国連科学委員会(UNSCEAR、アンスケア)は、2021年3月「福島でもがんは増えない」という報告書を出しました。[記事3]
日本経済新聞などは大々的にこの報告書を持ち上げています。[記事2]
しかし、国連科学委員会(UNSCEAR)の議論は、福島県民の内部被ばくを軽視したものです。また、その被ばく線量の評価も「外部被ばく:内部被ばく=1:1」「同じミリシーベルトの被ばくならば、同じ健康被害が起こる」という理論に基づいています。このどちらも放射線防護の上では、致命的な間違いにつながります。
ブログ 人生二毛作の田舎暮らしさんが、「国連科学委員会(UNSCEAR)の欺瞞」「UNSCEARの完全犯罪を許していいのか!」「IAEAへの質問」「UNSCEARレポートを捻じ曲げた黒幕は誰か?」など、国連科学委員会(UNSCEAR)の内部被ばく無視の科学などを追及されています。
国連科学委員会(UNSCEAR)の欺瞞 2021年3月19日 ブログ 人生二毛作の田舎暮らし
UNSCEARの完全犯罪を許していいのか! 2021年4月10日 ブログ 人生二毛作の田舎暮らし
IAEAへの質問 2021年4月8日 ブログ 人生二毛作の田舎暮らし
UNSCEARレポートを捻じ曲げた黒幕は誰か? 2021年4月7日 ブログ 人生二毛作の田舎暮らし
最後の「UNSCEARレポートを捻じ曲げた黒幕は誰か?」に書かれているように、この国連科学委員会(UNSCEAR)の日本代表を務めていたのが、明石真言氏です。[記事4]
この明石真言氏は放射線医学総合研究所の理事でもあり、東電福島第一原発事故当時に、「福島県民に対する健康被害の疫学調査は必要ない」として、官邸に疫学調査を断念させた張本人です。東京新聞2019年2月18日が詳報しています。[記事1]
原発事故の放射能の内部被ばく・外部被ばくによる健康被害は、因果関係を証明するのが難しいものです。それは、発がんは何も放射線によるものだけではなく、たばこや飲酒、化学物質、電磁波の影響でも起きるからです。しかし、放射線被ばくした人が、被ばくしていない一般人よりも、より大きな確率で白血病、甲状腺がん、喉頭がんや咽頭がん、あるいは脳梗塞、心筋梗塞などに罹った場合は、因果関係が認められます。それを明らかにする唯一と言ってもよい方法が疫学調査です。
その疫学調査を福島原発事故では行うべきではない、と放射線医学総合研究所理事の立場から中止に追い込み、そして、国連科学委員会(UNSCEAR)の立場から福島県民の被ばく線量の過小評価を行った明石真言氏。その犯罪性を明らかにするべきである、と考えます。
人生二毛作の田舎暮らしさんは、国連科学委員会(UNSCEAR)に公開質問状を出して、回答を要求しています。
国連科学委員会への公開質問(1) 2021年9月19日 ブログ 人生二毛作の田舎暮らし
国連科学委員会への公開質問(2) 2021年9月20日 ブログ 人生二毛作の田舎暮らし
2021年10月22日には国連科学委員会事務局長から回答が来ましたが、人生二毛作の田舎暮らしさんの提出した質問一つ一つに答えるものではなく、「12月リリース予定のthe 23 electronic attachmentsを見ろ」と言うものでした。回答ができずに逃げていると思います。
国連科学委員会からの回答 2021年10月22日 ブログ 人生二毛作の田舎暮らし
朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日本経済新聞などの大新聞は、国連科学委員会(UNSCEAR)の報告書を妄信することなく、その内容を検証するべきです。
[記事1]
福島原発事故で放医研理事 官邸に「疫学調査不要」 国が見送る一因に
2019年2月18日 東京新聞 朝刊 1面
東京電力福島第一原発事故後の二〇一一年四月、国の研究機関・放射線医学総合研究所(放医研)の明石真言(まこと)理事が福山哲郎官房副長官(当時)に、住民の疫学調査は不要と進言していたことが分かった。原発事故の疫学調査では一般的に、多発が心配される甲状腺がんの患者数や分布を調べ、放射線の影響を分析する。しかし、国は本格的な調査に乗り出さず、福島県が「県民健康調査」を始めた。(榊原崇仁)
甲状腺がんの原因となる甲状腺内部被ばくの測定も、国は千八十人で終えていた。明石氏はこの測定を問題視しなかった上、甲状腺がんの状況も調べなくてよいと提案したことになる。
本紙は、同年四月二十六日に明石氏らが福山氏と首相官邸で面会し、住民の被ばくについて説明した会合の議事概要を情報開示請求で得た。文部科学省が作成し、放医研が保有していた。
それによると、経済産業省の幹部が「論点として疫学調査の必要性の有無があろうが…」と切り出し、明石氏が「住民の被ばく線量は最も高くても一〇〇ミリシーベルトに至らず」「(疫学調査は)科学的には必要性が薄い」と述べていた。
