクリッとしたものの中に「嚢胞」っていうのは皆さん、「嚢胞」っていうものの定義は何かって、多分ご存知ないと思います。

 甲状腺には、本当の「嚢胞」は無いと言われています。「真性嚢胞」って言います。「真性嚢胞」っていうのは嚢胞の定義を満たすもの、そういう嚢胞、これは肝嚢胞であったり、腎嚢胞であったり、膵嚢胞であったり、そう言うものは甲状腺にはない。どんどん話が難しくなっちゃってすみません。

 どっちにしても教科書的には、「嚢胞性結節」と「充実性結節」とに分けるように決まっています。「嚢胞性結節」の中に今回皆んなが大騒ぎしている「コロイド嚢胞」とか「コロイド嚢胞」、「腺腫様結節」、「腺腫様甲状腺腺腫」っていうのは大体似た様なものを示しています。

 で、さらに良性腫瘍に伴う嚢胞性の変化、がんに伴う嚢胞性の変化って言うのもあります。「充実性結節」っていうのは、クリッとしたものが甲状腺の中にあると、その中には良性腫瘍がほとんどですけど中にはガンもあると言う事ですね。

 で、充実性であったこのガンがある良性腫瘍が時間の経過とともに、そこに嚢胞性の変化を伴えば嚢胞を伴ったものとなる訳です。

 この辺は、嚢胞に20.1ミリ、結節5.1ミリってね。この振り分けって言うのが、インチキ臭いとかって言う人が居るんだけれども、マス・スクリーニングですよね、ですから何千人、何万人って人たちを一人の医者なり、技師ではなくて色んな技能を持った医者とか技師が振り分けていく時に20ミリの「嚢胞」、5ミリの「結節」、こう言う風に分けてまず引っ掛けるって言うのは一番有効な手立てである事は間違いない。

 僕が検査をする時には、そう言う風にはやりません。これはマス・スクリーニングではありませんから、一人ひとりの人の診察、診断としてやるんですけれど、今、山下先生たちが福島でやってる事はマス・スクリーニングですね。ともかくまず一回振り分けてみないと、とてもじゃないけど手が回らないって言うそう言う観点で20ミリの「嚢胞」、5ミリの「結節」とこう言う風に分けている訳です。

 これが三田医院で診た甲状腺の検査。

 この下の方ですね、下の方は首を水平に横断した様な絵ね、合成像ですけどここが喉です。向かって左から右側にあるんですけど、ここの丸いのがけい動脈、首の横を走っています、けい動脈。これ左のけい動脈、右のけい動脈、これが甲状腺の右側これが左葉。ここがちょうど間の峡部(きょうぶ)と言われる場所です。ここにある黒っぽいのが嚢胞性の結節です。

 これは「コロイド嚢胞」ですけどね。これが水平に見たもの、これが縦に見たものです。「矢状断(しじょうだん)」って言います。こっちが表目で、こっちが背中側ですけど、画面左側が頭側、足側、これは右葉矢状断こっちが左葉矢状断。この黒っぽいの黒くてここに白いポツッてあるでしょ。こう言うのが「コロイド嚢胞」の特徴だって言われてます。

 残念ながら甲状腺の検査って言うのはポピュラーじゃなかったんで、急に始めた人たちとか、検査をした事もない様な人たちが、この白いポツッていうのを石灰化かだって言ったりねする事もあります。

 それから「これは『コロイド嚢胞』だ、本当の嚢胞じゃない」、「これは『嚢胞』だ『嚢胞だって」、言っている人たちも居ます。

 これは超音波診断学上こういうのは石灰化じゃないのは、基本中の基本なんだけれども、ちょっと騒ぎが大きいですね。

 僕はこういうのを「コロイド嚢胞」、子どもたちの3割位に「コロイド嚢胞」っていうのは診られます。三田医院の検査では。一個か二個の人も居るし、百個近い子もいます。

 根本的に僕は一個でも百個でも変わらないと思うし。これは腫瘍ではありませんから正常の範囲と考えて良いと思う。

 うちで検査を始めたのが2011年の12月ですけど。2011年から今までで何回もこの同じ病変を診せてくれる子どもたちも居るけれども、この「コロイド嚢胞」、あるいは「コロイド嚢胞多発」に関しては全然変化が見られない。という事で僕はこれは放射能によるものじゃ無いと思っていますけれども、それはおかしいと言っている先生もいます。

 今度、岡山に行きますが、岡山の子どもの甲状腺っていうのを一度見てみたいもんだと思う。ちょっと期待をしています。また何かこういう機会があったらば、実は岡山に行ったら、岡山の子どもにはこんなもん無かったから、僕が言っていた事が間違っていたって謝る時が来るかも知れないし、岡山で診ても同じだったやっぱりそうなんだって言うかも知れない。もうちょっと待っていて下さい。

 皆さん甲状腺はやっぱり心配なんだと思うから、甲状腺の話をもうちょっとします。

 甲状腺の特徴ですね。甲状腺っていう、一言で言ってしまえば、ちょっとマニア的な臓器なんですね、甲状腺っていうのはね。例えば、胃がんとか肺がんとか肝臓がんとか、そういうものに比べると甲状腺っていうのはどこに行って誰に診てもらえば良いのかっていうね。ちょっと迷う。伊藤病院かな?って皆さん思う訳でしょうけど、甲状腺は、高齢者の病気であるっていう今までの大体の常識的な所ですね。あるいは高齢者の病気で僕はあったんだ、と思います。今後どうなるかが分からないから。

 甲状腺っていうのは年寄りに多くて、なんか喉の辺りがゴツゴツして来て首にグリグリしてるんだけれど、なんでしょう?って言って患者さんが来る訳ですね。そうするとこれは甲状腺らしいから私には分からないから、伊藤病院に行きなさいって言うのが東京の開業医の大体のスタイルですよね。

 もう甲状腺っていうのはマニアックな病気だから、伊藤病院に任せててってそういう感じだったと思います。うちの父もそうでした。

 僕は大学は長野県なのですけれども、信州大学っていう所です。菅谷先生が活躍した様に、長野県っていうのは甲状腺の病気が多かったんですね、歴史的に。海がありませんから地域性の甲状腺腫、甲状腺がこんなに腫れてるお爺さん、お婆さんがたくさんいた村やなんかが昔はあったそうです。僕は知りませんけども。ですからそういう研究をする先生が、大学にたくさんいて甲状腺の事はかなり厳しく試験やなんかされました。僕はろくに勉強しませんでしたけれども。

20’18

 そんな僕でも東京に帰って来て病院で働き始めてみると、甲状腺教諭を持っている先生がほとんどいない。だから甲状腺に何かあったならば甲状腺をやっている先生に全部任す。自分で診ようという気はあんまりない。こういう地域でした、東京はね。

 「甲状腺ガンは進行してから手術しても大丈夫である」、そういう先生たちに回すと、ガンの疑いがあっても今までの話ですよ。「ガンの疑いがあっても直ぐに調べなくても良い」と、「大きくなって来たり転移をするようだったら、これはガンとして調べようじゃない」って。そんな感じでしたね。

 ですから胃とか腸とかあと肝臓とか、そういう所にできるガンとかと扱いが違ったです。扱われ方が違った。でもそれは、もしかしたら過去の話かも知れない。小児科医は甲状腺疾患の経験がない、なんて言ったら、言い過ぎかも知れないけどほとんど無いですね。

 子どもに甲状腺の病気が出来るかと言うと、生まれつきの甲状腺低下症みたいなものはあるんだとおもう。それからごく少数の機能異常はあるんだと思いますけど、小児科の先生が甲状腺ガンについて考えたことっていうのは、今までほとんど無かったと思います。

