内部被ばくを考える市民研究会 臨時例会 2021年5月16日(日)13:30~15:30 ツィキャスのみ配信

※ 毎月最終日曜日でツイキャス、会員向けZoomにて開催しています。以下、ツイキャスをご覧下さい。会員の方はZoomでも視聴できます。

本日のテーマ

『東電福島第一原発事故「10万cpmのレベルの被ばくでも大丈夫」とデタラメ計算をした放射線医学総合研究所』

1  榊原崇仁『福島が沈黙した日 原発事故と甲状腺被ばく』集英社新書 を読む

 13:30~13:50

榊原崇仁『福島が沈黙した日 原発事故と甲状腺被ばく』集英社新書1051B 900円(2021年1月20日刊)

2 スクリーニングレベルは1万3000cpmだった 10万cpmに引き上げられた理由

  14:00~14:20 報告:川根眞也

3 10万cpm 本来なら1歳児769ミリシーベルトに相当
   放射線医学総合研究所は0.17ミリシーベルトに相当と「計算間違い」

  14:30~14:50 報告:川根眞也

4 甲状腺被ばくをたった1080人だけ、原発30km圏外、しかも2週間後に測った理由

  15:00~15:20 報告:川根眞也

ツイキャス http://twitcasting.tv/naibuhibakushim/show/

※ 当日はツイキャス中継のみを行います。会員の方はZoomでも視聴できます。

※ 臨時例会終了後、ネット懇親会を20:00~22:00行います。会員限定です。会員の方で希望させるかたはZoomのアカウントを作ってお待ちください。ネット懇親会のご案内を差し上げます。

http://twitcasting.tv/naibuhibakushim/show/ こちらでは、生中継の他、過去の動画を見ることも出来ます。 聞き逃した情報などもチェックしてみてください。 それでは、沢山のご参加をお待ちしています。

 福井県で3つの40年超え老朽原発を再稼働しようとする取り組みを関西電力が進めています。

 榊原崇仁氏(東京新聞記者)の『福島が沈黙した日 原発事故と甲状腺被ばく』集英社新書1051B 900円(2021年1月20日刊)を読み終えました。衝撃を覚えました。

 すでに過去の例会で、東電福島第一原発事故が起きた際のスクリーニング
レベルが、当初は1万3000cpmで行う予定だったものが、放射線医学総合研究
所の「専門家」のアドバイスによって10万cpm(つまり7.69倍に緩められた)
ことはご報告したことがあります。榊原崇仁氏は東京新聞こちら特報部を担
当し、福島県民健康調査検討委員会の被ばく隠しや、山下俊一氏がニコニコ
発言の裏で「子どもの甲状腺被ばくは深刻な可能性がある」と発言していた
ことを情報公開請求で明らかにしてきた記者です。
 
 今回、この本で福島県現地災害対策本部や、ある意味菅直人政権の原発事
故担当者まで、「10万cpmのレベルの被ばくでも大丈夫」と騙していたのは、
緊急被ばく医療を担当するはずだった、放射線医学総合研究所であったこと
を曝露しています。

 それも、甲状腺等価線量をいう内部被ばくの線量計算がよくわからない職
員に、被ばく計算をさせ、また、よくわからない職員に「メモ」を渡してそ
の通り書かせた、という経緯です。

 GM管サーベーメータという汚染検査機器で、体表が1万3000cpmの汚染があ
った場合、これがすべてヨウ素131による汚染だった場合、1歳児の乳児の場
合、甲状腺等価線量が100ミリシーベルトになる、という想定でした。ですか
ら、1万3000cpmで服を脱がせて、からだを洗うなどの除染をし、安定ヨウ素
剤を服用されることが、福島県の「福島県緊急被ばく医療活動マニュアル」に
掲載されていました。また、当然のことながら、甲状腺で100ミリシーベルト
も被ばくしているのですから、その後の健康観察も必要です。きちんと氏名
や住所を記録し、甲状腺の線量も測る、ホールボディーカウンターで内部被
ばくも測ることが必要でした。