明石氏は現在、量子科学技術研究開発機構執行役。取材に応じ、「健康影響が確認できる基準は一〇〇ミリシーベルトと理解していたが、外部被ばくは原発の正門付近の空間線量からそこまでにならないと判断した。甲状腺の内部被ばくは国の測定で線量が高い人でも五〇ミリシーベルト、一〇〇ミリシーベルトにならなかったはず」と説明。「必要性が薄い」と判断した理由に、平常時との差が確認できるほど病気が増えると考えにくかったことを挙げた。
放医研は文科省所管で一九五七年に発足した。緊急被ばく医療体制の中心的機関として位置付けられ、福島の事故では官邸や各省庁の助言役として活動。国が疫学調査をする場合は、実施主体になる可能性があった。国がこの調査をしなかったのは、放医研が否定的だったことが影響したとみられる。

[記事2]
福島事故被曝で国連報告書「健康への影響、可能性低い」 2021年4月1日 日本経済新聞 矢野 寿彦
東日本大震災から10年の節目となった2021年3月、東京電力福島第1原子力発電所の事故で生じた放射線の被曝(ひばく)による健康影響を考える上で、重要な国連の報告書がまとまった。結論は「将来、被曝が直接の原因となってがんが増えるなどの健康影響がみられる可能性は低い」という内容だ。
この報告書を作成し公表したのは、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)だ。主に放射線の環境への影響を調査・評価する科学者集団で、日米欧など27カ国が参加する。
1950年代、世界で核実験が続き、放射性物質が大気中に降り注いだ。環境、そして健康への影響を懸念する声や批判が高まるなか、55年の国連総会決議により設立された。
国際原子力機関(IAEA)や国際放射線防護委員会(ICRP)といった原子力や核、放射線に関する他の国際組織に比べ、政治から距離を置き、科学的かつ、中立的な立場をとる。
86年のチェルノブイリ原発事故の際に、大量の放射性物質が環境下に放出された。その被曝の影響で子供の甲状腺がんが明らかに増えたと結論づけ、影響力を持つようになった。
福島第1原発事故は1~3号基の原子炉3基が次々と炉心溶融(メルトダウン)し、チェルノブイリ原発事故に匹敵する惨事だった。ある意味、国連科学委が評価に乗り出すのは必然の流れだったといえる。
放射線被曝のレベルと影響を2年間にわたって調べ、2013年10月に国連総会で報告、さらに19年までの最新論文やデータを集めて網羅的に精査し、今回の「20年報告」となった。
13年報告は「福島第1原発事故を原因とする放射線による健康へのリスクは、チェルノブイリの場合よりはるかに低い。公衆や作業者の被曝線量が実質的に低かったためだ」と評価していた。突きつめるところ、20年報告もこの結論を追認したということになる。この7年間に従来の見解を覆すような科学的知見や新たなデータは出てこなかった。
国連科学委の日本代表を務めたことがある東京医療保健大学教授の明石真言さんは「13年報告は健康影響を考える上でデータが足りない分、数字を厳し目に見積もっていた。今回は実測データなどが充実した結果、より実態を映したものになっている」と評する。
例えば、実際に口にすることはない量の汚染した食品を食べたと仮定して被曝線量を推計してきたが、今回は流通した食品の汚染度合いの実測値で評価した。当然だが、数値は大きく下方修正された。
放射性物質の内部被曝でみると、食べ物を介したものはごく微量で、むしろ大気中から吸い込んだほうが多かった。
福島県民の事故後1年間の甲状腺への平均被曝線量についても、放射線への感受性が強く影響を受けやすいとされる1歳児で最大30ミリシーベルト、13年報告で示された推計値の半分を下回るレベルだった。80ミリシーベルトを被曝した子供が多ければ、従来はがんの増加が確認される可能性もあるとみていたが、今回はこれを否定した形になった。
留意しなければならないのは、今回の結論もあくまで現存するデータで導き出したものにすぎないという点である。また、国連科学委の評価の主眼は福島第1原発事故による線量評価であって、がんが増えるかどうかといった健康への影響の評価はあくまで副次的であることが報告書からもみてととれる。人的、資金的な面からも調査対象も限られている。
長年、専門家の間で議論が尽きず決着をみていない「低線量被曝」の健康影響について新たな知見や見解が示されたわけでもない。
福島第1原発事故の被曝影響といえば、海洋汚染が大きな社会問題でもあった。報告書は「12年までに原発沖の沿岸域の海水でさえ、セシウム137の濃度は事故前のレベルを超えることはほとんどなかった」と言及するが、それ以上に踏み込んだ内容はなかった。
福島第1原発の敷地内には今、1000基を超す数の貯水タンクが立ち並ぶ。なかに入っているのは汚染水を処理したあとに残るトリチウムという放射性物質を含んだ、いわゆる「処理水」だ。事故後10年たっても、海洋放出すれば風評被害は必至とされ、国や東電による判断は足踏みしたままだ。