 ですから甲状腺専門にやっていますという小児科の先生に聞いても、エコーの写真を見せても反応は無い。読めない。それからエコーの機械を自分で持っている、あるいは自分で検査をしている先生にも、僕は会った事がありません。

 ですから甲状腺、子どもだから甲状腺が心配だからって、小児科の先生に相談しても、たぶん無駄なんですよね。小児科の先生がいや、私は不勉強だから子どもの甲状腺分からないって、言ってくれればまだいいけども、医者ってのはプライドが高いですから。分からないと言うよりも、「そんな心配する必要はない」と言われるかも知れないですね。 

 東京は甲状腺疾患が少ない土地であった。さっき言った通りです。少ない土地だったんですね。ですからこんなに人口の多い土地にして、僕たちがね、臨床医が患者さんの甲状腺に何か問題があると思った時に、じゃあどうしようかって言って、じゃ、伊藤病院を紹介しようって、これだけですよね。伊藤病院だってそんなに大きな病院じゃない。だけど東京で伊藤病院くらいが有名で、大体事足りてたって事が今までの歴史です。

 今、伊藤病院も手術も半年待ち、一年待ち、ものによっては2年待ちだと言われているから大混乱みたいですけどね。

 下から3番目、甲状腺エコーは発展途上。うちで使っているのは東芝って会社の機械です。なんか原子炉と同じ名前なんだけど。東芝っていうのは家電メーカーですよね。今、超音波っていうのはデジタル化されてから画像が飛躍的に良くなりました。お腹とか赤ちゃんの画像はそんなに見え方が変わらないない、深い所の画像はね。でも、皮膚の直ぐ近くの浅層(せんそう)と言いますけど、浅い所の画像っていうのは、機械が良くなってどんどん、どんどん良くなっています。うちの機械を3、4年前換えてますけど、その前の世代の機械と見え方が違います。

 ですから今、この発展しつつある所、だけどもその今までの感覚が、どうせ高齢者の病気で、ガンだってそんなに慌てなくていいんだよ、って気持ちで扱われてたっていう事を否定できないと思う。だからね、あんまり診断学っていうのは進んでない訳なんですよ。

 例えば診断学っていえば、胃がんとか大腸がんっていうのは、カメラがあるでしょ、あの内視鏡が、胃の内視鏡、大腸ファイバー。こういうものでどんどん診断を進めていくわけですね。例えば大きさが5ミリのものに関して、これはどの様な細胞でできているかって事を、拡大内視鏡で見たりする。だからあっちの方がどんどん進んでるんですけれども、甲状腺の診断学っていうのはまだまだ発展途上の様な気がする。

 それから甲状腺ガンはヨウ素が原因じゃないらしい。ヨウ素が原因だっていう風に認めたのはWHOでありIAEAであるわけですけど。本当にそうなのか?とベラルーシの先生に僕は直接聞いていないけども、ベラルーシに行った先生たち、あるいは仲間たちが、向こうの先生たちと話をして来ると、どうもヨウ素だけではないんじゃないか?という風に向こうの先生は思っているらしいです。

 ですからヨウ素に関してだけ、議論で済ませようと言うのが、僕はやっぱり間違いなんじゃないかと思う。今、色んなことが科学的に評価がどうのこうのと言うのが、推定外部被ばく線量っていうのを使う訳でしょ。これは、何とかっていう組織が決めた訳ですよね。これこれこういう風だと外部被ばくの線量は推定でこれ位だろうと。それによって患者さんっていうか、被災者たちをグループ分けして、そのグループ分けに乗っ取ってやるのが科学的だって言っているけれども、実際に僕は患者さんたち、心配をしている人たちの診察をしてみて、推定外部被ばく線量でグループ分けするっていうのは非科学的なんじゃないかと思います。

 僕が思ったってしょうがないけれども。 

 同じ様にヨウ素がどれくらい来たかって事だけでグループ分けして、これだから安全だとか、これだから危険なんだっていう場合分けは、僕はね、マズイんじゃないかと思います。

 やっぱり東日本、これは皆んなが被ばくしてますから、僕も含めて。皆んな被ばく者として、甲状腺ガンに立ち向かって行かないといけないですね。今のところ東京近郊っていうのかな、首都圏では、子どもに関しては、甲状腺ガンは僕は一例も経験してないです。5,500~5,600は診た。5,500~5,600、実人数です。実際に4回来てる人も、5回来ている人も居ますから2000人以上は診ていると思いますけれども。

 子どもの甲状腺ガンは、福島では70人いるのかも知れないけども、東京では僕は今の所、見てません。中にはいるかも知れないですよ。

 ただ、この一年くらいお母さんたちの年齢30代から40代の甲状腺ガンっていうのは数例経験しています。今月3月20日でうちは終わりにしましけど、3月頭に二人続けて、東京というか、うちの近くで、甲状腺ガン、大きっな甲状腺がんじゃありませんが、6ミリCの甲状腺ガンのあるお母さんが二人、今手術を待っています。今月末と来月に手術するそうですけれども。

 だから子どもの甲状腺ガンっていう、そういうキャッチフレーズみたいなものに乗せられて、子どもだけを気にしているっていうのは危険。やっぱりお父さん、お母さん、お爺ちゃん、お婆ちゃんも、ちゃんと調べるべき。で、これはそんなに、医者がやる気になれさえすれば、大したことじゃないはですね。ともかく、さっき言ったマス・スクリーニングで大きさ5ミリ、20ミリでいいから、そこに引っ掛ければいい訳です。それをすれば良いんだけれども行われてないというのが現状です。

 子ども、子どもって言うけど、お母さんが若くして、まっ、死んじゃう事はないかも知れないけど、甲状腺ガンで何かあると大変な事ですよ。だから皆さん年齢がどうのこうのじゃなくて、皆んな同じ様に気をつけて下さい。

 それから「放射能が甲状腺腫瘍に与える影響は?」、と書いてあるのは、もともとそのー高齢者に多い病気で進行がゆっくりしているから大丈夫だとか、そういう事を言う訳ですけど、これだけ僕たちが被ばくしてしまったという現実こう言うのがあると、甲状腺の腫瘍ね、良性腫瘍と診断していたものもガンになりやすいかも知れないし、甲状腺ガンも進行が早いかも知れないし、もしかしたら転移しやすいかも知れないですよね。

28’40

 僕は確信を持っている訳ではありませんよ、こんな事を言っていても。だけどそれを心配してちゃんと診ていけばいい訳なんですよ。だから何かがこういう事象があったって時に、それに対して対策を立てればいいんだと思う。ですから少なくとも東日本に住んでいる人は年齢を問わず全員にちゃんと甲状腺の検査を受けられる様な体制を作って欲しいって。言ったって誰が作ってくれるんだ、って。作らなくちゃいけないんだと思います。

 うちでこの一年位診てた人ですけど 最初はこれは良性腫瘍だろうなと思って診ていた人が、大きさは変わっていませんけれど、中の「顔つき」って僕たちは言いますけど、超音波で見た時の様子がね、どうも怪しくなって来て、どんどんどんどんって事で精密検査をしてもらったら、甲状腺ガンだと言う事で、今年、手術をします。

 ですから意外に大人の甲状腺が危ないかも知れない、っていうのが、今、僕が甲状腺について思っていることです。

 どうしても甲状腺の話は避けて通れないので。そんなに重大だと思ってる訳でもないんですけど。甲状腺の話からしました。

 もっと僕がちゃんとしなくてはいけないと思っているのが電離放射性健康診断個人票っていうね。これは僕たちみたいなレントゲンを扱う人たちとか、当然原子炉で働く作業員の人とかが、こういうものを年に2、3回受けなさいという国からもう10年も20年も言われているそういう健康診断です。