 その基準を「除染する水が冷たいものしかない」「服を着替えされると風邪
をひかせて肺炎を起こすかもしれない」と、1万3000cpmのスクリーニングレベ
ルを10万cpmに2011年3月14日に引き上げたのです。緊急時でやむを得ない部分
があったとしても、10万cpmは甲状腺等価線量では769ミリシーベルトに相当す
るというメモも残されています。1万3000cpm超えや10万cpm超えの避難者はス
クリーニングレベルを超えていたのですから、氏名や住所を記録し、その後の
フォローアップをするべきでした。少なくとも3月14日の時点で原発はまた爆発
する、または、4号機や3号機の使用済み核燃料プールの冷却水がなくなってい
て自衛隊による大量の放水も続いていて、使用済み核燃料はメルトダウンする
危険性が残っていました。この意味からも予防的に福島県民に安定ヨウ素剤を
服用させるべきでした。
 そして、少なくとも10万cpm超えは102人(他にも10人)。1万3000cpmを超え、
10万cpm以下は判明しているだけでも430人います。
―study2007『見捨てられた初期被曝』岩波書店 1300円(2015年6月12日刊)pp.45

こうした避難者には一刻の猶予なく、安定ヨウ素剤を服用させるべきでした。

 福島県では外部被ばくだけを議論して「100ミリシーベルト超える避難者は
いない」と放射線の専門家が言い張っています。

 しかし、福島県のマニュアルでも

1万3000cpmの汚染→甲状腺等価線量100ミリシーベルト(1歳児の場合)
※ 被ばく管理は安全側に考えるため、この1歳児の場合をすべての避難者
に適用することにしていた。

とありました。また、原子力委員会の回答には

10万cpmの汚染→甲状腺等価線量769ミリシーベルト(1歳児の場合)

とありました。

氏名も住所も記録されず、安定ヨウ素剤も服用させてもらえず、人数だけしか記録がありませんが、原子力災害現地対策本部、福島県放射線技師会、日本放射線技師会サーベイ派遣隊の集計では


甲状腺被ばく100ミリシーベルト超えが少なくとも430人。

甲状腺被ばく769ミリシーベルト超えが少なくとも102人(+10人)

いた、ということです。―study2007 pp.45

 放射線医学総合研究所の何者かがこの10万cpmでよい、と指示を出しました。
そして、放射線医学総合研究所が「避難者の被ばくは100ミリシーベルトに
いかない」と安定ヨウ素剤も服用させませんでした。さらに、10万cpmの汚染が
あって被ばくは大丈夫か?という疑問が寄せられて、放射線医学総合研究
所が「でたらめな計算式」を作って流しました。これが真実でした。

放医研が作成した「汚染クリアランスレベルとして100000cpmを設定した根拠(メモ)」 榊原崇仁 pp237


 これは一見、計算結果はあっているように見えます。しかし、かけること
をしてはならないものをかけています。その結果、放射線医学総合研究所が
出した結論は、

10万cpmの汚染→170マイクロシーベルト、つまり、0.17ミリシーベルト

です。769ミリシーベルトがなぜ、0.17ミリシーベルトになるのか、それを
今回の5月例会で明らかにします。これは意図的、計画的な詐欺です。正直
川根も第1種放射線取扱主任者試験の勉強を終えていなかったなら、このか
らくりはわからなかったでしょう。

 悪質なのは、放射線医学総合研究所の誰か(カマクラ)が計算メモを作りました。
そして「10万cpmの汚染でも大丈夫だという計算式をかけ」と言われた、被ばく
線量の計算もしたことがない職員が、そのメモ通りに

10万cpmの汚染→170マイクロシーベルト、つまり、0.17ミリシーベルト

と書いたことです。

 榊原崇仁氏はこの放射線医学総合研究所の上部組織に安全管理部長に「カマ
クラ」姓のものがいることを突き止め、取材を申し込んだが断られたといいま
す。

 本来ならば、769ミリシーベルトとしなければならないのを0.17ミリシーベ
ルトと「計算し」、その「計算結果」は「胃の集団X線検診の0.6ミリシーベル
トよりも小さい」「自然放射線の年間2.1ミリシーベルトよりも小さい」と
「安全な値」として福島の避難者に押しつけられたのです。
   
 他にも、この榊原崇仁氏『福島が沈黙した日 原発事故と甲状腺被ばく』
には、何故、甲状腺の内部被ばくを測ったのがたった1080人なのか?(チェル
ノブイリ原発事故では3カ国で30万人の甲状腺の内部被曝を測っています)という
疑問の答えを明らかにしています。