国連科学委による10年目のお墨付きをもってしても、放射能への不安がなくなるわけではなく、海洋放出した際の風評被害が払拭されるものでもない。(編集委員 矢野寿彦)
[記事3]
東電福島事故後の 10 年:放射線関連のがん発生率上昇はみられないと予測される
https://www.unscear.org/docs/publications/2020/PR_Japanese_PDF.pdf
ウィーン(国連情報局)2021年3月9日:
2011年3月に日本で発生した3つの悲劇から10年経ち、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(the United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation:UNSCEAR)は本日公表となる2020年報告書(2020Report)の中で、放射線被ばくが直接の原因となる健康影響(例えば発がん)が将来的に見られる可能性は低いと言及している。
“UNSCEAR2013年報告書刊行以降、福島県の県民に、事故による放射線被ばくが直接の原因となりうる健康への悪い影響は報告されていない”とUNSCEAR議長のGillian Hirth氏は強調した。
表題“2011年東日本大震災後の福島第一原子力発電所における事故による放射線被ばくのレベルと影響:UNSCEAR2013年報告書刊行後に発表された知見の影響(Levels and effects of radiation exposure due to the accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station: Implications of information published since the
UNSCEAR2013Report)”のUNSCEAR2020年報告書は、2019年末までに公表された関連する全ての科学的知見(査読付き論文と観測データ)をとりまとめている。これらは福島第一原子力発電所(福島第一原発)の事故による放射線被ばくのレベルと影響に関連するものである。本報告書の目的は全科学的知見をとりまとめ、UNSCEAR2013年報告書についてこれら知見の影響を評価することである。全体的にみると、2020年報告書はUNSCEAR2013年報告書の主な知見と結論を概して確認するものであった。
この10年間で、被ばく線量評価に関する新規知見が相当数明らかとなった。この新規知見により当委員会は事故後の放射線被ばくのレベルと影響について改善されたより健全な評価を実施することが可能となった。追加の観測データと日本での人々の実際の食生活と行動についてのより包括的な知見に基づき改善されたモデル計算を行うことで、当委員会は線量評価を確認し、見直すこととなった。
見直された公衆の線量は当委員会の2013年報告書と比較して減少、または同程度であった。よって当委員会は、放射線被ばくが直接の原因となるような将来的な健康影響は見られそうにないと引き続きみなしている。
当委員会はまた、放射線被ばくの推定値から推測されうる甲状腺がんの発生を評価し、子供たちや胎内被ばくした子供を含む、対象としたいずれの年齢層においても甲状腺がんの発生は見られそうにないと結論付けた。公表されているエビデンスを鑑みると、被ばくした子供たちの間で甲状腺がんの検出数が(予測と比較して)大きく増加している原因は放射線被ばくではないと当委員会は判断している。むしろ、非常に感度が高いもしくは精度がいいスクリーニング技法がもたらした結果であり、以前は検出されなかった、集団における甲状腺異常の罹患率を明らかとしたに過ぎない。さらに、一般公衆の間で放射線被ばくが関係している先天性異常、死産、早産が過剰に発生したという確かなエビデンスはない。
作業者に関して、白血病と全固形がん(甲状腺がんを含む)の発生の増加が見られることはありえそうにないと当委員会は結論付けた。
当委員会は、放出された放射性物質の陸域、淡水域、海洋域環境への移行・拡散に関する知見もまた評価した。2012年までに、福島第一原発沖の沿岸域の海水でさえ、セシウム137の濃度は事故前のレベルを超えることはほとんどなかった。福島原発事故による放射線被ばくとの明らかな因果関係について、野生生物集団に対する地域限定的な影響はありえそうにないと当委員会は、引き続きみなしているが、放射線レベルが増加した地域では、有害な影響がみられた植物や動物も観察されている。検査された食物のほとんどで、放射性物質の濃度は事故後の時間経過とともに急速に減衰した。
野生生物集団への地域限定的な影響と、自然環境下で、より上位にある生物階層と生態系の機能と構造の要素を考慮できるような野外条件下でヒト以外の生物相への放射線被ばくの影響を、さらに調査することは有益でありうると当委員会は考えた。
報告書へのアクセス:http://www.unscear.org/unscear/en/publications.html.