 これの中心となっているのは血液検査ですね。上の方は推定被ばく線量ですね。下の方に目、水晶体の混濁や目がかすんでいませんか、皮膚がおかしくなっていませんか、ってだけです。

 ちゃんと検査するのはこの血液検査。青くとったところが白血球、で白血球分画、リンパ球。並び方がやっぱり被ばくの時の出方がちょっと特徴的なんでしょうね。きっとね。リンパ球、単球、異型リンパ球、好中球、好酸球、好塩基球って、普通は好中球から始まるんだけども、ちょっとこっちのリンパ系が先に来ています。赤血球、血素球数、ヘマトクリット値っていうのは、いわゆる貧血ですよね。血液の赤さがどうかって検査。これは

教科書から無断借用ですけど、血液を取ってぐって薄く引き伸ばしてみると一層に並ぶくらいの薄さ、非常に薄い薄さだけど、ここに丸く飴玉みたいに見えているのが赤血球、ここに大きく見えてるのが好中球でありリンパ球、白血球ですね。カスみたいにここにあるポツポツポツポツとあるのが血小板。だから赤血球はすごく数が多い、血小板ってのも結構数が多い。これは白血球がある所を探して撮っているから2つ写っているんですけど、白血球っていうのは数が少ない。

 これ、うちでやった子の伝票ですけど、左の列を見て頂こうかな。上から白血球数が5000個、赤血球数が463、これ万って数なんですね。463万個、で血小板が21万9000、

2/5

こういう感じなんですね。だいたいね。

このだいたい5000個ある白血球をさらに分類すると末梢血液像と言って、好中球がこの5000の内の35.7%ですね。好酸球1.2%、好塩基球0.2%、単球5.9%、リンパ球が57%。この人この時異形リンパ球(ATY-LY)が、プラス。プラスって言うのは1%前後っていう、ちょっと特殊な表記ですけど、こういう事です。

これを足せば100%ですから5000の内の35.7%、こう書いてあります。

5000×35.7%/100=1785っていうのが、この人の5000個ある白血球の中の好中球の数です。ずいぶん少ないんですけどね。

で、さらに異型リンパ球(ATY-LY)が2回続けて出ちゃった人です。

 もともと心配した訳です、僕は。それで、もともと消化器を主にやっていたのですけれど、レントゲン診断学っていうのも、ある有名な先生から教わったりして、若い時に相当浴びています、僕は放射線を。これは原発事故じゃなくて、医療用の放射線を浴びているんです。

 ですからさっきの電離放射線の検診も、ちゃんと受けて下さいねって言われていつも受けていましたから。

 それから患者さんたち、例えば子宮がんとかね。後、肺がんとか放射線かけますよね。で、かけていく月、火、水、木、金、土と、かけるんだけれども、高線量をかけていく時、非常に感受性に差があるので、全然平気な人もいれば、途中で体の具合が悪くなっちゃって、続けられない人もいる訳ですね。どこが危険かってみる時に、当然体調の悪さを診るけれども、さっき言った白血球、赤血球、血小板これを病棟で、毎日か1日おき位に測ってガクって落ちたとこで一回中止です。で、しばらく置くとまた戻って来るから、そこでまた放射線をかけるっていう、こういう作業も若い時にしてきたので。

 やはり何かこの放射能の、放射線のですかね、影響を体が受けるとしたらば、それを知るのには血液の検査だろうと僕は思いました。直感的に思いますよ。皆んな医者なら誰でも思う事だと思うけどね。

これは三田医院のデータです。三田医院の大人のデータです。子どものデータってのはないんですよね。子どもがあの事故以前に、調子も悪くないけど健康の為に定期検査して下さいって、お父さん、お母さんが連れてきて採血するなんて聞いた事もないし、どこ探したってそんなデータはまず出てこないですけど、大人に対しては幸い血圧のお薬を飲んでいる人が年2、3回検査採血するとか、それから地域の健康診断、それから頼まれて健康診断、こうやって健康な人の血液ってずっと取ってる訳です。

 当然、病気の人の血液も入っているから、そういうものは全部取り除いてますけれども。

 一番上のWBCって言うのは、これはホールボディーカウンターじゃないですよ。ホワイトブラッドセル、白血球。真ん中のRBCって言うのは赤血球、下のPLTは血小板。白血球、赤血球、血小板って言うのが血液の中の三要素ですね。

 これが変わるんじゃないかと僕は思ったんです。三田医院で診ていてね

 ここに、ちょっと見にくくてごめんなさいね。2008年、2009年、2010年、2011、2012、2013と、ずーっと抽出して見てきました。

 この赤い丸が事故が起きた所です。

 大人ですね。30歳から80歳。90歳以上の人って何か病気持ってそうだし、ちょっと除外しました。この辺は、基礎データを持っている人たちですね。

 何か変わると思ったんだけれども、白血球も変わらない。大人がね。赤血球も変わらない。血小板も何か波を打っているように見えたけど、季節ごとに変わってる事が分かっただけで。

 小平近辺の大人に関して言えば、白血球も赤血球も血小板も、事故の前後で変わらなかったと言う事が分かって、僕はちょっと意外でした。

4’32

これも三田医院のデータです。これは子どものデータです。小児。子どものデータでさっきと違うのは、2011年以前のデータをうちは持ってないと言う事です。2011年以降、検査をしますって言ったら、皆さん殺到しましたが、そういう中で2011年の年末から2012年、2013年まで診ていきました。

 同じように上から白血球、赤血球、血小板です。

 まず真ん中の赤血球、これは全然変わりありませんね。

 地震が起きた後です、これは。地震が起きた前とは比べられてません。

 一番下の血小板は、何か下がっている様にも見えるんだけれども、さっき見たように1年間の季節の変動ってものがあるので。これも、あんまり減ってはいないんじゃないかなってという風に判断しました。

 で、白血球はですね。2011年の12月からなんだけども、だんだん、だんだん下がって来ちゃったんですね。東京の、東京近郊って言うか、首都圏の子どもの白血球は、これはあの事故以来、数が減ったと僕は判断しました。

 これは年齢ごとに分けて見た訳です。赤血球のデータです。

 さっきとちょっと違う。これは2012年、1年間をグラフにしました。ですから2012年の1月から2012年の年末まで、どういう風に変わったかっていう事です。

一番左が0歳児。数ちょっと少なくてこれはデータとして、もう見ないで下さい。ここが1歳から5歳幼稚園位まで。これが小学校、中学校。一番右が大人って事ですけど。ここに赤い線が書いてあるんだけど、これがいわゆる基準値のど真ん中って所です。

 ですから赤血球に関しては、大人は変化していないと思ったけど、子どももやっぱり変化してないですね。

 これ血小板です。血小板は、変化してないと、11年、12年ね。

 赤ちゃんはちょっと議論にならないからやめます。

 幼稚園位まではあんまり変わんないと思ったけど、ちょっと減っているかも知れない。

 小学校、中学校もちょっと減っているかも知れない。

 大人は何とも言えない。これはあんまり変わらないと判断しました。

 これが白血球。2012年、1年間でどう変わったか。

 これは赤ちゃんこれもやっぱりちょっと無理ですね。

 幼稚園までは、ここの赤い所が基準の真ん中です。

この黒い線って言うのが三田医院の中央値の、まっ近似値ですね。変化した率を直線で近似的に表したものです。幼稚園の子もグッと下がった。

 で、小学生、中学生もグッと下がった。

 大人はやっぱりあんまり変わらないというとこですね。

で、さらに白血球のなかの好中球を見た時に、赤ちゃんはやっぱり議論出来ないけれども、幼稚園も変わった、それから小学校、中学校も変わった。大人はちょっと減ったかも知れないけど、それほどではないと。