参考資料:井戸川克隆氏 体内にヨウ素131 31万ベクレル。内部被ばくは1シーベルトか?
https://www.radiationexposuresociety.com/archives/5006
 ↑
ここにNaTシンチレーションスペクトロメータがあります。甲状腺にたまったヨウ素131
を測ることができます。原発事故に備え、これは放射線医学総合研究所や現地対策本部
に準備されていたはずです。チェルノブイリ原発事故でも同様な機器がすでに使われて
います。

 簡単にまとめると、「100ミリシーベルト超えの被ばく者はいない」という
結論を出すために、原発から30km圏外の子どもを調べた、ということです。
それも原発事故が起きてからほぼ2週間もたった3月24日、25日、30日に。
 翻れば、3月12日、13日、14日、15日、16日の大量の放射能を浴びた避難者
の甲状腺にたまったヨウ素131を調べない、安定ヨウ素剤も服用させない、と
いう仕打ちをしたのが、放射線医学総合研究所です。10万cpmの汚染が769ミリ
シーベルト相当という試算があるので、それを否定するためにデタラメな計算
式を、計算ができない職員に書かせ、成文化し、「数値は一人歩きしてしまう
ことがあるので、対外的に言わないこと」を書いて、福島県や政府関係者に口
止めをしていた、ということ。先に紹介した、放医研が作成した「汚染クリアランスレベルとして100000cpmを設定した根拠(メモ)」 榊原崇仁 pp237
に、その口止めの文章があります。

 新型コロナ対策でも、無症状感染者が感染を広げているのに、感染者が判明
してもそのまわりの無症状者を意図的にPCR検査の対象から排除して、有症者だ
けを検査しているのが、現在の日本です。
 無症状感染者のうち3分の1が、強い感染力を持つスーパースプレッダーの可
能性という報告が世田谷区の社会的検査で判明しています。

令和2年度第11回世田谷区長定例記者会見令和3年3月26日世田谷区 
https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kusei/001/002/003/d00190932_d/fil/siryou.pdf
pp.12 ① 主に無症状者を対象とした社会的検査での陽性78件のうち27件(34.6%)
が他者に容易に感染させ得るウイルスを保有していた。
① ②の27件のうち、約8割が利用者(高齢者)であった。

 無症状を放置したままでは、このままの感染状況が続くでしょう。各地で医療
がその限界を超えています。救急車で亡くなる。家庭で亡くなる事例が増えてい
ます。

 新型コロナでも調べない。原発事故が起きても調べない。奇妙な一致です。
つまり、国民の健康を守る気がない国家組織。何につけても「安全・安心」
を語り、「国民のパニックを恐れる」国家組織。

 その国家が、福井県の老朽原発3基の再稼働を目指しています。うち、美浜3
号機が今月5月末にも再稼働が予定されている、と福井新聞4月30日が報道して
います。

 原発震災が2度目起きれば、また、スクリーニングレベルを10万cpmで行い、安
定ヨウ素剤も服用も服用させず、高レベルの被曝があってもなかったことにする
でしょう。これは「原子力災害避難計画」以前の話です。

 また、このとんでもない「計算間違い」によって、現在は原発事故直後のスクリーニングレベルが10万cpmになっています。ちなみに、この10万cpmは日立アロカ社製のサーベイメータTGS-146の最大目盛りの針が振り切れるレベルです。原発の放射線管理に使うサーベイメータの最大目盛りの針が振り切れるレベルを、住民が危険なレベル
被ばくしているか、どうかを判断する基準とするとは。

 ちなみに、食品の放射能汚染の基準値もセシウム134、137合計100ベクレル/kg
から自民党の部会は1000ベクレル/kgに引き上げる検討をしています。

 原発汚染水の海洋放出も、基準はトリチウム 6万ベクレル/Lです。それではあ
まりに高いので、1500ベクレル/Lに海水で薄めて放出する、と東京電力は計画して
います。

 こうしたことをお話しします。もし、本をお持ちの方は是非、少しでも目を通し
ておいてください。

榊原崇仁『福島が沈黙した日 原発事故と甲状腺被ばく』集英社新書1051B 900円(2021年1月20日刊)
study2007『見捨てられた初期被曝』岩波書店 1300円(2015年6月12日刊)

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