照会先:
UNSCEAR secretariat
Ms. Jaya Mohan
Email: jaya.mohan@un.org
Website: www.unscear.org
[記事4]
明石 眞言 AKASHI MAKOTO
| 所属 | 東が丘・立川看護学部 看護学科 |
|---|---|
| 職位 | 教授 |
| 学位・資格 | 医学博士、医師、日本医師会認定産業医、社会医学専門医・指導医 |
| 担当科目 | 公衆衛生学 |
研究テーマ
被ばく医療、原子力災害、公衆衛生学、放射線影響、放射線生物
最近の業績または代表的な業績
【著書・論文・学会発表】
Numerical Simulation Based on Individual Voxel Phantoms for a Sophisticated Evaluation of Internal Doses Mainly From 131I in Highly Exposed Workers Involved in the TEPCO Fukushima Daiichi NPP Accident. 2019 Health Phys.116:647-656
An accident of internal contamination with plutonium and americium at a nuclear facility in japan: a preliminary report and the possibility of dtpa administration adding to the diagnosis. 2018 Radiat Prot Dosimetry182:98-103
Experiences of population monitoring using whole-body counters in response to the Fukushima nuclear accident. 2018 Health Phys 115:259-274
Early Intake of Radiocesium by Residents Living Near the Tepco Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant After the Accident. Part 2: Relationship Between Internal Dose and Evacuation Behavior in Individuals. 2017 Health Phys 112:512-525
The first meeting of the who guideline development group for the revision of the WHO 1999 guidelines for iodine thyroid blocking 2016 Radiat Prot Dosimetry 171:47-56
世界各国による原水爆実験(第五福竜丸被ばくを含む)「放射線医科学の事典―放射線および紫外線・電磁波・超音波―」、朝倉書店 2019年12月
【講演・研修指導】
国際原子力機関IAEAや世界保健WHOが主催する国際研修会講師
2020年 8月 IAEA Webinar Material – WEBINAR on medical response to nuclear and radiological safety or security related emergencies: Lessons learned from case studies
2019年 5月 IAEA Regional Workshop on Medical Preparedness and Response in case of a Nuclear or Radiological Emergency(ウルグアイ)
2019年 2月 IAEA UAE National Training Course on Medical Preparedness and Response to Radiation Emergencies in coordination with the IAEA and NCEMA(アラブ首長国連邦)
2018年11月 IAEA Expert Mission to Review Medical Preparedness to Radiological Emergency(アラブ首長国連邦)
2018年 5月 WHO The 3rd Asian WHO/REMPAN Workshop/Monitoring, Assessment and Management of Internal Contamination(韓国)
【所属している学会・活動】
日本放射線事故・災害医学会(代表理事)
日本血液学会(評議員)
日本放射線影響学会
日本公衆衛生学会
日本保健物理学会
日本放射線看護学会(監事)
【専門領域での活動】
第五福竜丸の乗組員の健康診断を行うとともに、被ばく医療に従事。1999 年JCO臨界事故を初めとする 大小様々な放射線事故の医療に関わり、我が国の被ばく医療では大きな役割を果たす。2001年に パナマ国立腫瘍研究所で発生した過剰被ばく事故において国際原子力機関(IAEA)の国際専門家チームの一員として派遣。2011年の東京電力福島原子力発電所事故時には消防、警察等の放射線防護、国や自治体への助言、汚染患者の治療等幅広く活動。2017年国立研究開発法人日本原子力研究開発機構大洗研究 開発センターで起きた、プルトニウムによる内部被ばく事故では、治療に従事。2019年7月より茨城県竜ケ崎保健所長。
1994年 日本血液学会奨励賞受賞
2005年 文部科学大臣賞(原子力防災対策功労者)
2019年 令和元年度防災功労者内閣総理大臣表彰
2017年より2019年まで原子放射線の影響 に関する国連科学委員会(UNSCEAR)日本代表。現在同委員会福島プロジェクトシニアテクニカルアドバイザー(STA)。