 特に小中学校で、この黄色い線って言うのが、日本医師会が出している教科書のいわゆる基準値の下限なんだけれども、平均値ですらここを大きく割ってしまったって言うのが、2012年の後半の特徴でした。

どれくらい割った子たちの数がいたかって言うと、これも2012年の三田医院の好中球異常、6歳から15歳を見た時に、これは0%から100%って事だけど、検査を始めた当初は、普通舞っているんだから、これくらいいてもいいかなって思ったのが、この辺だ75%位って事は、小学校の子が4人来ると3人は医師会の教科書に書いている基準値に入らない。基準値って言うのは大体、医師会の基準で言うと7割位が、正常な子が7割位入るんじゃないかという風に考えます。

 ですから下に15%、上に15%位いてもいいんでしょうけど、下に75%いたって言うのは、僕これは異常だと思う。

 今までの三田医院の話です。

 これは福島県の県民健康管理調査です。

 福島の大人、福島県は大人の1万何千人って数をやっているんですね。これ、男だけだから女性も入れると3、4万人やってるんだと思います。うちが太刀打ち出来ない位の制度でやっていますけれど。健康管理調査このくらいのグラフは出てますが、いわゆる基準値とされているものを後で書き入れてみると、真ん中が完全にズレている。

 東京近郊の大人に関しては、白血球に関してもほとんど僕は影響がないと思った、とさっき言いました。2008年から2013年まで見て、震災の前後で健康診断を見ても全然変動がないからですね。

でも福島県の大人はこんなに減っている、って事です。

福島県の子どもも、やっぱり同じように、こういう風にズレています。これが6歳まで、これが小中学校ですね。やっぱりさっきのこのラインを入れてみると、半分以上の子が日本医師会の出している基準値に満たないという事です。

 だからどうしたと言われると、なになに病って訳ではないけれど、やはりこの地域に住んでいる子たちの白血球系は相当影響を受けているって事ですね。

 これが白血球の中でも好中球。好中球も同じように、みんな左にズレてるっていうのは、これは数が少なくなっているって事です。

 リンパ球も同じように数がズレてる。

 これがまとめみたいなものだけども、7歳から15歳子ども、小中学校のこのグラフをよーく見てみると、医師会の出している線っていうのは、ここが真ん中で水色から水色までが基準値。だからここに7割位入って欲しいんだけれども、福島県はもっと左にズレちゃってるって事ですね。

 ここの薄い黄色い線が分かりますかね?色々な元データを推測して考えてみると、ここの黄色から黄色までに95%位が入るというラインです。で、そこの95%の所に福島の子たちは、70%しか入らない。こっちの2.5%、2.5%の、2.5%の所に、30%も入っちゃうっていうのがビックリするくらい、数も6000人位ですね。男の子だけで、っていう事です。

 実際には福島県県民健康管理調査は、こういう補助線は一個も入っていません。

 これは全部僕が、この高さから人数を逆算して、同じ高さになるように作ったものです。

 実際にこれらの福島県民健康管理調査の、一番最初に出た2012年度のものです。平成23年度のまとめです。色々書いてあります。血圧がどうだとか、コレステロールがどうだとか、肝臓がどうだとか。ここには、身長と体重をみると身長は平均と同じだけれど、体重がちょっと高いから運動不足だとか。そんなどうでも良いような事が書いてあるんだけれども、一番下にこっそりと、白血球減少、好中球減少、リンパ球減少がみられた、って書いてある。

 これこそが、実はさっき言った、電離放射線検診なんかの事も考えると被ばくした地域ですから、これこそがとっても大事な事であるはずなんだけれども。こんな風にあっさりとすまされてますね。

12’53

で、今年の1月にも、昨年度になるのかな?昨年度のこれの健康管理調査の発表がありました。それで甲状腺ガンがどうのこうのって、そっちの方ばっかり話が行っているけれども、この白血球、赤血球、血小板に関しては公表されませんでした。

 一緒にやっている人がそういう記者会見に行って、白血球はどうなってるんだって聞いてくれる訳だけれども、そういう話しを聞くと、一緒に聞いてる側からね、だから出席しているジャーナリストから「そんな話はどうでもいいから甲状腺の話が聞きたい」っていう、そういう声がかかるらしい。だから、ちょっと認識が悪いですね。

 子どもの甲状腺の事ばかり言ってるんじゃダメだと、僕は思うけれどね。

 さらにですね、福島県民健康管理調査の、15歳以下の子どもの全部の、もう一度僕が合算して出したものです。こっちに常総生協っていうのが、2013年、去年の1月に15歳以下、15歳以上が二人いたんだけど、15歳以下の子を200人集めて検査してくれていました。それを後になって僕にも見せてくれたんだけれども、それも同じようにまとめてみました。

日本医師会が定めている、さっきから何回も言ってるけど、日本医師会が定めている子どもの血液の基準値っていうものに、照らし合わせてみました。

 上が福島です。この赤いやつ、これは基準値内に収まっているもの。青いのが、基準値よりも上にはみ出ているもの。この半分ぐらいあるのが、基準値よりも下。

 常総生協っていうのは、南茨城、千葉の北側、松戸とか柏とかあっちの方ですね。いわゆるホットスポット。皆さん、お父さん、お母さんが大変な思いをして、今でも除染しているみたいですけれども。常総生協で見てみると、丁度福島県と同じようなパターンですね。

 これは子どもの話です。

 ですから、白血球に僕は着目した訳だけれども、まとめますと、福島県は子どもの白血球は相当減少しているけれども、大人も白血球は減っていると思います。

 常総地域ですね。これは福島県から距離はあるけれども、プルームが流れ込んだと思われている。あのー有名な地図がありますよね。何先生だか忘れましたけど。

ホットスポットがここに出来たと言われる場所は、子どもに関して言えば、福島県と何ら変わりはないくらいの影響を受けている。

 それから大人に関して言えば、僕が調べた範囲、小平近辺、あるいは東京近郊では未だほとんど大人では影響が、白血球、赤血球、血小板にね、影響はほとんど見られていませんが、福島県では、当初からかなり影響は出ているということです。

 爆発、汚染事故から3年経って、すっかりニュースを見ていても、新聞を見ていても、東京は何でもないような感じですよね。

この間3月11日、丸3年という事で、色々なテレビ番組がありましたよね。実は僕忙しくて何も見られなかったけれども。話に聞くと、大体どの番組も福島県って大変だねって、そういう話しですね。報道ステーションの番組っていうのが話題になっていますよね。僕は見ていませんけれども。話に聞く所によると、その県民健康管理調査で、福島県の子どもたちにガンが出ていると、甲状腺ガンが出ていると、これをその福島県はこう言っている。本当はそうじゃないんじゃないか。こういう趣旨の番組だったと聞いてますけど。僕は非常に不満ですね、そういう番組の作り方にね。実は、報道ステーションのディレクターという方が、3月11日の前にうちに来てます、三田医院に。診療が終わった後で9時くらいからじゃないと会えないから、9時から11時くらいまで、カメラ回して僕の主張を撮っていってくれました。主張というのは今のようなことです。甲状腺がんは当然気をつけなきゃいけないけれども、まず、電離放射線検診の中で定められている、一番鋭敏によくわかると言われている血液検査を少なくとも東日本でするべきだ。これはレントゲン室に出入りする医者、技師、それから原子炉で働いている、あるいは、今までいた作業員たちが国の定めによって、受けていたことです。ですから、今回東日本で被ばくした人たちに、全員それと同じくらいのことはやるべきだ、という。で、実際、うちでやってみると、東日本は危ない。福島県のことだけ言ってる場合じゃない。東京、あるいは東京近郊という観点からしても、さっき言った常総生協がやった東葛地域ですよね、東葛地域は福島と何ら差はない。という趣旨で僕は話ました。ディレクターはとても難しい、って、これを番組にするのはとても難しい、って言ってたけれども。僕も顔は出たくないけれども、そういう衝撃の問題作を作ってくれるんだったら、名前も顔も出してくれてもいい、って言いました。で持って帰って一応通すのか、上層部と相談しますということでしたけど、3月11日の数日前に、「実はあれは番組にできない」って返事をもらいました。絶賛されてますが、あの番組の悪いところはですね。やっぱり、東京に安心感を与えてしまった、ということかもしれない。あるいは、東京に住む人に優越感みたいなものね、僕はあると思うんです。東京っていうのはいい場所で、文化的にも優れていて、いろんなものが手に入っていて、ちょっと離れた福島、かわいそうだな、っていう。そういう気持ちがますます加速したかな、その3.11以降、あの番組でね。それがとっても残念なことだと思います。

昨日も今日も明日も、私たちは汚染された空気を吸っていますから、みなさん、気をつけて下さい。

ですから3年経っても東京は危ない。これからどんどん危ないんじゃないか、と僕は思う。東京都民、どうしたらいいかっていう。これは当たってないかもしれませんよ。これが僕が考える意見ですね。

これが早川先生のマップです。東京は幸いにして一部逃れたような形をとってますね。もう一つ言うとすれば、僕の住んでいる小平市というのは、この東京都とあるんだけど、東西南北のちょうど、ど真ん中くらいにあるところです。だからこの東京という字にあるところなんだけれども、この地図で見ると何にも来ていないような印象でしょうか。

これは「えんとつ」というナンバー31と書いてありますけど。これは新聞に折り込まれてくるチラシです。ここに小平・村山・大和衛生連合なんて書いてある。小倉台というんですけど、ここのごみの処理場ね。ごみだけでなく下水処理も大々的にやってます。多摩川上水ですね。で、ここのチラシ。これによると空間放射線量の測定をしました、と。高さ1mで測って、ちょっと離れたところに行くと0.05いかない。だけど、敷地内で測ると0.08とか、もうちょっと違う月に測ると0.09くらいあるんだけれども。例えば倍くらいあると思うかもしれないけど、これは地上1m空間放射線量です。フェンス1枚隔てて、処理工場の中がこういうようです。線量が高いんですね。これと違う集水源というところもこれと同じ高いデータを出しています。だけど、こういうのを平気で新聞の折り込み広告で出す、という感覚がね。なんか危ないんじゃないか、と僕は思うけども。どうやら、その0.23ですよね。都と国の除染レベルに達してないから、きれいなんだ、っていうね。そういう数値が一人歩きしているような、そういうことを現わしているのかな、と思います。

これは「子どもの未来を考えるゆるやかなネットワーク」という、小平の北側に東村山という場所がありますけど、東村山のお父さん、お母さんが測定してくれたものです。空堀川(からぼりがわ)という川があります。これが新青梅街道、新宿に通じる道ですね。こっちが新宿で、こっちが青梅になるんだけども。この新青梅街道の下をくぐっている川があります。川と言ったって、武蔵野台地ですから、ろくな川はありません。雨が降ると水が集まって、少しこの流れが出ると。普段はこのちょろちょろと流れている、という、どぶみたいな、下水みたいな川ですけれども。こういうところに、まわりから水を流れ込むようになっているところになると、1マイクロ近い値が出てるんですね。当初はこんなこと、ありませんでした。それからこの近くの公園があるんですけど、中央公園とか、大っきな公園です。通産省の自動車のテストコースだったところが公園になった所なんだけど。その近くに西武線という電車が走ってますけど、西武線との境目の斜面を測ったらば、うちの患者さんが線量計で測ってくれましたけど、0.3とか0.4が出ます。もともとなかったものがどんどん上がってくる、という風に僕は思います。

「路傍の石」、っていう本があるけど、「路傍の土」ということを言っている人がいます。あるいは「黒い物質」って言いますけどね。こういう歩道やなんかの、隅っこに溜まっているような、そういう吹き溜まりみたいなものでしょうか。そういうものね。こういうところは線量が非常に高いから、気をつけなさいって言われてますけれども。こういうものも、例えば、こういうのを掃いて、ちり取りで取ってごみとして全部出したら、さっきの衛生組合で燃しちゃうわけですよね。バグフィルターで取れるなんて言ってるけど、だけど敷地内の線量は高いんですよね。これは東京の特殊性というのかな、日本の特殊性、というのかもしれないけども、ベラルーシ、ウクライナでは常識として、ものは、特に汚染したものは燃やしてはいけない、と言われている。ごみも全部埋立てだ、って言われている。と行った人が聞いて帰ってきていますけども。山火事なんかが起きると、1年2年して周りで人がどんどん死ぬから、絶対に山火事は出してはいけないんだ、と向こうでは言ってるらしいけども。東京というのは、日常的に山火事を起こしているみたいな、そういう地域ですよね。もうちょっと、その辺を考えてくれる大人がいれば、子どもはもしかしたら守れるかもしれないけども。ちょっと絶望的な感じがします。

これは「放射能防御プロジェクト」ですね。これが前に測ったやつですね。セシウムの土壌汚染の程度。三郷が1万4000,松戸が7000,江戸川が3000。でその時、小平1箇所だけ測ったお母さんのが320でした。こっちの強いところで、何1000という値。23区で1000前後というところですか。小平のあたりで比較的良くて300、200という、とそういう理解だった、と思います。2009年の新宿が1.5ベクレル。東海村が正常稼働していて90ベクレル。チェルノブイリの時のヨーロッパですよね、被害が出たと言われる西ドイツやイタリアが100ベクレル前後ということで、空間線量、それから土壌の汚染度というのは比較的なじみがいいけども、僕はどうもこれだけでは測れないものがあるんじゃないか、と思う。それでも、ヨーロッパより小平っていうのは2倍から3倍高いし、東京23区というのはもしかしたら10倍くらいあるかもしれないし、東葛の地域はもっともっと高い。そういうことですよね。

これは江戸川の川べりでおうちに咲いていたコスモスでしょうか、これがまあまあ正常ですね。こういうのが多いですね。正常な花びらが3枚くらいしかなくて、あとはこんな筒みたいになっちゃってたり、しおれちゃってたり。こっちの花もそうですけれども。うちの患者さんで、周りに相当、お花の奇形がありますよ、って教えてくれて、ちょっと気をつけて見るようになったけれど、この系統の、キクみたいな花というのは、枯れてはまた来年、芽が出てくるということを繰り返している、道端で。そういうような花がすごく多いような気がします。

これは、何だこの写真は、と思う方がいるかもしれないけど。小平の雑木林みたいなところです。十人十色がどうだこうだと言って、1年かそこら前に騒ぎになって、テレビとか新聞に出たことがあるんだけど、玉川上水というのが小平に流れています。府中街道という道が、そこを横断するわけだけれども、府中街道と玉川上水が交わるところに雑木林が残っています。実は、この府中街道をこちらにずらす、という計画が何十年も前からあって、家が建たないでこういう武蔵野の面影があるような、雑木林が残っているんですね。でお母さんがたは、せっかくの雑木林だからつぶさないでくれって、運動をしていますが。この雑木林で子どもたちは夏になると、カブトムシを捕ったり、クワガタを捕ったりするわけです。夏の夜になるとお父さん、お母さん主催の幻燈会というかスライド上映会、映画会などをこういう中で、雰囲気たっぷりで毎年やってきた、ということです。ただ、2011年のあの事故の後で、お父さん、お母さんがここを調べてみたら、非常に線量の高い場所が見つかったんですね。この間にも。これは夏の話です。その年の10月、11月に僕も随分測りましたけども、10月、11月に行ったら随分、線量が下がっちゃったんだったんで、多分、ヨウ素だったんですね。あまりプルームが流れてない、と言われていた小平でもそういうことがありました。で、ここが危ないから子どもが近寄れないようにしてくれ、と行政に再三言ったんだけれども、再三言ってやったことが、こんな細いビニールひもで囲っただけです。ここに「小平市 水と緑と公園課」なんて書いてありますけど、「立ち入り禁止 ゴミを捨てないで下さい」ってね。これじゃ、まるで何かゴミ捨て場にされると困るからロープ張ったみたいな、こういう印象ですよね。あの、法律に従って、放射能があって危険だから、管理しないといけないから、ということを書かなきゃいけない行政がこういう法律違反を平気でするわけですね。で、子どもが集まる場所なのに、こんな程度のことしかできないっていう。こういうことが東京の野蛮さ、というか、そういうものを示しているかな、と感じます。

 これ東京新聞です。これは東京の話ではなくて、福島の話ですけど、ヤマトシジミの研究をした先生が沖縄にいますよね。福島のエサを食べさせたら、生存率とか形の異常がたくさん出ましたということが論文になっています。それから、これは福島のニホンザルですね。野生のニホンザル、白血球が減った、と書いてあります。人間への影響は未解明なんだと書いてあります。福島の県民健康管理調査では、白血球が減ったと書いてあるんだけれども、未解明だそうです。おサルさんではここまで言えるんですよね、新聞でもね。でも、人間の白血球が減った、ということはとっても言いずらいことなんだろうか。これがこれだけ問題になっているんですけれども、人間に関してはあんまり問題にしてもらえない。

 これを言うとですね、サルというのは選んだ食べ物を食べているわけじゃなくて、汚染されたものを選んでどんどん食べてるんだろう、って。そうなのかもしれない。そういうことで白血球、減ってるかもしれないけど。県民健康管理調査でも白血球が減っていることは認めているわけです。だから、変な理屈をこねることは止めてもらいたい、と僕は思いますけれどもね。

31’01

 これから個別の病気はどんどん出てくるんだと思います。ただ、病気が出てから慌てるというのではなくて、前もって何かを知りたいと僕は思うわけです。あるいは地域的な、統計的な問題というのを見ていきたいと僕は思うわけです。そうした時にやっぱりこの電離放射線健診、特に血球ですよね、白血球系、ここを見ていきたいと思う。白血球の数、リンパ球とか異形リンパ球の数、好中球の数。好酸球というのは、実は今はアレルギーの時に上がる、とみんな取沙汰しているけれども、ちょっと古い教科書では放射能で上がる、と書いてあります。好酸球がへんてこに上がっている人も東京でいます。

 これは2011年12月から翌年の春までの3、4ヶ月。三田医院データです。三田医院に来た特に子どもたちの白血球系のね、今、示したでしょ。白血球系の特に異常がある(異形リンパ球+)と僕が判断したそういう人たちの住んでいる場所です。そうすると、東京都があって、右の方がいわゆる東葛ですよね。柏とか三郷とか、松戸とか。

3/5

この辺かな。後23区の東側。全体を均等に調べている訳ではないので、ここの濃度が高い訳ではないですけれども。この辺に住んでいる子どもたちは、10人来れば5人から異常が出ました。

で、小平なんかに、あるいはさいたま市、埼玉とか所沢とか、こっちの方のちょっと離れて、比較的汚染が低かったといわれている所の子たちは

10人調べても、こういうタイプの子は一人も居ませんでした。

再検査もしています。お母さんたちが本当に大丈夫なのかしらと言ってこの辺の子どもたちは、3か月後に調べてもやっぱり出ない。この辺の子たちは3か月後に調べてもやっぱり50%くらい出る。

 一番最初に3か月後に調べて調べましたって伝票は、ここの子です。早川先生のマップではここですね。それとは別に横浜、川崎のエリア、後、多摩川沿いの辺りっていうのが、どうも怪しいと思いました。

 お母さんたちも近くにゴミの焼却場があって、風向きによって子どもの調子が悪いんですって言う風に明らかに言っていました。

 これがその1年後ですね。2012年の末から2013年の春。だから ちょうど一年前くらい。こんな風になっちゃいました。もともと綺麗だと思われたこういう地域に、バラバラ、バラバラ異常が出始めて。ここの東葛地域が綺麗になったのは、皆んな避難しちゃったんです。

 うちには来ません。こういう時には、だからここも続けて見てたら出ていたのかもしれないけれども。ここら辺は以前はいなかった。ここのさいたま市にあたるんですけど。さいたま市って、ともかく三郷に近かったので気をつけて2回調べに来たお母さんたちがいっぱいいるんです。

 で、この1年前ですね。今から2年前には、さいたま市でも0%だったのが、最近もう何%くらいでしょう。20%くらいか30%くらいか。こういう異常が全部出るようになって来たと。ですからホットスポットって言い方は、あの時点では成り立ったし、今でもその空間線量を測ったり、土壌汚染度を調べるとホットスポットなんでしょうけど。空気を吸っているって、これはなかなか測定値としては、出ないのかも知れないけど。そういう点からするともう首都圏は、全部同じようになって来ているって言う風に考えられるのかな、と私は思います。

 今のは甲状腺の検査とか血液検査の話ですよね。それから患者さんたちの自覚症状ですね。何か具合の悪い所があるのか?ないのか?って話だけど。あのー肥田先生が原爆ぶらぶら病という事をおっしゃっいましたね。だるかったり、仕事が出来なかったり。家事ができない、なんか怠け者なんじゃないかっていうのが、ぶらぶら病だって風にいわれました。

 こういうのがどれくらい出るんでしょうかね。これからね。チェルノブイリの方へ行った人たちの話を聞いても、やっぱり子どもたちの集中力が続かなくて学校の時間が短くなっているとか、授業についていけない子が多いとか、って話を聞きます。

 今後東京がそうなっていくのかな。今の所、典型的なぶらぶら病は見ていないんじゃないかと思います。もともとうつ病なんてたくさんありますから。同じようなマニュアルでしか僕は見てないです。

これがですねちょっと、自分で言いながらも問題があるかなと思っているんですけど。リウマチ性多発筋痛症って言う病気がある。もともとあります、これは。これは、症状から言いますと、色々書いてあるんだけど、印の付いている所ね、首筋とか肩のまわりとか、腰からお尻、それから太もも、あるいは、このふくらはぎの辺りね。肩のまわり、腰のまわりって事ですけど、こういう所がほぼ左右対象に痛んだり、違和感があったり、筋力が衰えるって、そういう病気です。

 で、教科書を見ると大体人口10万人あたり1.5人くらいって書いてありますから、小平市って18万人居るんです。小平市の中で2、3人いるかな、っていう病気です。

 この病気はですね。特徴があんまりないんです。症状って事じゃなくて、検査データとしての特徴があんまりない。

 だから整形外科に行って、色々診てもらっても、どこも悪くないって言われる。レントゲン撮ってもどこも悪くないって言われる。マッサージに行ってマッサージしてもらっても、その場はちょっと良いような感じがするんだけど、帰って来るともうダメであると。

 典型的には症状が全部出揃ったぐらいの人って言うのは、色々な所をグルグル回っている訳です。あそこの整形外科に行ってもなんともないって言われた。そこの病院に言っても何ともないと言われた。また整形外科に行っても何ともないって言われたんだけど、どんどん体が痛くて体が動かない。立ち上がることも辛くて、歩くことだってなかなか出来ないから

車椅子を介護認定で借りて、おうちの人が車椅子を押して病院に行くんだけれど、検査してもなんともないですねって言われて痛み止めだけでと。でもそれも効かずに、車椅子に乗って帰って来るっていう、そう言う人です。

 この病気じゃなんじゃないかと思う事が、解決に一番近い訳ですね。何にも検査上特徴的なものがないんだけど、何ヶ月も何年も、そういう事で悩んでいる。微熱が出たりする人もいます。食欲が落ちて体重がげっそりと、鬱病になる人も居るけど。

ある治療をすると、ある治療というのは、実はステロイドの投与なんですけど、急激に良くなるんです。

 うちでも前からこういう人居ました。こういうのには僕は興味があるので、他でダメだったのは何とか治せたらと思って。年間に一人か二人くらい、こういう人を診てきた様な記憶があるんですけど。2011年以降は、これがとっても多いと僕は思うんです。

 いつもかかっている家族でね。おばあちゃんが一昨日くらいから動けなくなって、お布団の上に立ち上がれないです、着替えも出来ないんですっていう電話がかかって来ると、最初からこれを疑う訳じゃないですよ。おばあちゃんがって言うと、どこか麻痺でもあっちゃいけないと思って、電話で聞いてもよく分からないですから、ともかく一回救急病院に連れて行って、一通りの検査をしてもらって下さい、と言う訳です。そうすると救急病院に大きな病院に連れて行って、頭のCTを撮ったりM RIを撮ったり整形外科で診てもらったりして、あるいは血液検査をして、どこと言って悪い所ないですねって言われて、でも立ち上がれずに車椅子で帰る訳です。

7’14

 そういう報告を受けて、じゃ、これこれこういう薬をこういう風に飲んでくださいって、一回分だけね。今日それを飲んで明日様子を教えて下さい、って言うとその数日間立ち上がる事も、歩く事も出来なった人が歩いてうちに来る訳です。「失礼にあたってはいけないから、今日はシャワーを浴びて来ました」っていう人がいます。これは60歳から70歳。50歳後半くらいでも、なんか最近、寝返りを打つのが辛いとか、自分で着替えができなくなってとか、そういうおじさんもいます。

 そういう人もこれで治っています。

ですからリュウマチ性多発筋痛症と違うかも知れないけど、これか、あるいはこれに類似した疾患というのもがとっても出てると思う。特にこの1年あのー数がすごく増えてると思います。

 子どもの甲状腺だけじゃないよって、こういう事でもある訳です。私は歳を取っているから良いんだよっなんてとんでもない。年寄りがこういう事で身動きが取れなくなったならば、自分も嫌だし、家族にも大変な思いをさせます。

 ですから子ども、赤ちゃんも大変、子ども大変。お父さん、お母さんも大変。おじいちゃん、おばあちゃんも大変。皆んなが同じように気をつけなちゃいけないですね。

 このリュウマチ性多発筋痛症の事は、医師会やなんかで整形外科の先生に最近こういう事が多いと思うんだけどどうですか?って。そんな事ないよって言います、皆んな。まだ誰からも合意は得られてません。僕一人でずっと言ってる事ですけど

 でもあえて言うって事は、もしもこういう症状で困っている人がね。整形に行っても解決しない病院とも解決しない。だけどちょっとこういう風に考えてみて、少しお薬を使ってみて良くなるかどうかだけ、見ても良いんじゃないかな。

 お薬は長期に使うと副作用が出ますけれども、単発性で使う分には副作用はまず出ませんから。これから今後その地域の先生方に、こういう認識も持ってもらえたらと思います。

 このリュウマチ性多発筋痛症がチェルノブイリで増えたっていう、データと言うか論文は見た事もないので、違うのかなと思っていたのだけれども、この間Facebookか何かで、昔のソ連ではね、事故の後に筋肉リュウマチが増えたっていう、何倍に増えたっていう、そういう話があるんだって事を見ました。

 リュウマチっていうのは本当の名前は、慢性関節リュウマチって言うんですね。あちこち痛いって事を昔の人はみんなリュウマチって、言ってしまったんで、今、僕たちが言うリュウマチって、慢性関節リュウマチです。

 慢性関節リュウマチとは違う、関節が痛くなって変形するような病気とは違って、筋肉が痛くなるって事で筋肉リュウマチって風にソ連の先生たちが言ったんだったら、これか、これに近い状態がやはり向こうで増えたのかなって風に思います。

 しつこいですけど強調する理由は、治療すればかなり楽になるって事ですよね。寝たきりにならなくて済むかも知れない。

 でもこれ気がつかないでいると、寝たきりがきっと増えると思うので。東京ですよ。気をつけていけたらなと思って提示しました。

 こんな事は皆さんご存知でしょう。福島県については小児がん、小児腫瘍科っていうのを作って、新しい病棟が来年度から稼働するそうです。キッズ・キャンサーセミナーっていうのもやっていて、小学校5、6年生相手に。キッズって子どもでしょ。キャンサーってガン、のセミナーですね。福島でこそ日本一のガン教育が必要だって、ちょっと悪い冗談なのかと思うけど。そうじゃないつもりで、どうやらその子どもたちが、勉強すれば安心して住めるっていう事を言っているみたいですけどね。

 松本。私が大学を過ごした地域ですけれども、松本では子ども保養とか避難とかだとなんか風当たりが強いらしくて留学っていうらしいですけど。こういう形で子どもたちを受け入れていると。これ松本城ですよね。

ここが城山公園って言いまして、この辺で僕は滑ったんですけど。この松本城のずっとこっち側の山を超えた、青木峠って超えた白村って所に過疎の村ですから、古い学校があるらしくて。そこを改装して子どもたちを受け入れているって形ですね。

これが岡山県のホームページの岡山の県知事だけど、ミュージカル仕立てで移住して下さいってね。8000人来て下さいってね。で、これが交通会館ね、東京交通会館で行われた移住、定住説明会っていう。お父さん、お母さんがたくさん来たって事。そういう写真です。

 で、今日の方々はそんな事ないと思うけど、この間地元の小平で講演頼まれてしましたけど、どの辺が綺麗で、どの辺が危ないのかって知識がない訳ですよね。

だからまー福島に行けば線量高いのは、これは誰でも考えても分かりそうだし。ちょっと知っている人はホットスポットの辺りは線量高そううだって事分かるけれども。じゃあ、軽井沢に行こうとか、日光がいいんじゃなんてね。さっき言った東村山って地域は子どもたちの修学旅行、いまだに日光なんですよね。

 それをすごく嫌がっている、お父さん、お母さんが。すごく何とかやめてくれないかって言うと、ちゃんと先生が線量計を持って付き添うんだから、いいんだって風に言って、何でも強行にするつもりらしい。

 だからこの地図っていうのは、僕の知識ですけれども、やっぱり関東、どうせ避難したりお休みを過ごすのであれば、関東から離れて欲しいっていうそういう写真です。

 那須はダメだし、日光もダメだし、軽井沢経由で長野市の方ね。北信ですか、北信のキノコも取っちゃいけないですよね。ダメだし。それから箱根、箱根のお茶、足柄のお茶は最初からセシウムが出ましたよね。もしかしたら富士五湖、熱海、東伊豆、ま、この辺はやめたほうがいいよ、って言っています。

 海沿いに行くんだったら、もう静岡の西の方、上から向こう。

4/5

東京、名古屋、清里とか、あの辺は避けて。諏訪湖とか松本、あるいは伊那、名古屋皆んなこっちの方へ行ってもいんじゃないかと。

 日本海側は少し北の方はやめた方がいいけど、西の方が良いかも知れないねっていう事をまあ言っています。

0’16

 これは三田医院の隣の叔母さんの所の花です。毎年黄色い花が道端ですね、これあの宿根草ですよね。冬になると枯れて、春のなると咲くっていう花なんですけど。こういうラッパみたいな綺麗な花です。これ、患者さんに教えてもらった時、初めて知ったんだけれども、こうプロペラみたいなね、変な切れ込みになっちゃったり、ちぢれちゃったり。こっちが本当の花ですよね。

 こういう形に、三田医院の入り口のすぐ横の花が、こういう風になっちゃってるってのを見てビックリしました。

 これはそこの叔母さんに、「どうも花の様子がおかしいね」って言ったら出て来て、しげしげと眺めて「こんなんなってるのって、見た事ない」って花を全部抜かれちゃったんで。もうこのお花は根こそぎないんだけれども、写真だけは撮って置いたっていう、そういうことです。

 まあ、そういう事を3年間私はして来ました。立場としてはですね。医師会の災害対策委員長っていうものです。それから、地域の消防とね、ずっと付き合いが深くって、各地域に救急用務連絡協議会っていうのが、この地域にもありますけども、そこの会長もやってきました。

 ですから、地域全体の救急とか災害から、どうやって地域を守っていくか、地域にどうやって医師会として役に立てるかって事を考えて、やって来たんですね。

 父が開業して僕は2代目ですから。小さい時から、自分の存在理由ってのは、その地域いる人たちの健康を守る事であるし、だから病気があったら治してあげたいし、病気になるような要素があるんだったらそういう事から守りたいっていうね。それだけです。僕、医者になった動機っていうのは。

で、大学に入れば色々な研究もあって、今、何とか細胞って言って。あの細胞培養なんて、本当に面白くって研究者に一緒のやろうよなんて、誘いを受けた事があるけど、やっぱり僕は、東京小平で育ったし、患者さんたちが待っているって思いで、臨床科医にならないとと思って、東京に帰って来た訳ですけれども。

 皆んな医者ってこんなもんだと思っていたんですよね。少なくとも自分の家族と同じように、患者さんたちを考えているもんだと思っていたから。だから、皆んなに呼びかけた訳ですよ。被ばくしちゃったんだから、何とかして患者さんたちの為に働けないかって事で。でも意外なほどに、反応してくれる人は誰もいない。

ですからこの3年間、よく言えば孤立無縁ですよね。まあ、一人で騒いでいるだけって事ですけど。

いまだに僕は自分では正しいと思っているけれども。話を聞いてくれる人には、極端な意見だから、ちゃんと皆さん自身でよく咀嚼して考えて行動して下さいって風には言っています。

 でも、安心だ、安心だっていう人がほとんどですから。こういう風に言う人が一人くらいいないとマズイんじゃないかと思って。最初は相当決意がいりましたけど、もうどうなっても良いやって感じですね。でここでこういう話をします。

ただですね。岡山に行って岡山でも、三田医院っていうのをやるって言いました。保険診療を行う保険医療機関としてやりたいです。やっぱりこの事だけではなく、向こうに行ったら行ったで向こうの地域の為に仕事をしたい。それには保険診療ってのを、どうしてもやりたい。保険診療をやる機関として、まー目をつけられると困るから。だから今回のことも、もうすでにYouTubeに流れちゃってはいるんだけれども。あんまりこう批判的な事を言っているのが流れるのちょっと僕としても怖いので。向こうで少し落ち着くまで、あんまり表に出たくはない気持ちを察してやってください。よろしくお願いします。

5/5

 で、岡山に行く、また後で、質問があるんだろうけど、ちょっと簡単にいっちゃうんだけれども、何で岡山に行くのかってというとですね。さっき言ったようにやっぱり保養に行くには、松本くらいが良いのかなと思うんですよね。

 何しろ学生時代6年間、過ごした街だから、松本で良ければそれが一番良いですけど。今の福島の様子を考える事で、全然アンダー・コントロールじゃないから、何が起きるか分からないじゃないですか。そうすると住み家として、決めるのじゃ、ちょっと松本じゃ近すぎるかなと思ったんですね。

 一番さっきも言ったように、何代も東京の家ですし、お墓も東京にまだ決断できないから、お墓は東京のままだし。子どもたちは幸い、四国の大学に行くと言ってくれたので。東京、今はね東京に居ないけど、やっぱり東京の子どもだからっていう気持ちは抜けないみたいです。

だから、こちらにその本家を残さずに、綺麗さっぱり僕は西日本の人間となって、子どもたちにも、次の世代にも、おそらく400、500年かな、三田家は東京に戻らないっていう決意を、僕は子どもたちに示したつもりです。

岡山というのは、そんなに大きな理由があった訳じゃないけれども、行ってみるとなんか住みやすそうだなーって程度です。

 それから避難、移住がかなり岡山方面っていうことで加速しているので、そちらでですね。

この3年間やってきて、この東京で活動するのは僕は無理だと判断しました。どういう事かっていうと、本当はね東京で、こういう事を気にしてくれる人が全員である必要はないけれども、例えばどこの街でも5人から10人くらいの人がこの事を気にしてくれて、皆さんの心配の相談に乗ってくれれば、この東京もまだ見込みがあるかも知れないと思うけれども、ともかくこの間の3.11のテレビ番組を見ても、東京が危ないなんていう事を言う、言える感じがない訳でしょ。公にはね。

 だから僕は東京でこのまま頑張っても意味がない。で、「10年頑張ってダメだったけど私は頑張った」って言うんじゃ情けない。だから本拠地を西日本に変えます。

 向こうの医師会にも挨拶に行きましたが、かなりこう友好的に受け入れてくれてくれました。やっぱり向こうもね。東京で開業してたのが東京をたたんで、岡山に来るなんて、ちょっと腰が引けると思うんですよ。「こいつなんか変な奴なんじゃないか」って。当たり前ですよね。向こうでうまくいかなかったとかね。なんか企んでいるかっていう。いろいろ考えられると思うけれども。

 「実は避難民なんです」って言ったらば、あーそうか。そうか、じゃあ頑張って下さいって。私の所にも避難している人が患者で何人か来ているよって。理事の先生からもそう言った言葉も頂いたし、さっきの県知事もどこの人が来て下さっても、これは別に皆さんのことを気の毒がっている訳じゃなくて、若い人に来てもらいたいだけだと思うけも。そういう環境の中で、出来ればね、東京をもう一度考え直して移住するんだったら、移住して欲しい。

3’26

 僕は3年目。今回4年、5年、10年と時間がこれから経っていくと、

この辺が一つ、また一つの考え時かな。

 早期に逃げた人はもう逃げている。皆さん、ちょっと逃げ遅れちゃった感じ。全然逃げるつもりのない人はもっとたくさんいると思うけれど、考えて欲しいって思います。

 それからそんな事を言ったって逃げられないって人。じゃ、しょうがないって、って言うつもりもないです。ベラルーシみたいに、行政がやってくれるとは、とても思えないけれども。僕と、出来れば向こうの医師会、あるいは向こうの行政とが、東京のこういうそのグループでね、心配しているグループ。周りが気になって、ちょっと保養に行きたいんだけど、なんか二の足踏んじゃうなとか、そういう人たちが勇気づけられて保養に来てくれるような、そういう地になれるといいなと思う。で、あそこの子どもの保養に行って帰って来たけど、ずいぶん元気になって帰って来たんじゃないかってね。うちの子もちょっと保養に出してみようかなっていうような。そういう流れが、東京全体は僕は無理だとちょっと諦めているんですけども、局所的にでも起きれば、そういう子たちが東京の中で健康に育ってくれると良いんじゃないかなと思う訳です。

 実は27日に引っ越すんで、全然時間もなくて、今日も受けちゃった事を実は後悔しているんだけど、でもやっぱりこのまま去るのではなくて、品川の皆さんに一言お話をして、皆さんがちょっと考えてくれる、考え直してくれるキッカケになれば良いかなと今日もお話をしました。

5’16

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です